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更に更に、その後。
ルツの作戦。
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記憶を取り戻す事を諦めたのか、コレも作戦なのか。
それとも本当に結社の為だけなのか。
「何で仮面舞踏会を開催させる流れになるのよ?」
《クーリナの歴史書では15世紀には行われたそうで、他国の資料ではシャルル6世が関わっていたとか、なのでココでは遅い位かと。ですので悪用を避ける為にもブルボン家に主催して貰い、ついでに消費も促す、寧ろ起きるべき事象かと》
ど正論ラッシュ。
パルマちゃんみたいな者に好き勝手させる位なら、確かにコチラで主導権を握っていた方が良いし、消費を促すのも貴族の役目。
そしてシャルル6世に関連するなら、フランク王国に繋がりも有りハプスブルク家とも繋がっているブルボン家は、最適。
しかも私はハプスブルク家やブルボン家の成立には関わって無いし、ココにカサノヴァ家が関わっても不自然では無い、だから転移転生者に怪しまれる事も無い。
では、何故、キャラバンや他の者が行わなかったのかが問題になる。
「そこは良いとして、前例が」
《清貧こそ美徳だ、と真に信じられていたからこそ。ですが教えを揺るがしたのは教会、そして清貧さが行き過ぎる事を教会側が警戒している今こそ、庭園での仮面社交が可能かと》
「ぐぅ」
《話が早くて助かります、ではココまで案を出したので、次はアナタの番ですよローシュ》
遠慮させない為に、敢えて意地悪な言い方をして。
この事からしても、今までの男達とは別格なのに。
だからこそ、打算や妥協で受け入れたら失礼。
どうしたら許せるかを考えたかったのだけど、急にコレは、トリッキー過ぎよ。
「昼間なのよね?」
《はい、教会の庭園でと、あまり淫靡だと問題が起きても困りますので》
「確かに、夜の薄暗い庭園で仮面でって、エロいものね」
マジでエロい作品に有りそう。
もう、そこら辺まで網羅しておけば、ココで良い案が浮かんだかもなのに。
ケチったのと、購入履歴で躊躇ったのよね、それこそ死んでまでプゲラされたく無くて。
《では、それも、しましょうか》
「も?」
《先ずは教会の庭園で昼間にベールを被っての社交、そして夜は城の庭園で仮面を着けての社交をと、如何でしょうか》
「ベールは生成りで、ロングかレースのマントを着けて全身を覆って貰う、但し中のドレスの色柄の指定は無し。未婚既婚、老若男女問わず参加出来るお酒無しの社交場に……」
そして夜の社交場では仮面だけ。
昼間レース越しだったドレスが顕わになる、けれど昼間と同じ者かどうかは別、知らない側にしてみたらスリルの有る催し。
そしてドレスの綺羅びやかさも程々に抑えられる筈、昼間に教会でレース越しと言えど着るドレス、けれど清貧過ぎれば主催者から出席を断られるとすれば加減を誰かに相談する筈。
《では、その様に》
こうして、次の日にはオーストリアのフランソワに会う事に。
『お久しぶりです、ロッサ・フラウ』
「今は貴女がココのロッサ・フラウ、今の私はローシュ」
『はい、ローシュ』
「ごめんなさいね本当に、急で」
『いえいえ、ふふふっ、楽しそうですし良いと思いますよ?』
「こう、逆に間違いが起こる可能性を残した催しで、逆に制御が難しいかも知れないわよ?」
『私、逆にクセが有る方が好きみたいで、寧ろ楽しみなんですけど』
クセは個性。
彼のクセにも慣れたのか、順調そう。
「成程、無難をあまり好まないのね」
『みたいです、なので是非にも頑張らせて下さい』
「お願いね、フランソワ」
『はいっ!』
今回は新しいドレスは敢えて禁止、お気に入りのドレスをベールやレースのマントで隠し、楽しくお茶会をするだけ。
なので直ぐにも招待状が配られ、本来の社交場よりも早く催しが行われる事に。
「コレはダッカモスリンとレースを組み合わせただけで、後は刺繍を少し」
《やっぱりダッカの、ロングベールをどうするか悩んだ時に考えたのだけれど、どうにも手が届かなくて》
「私も頂き物なので、ですが他の国にも似た品物が存在しているそうで、ソレも試そうかとキャラバンにお願いしてる最中なんです」
《あら何処の?》
「中つ国や日の出国の、紗、と呼ばれる織物なんですけど」
《聞いた事が無いけれど、ダッカも亜細亜よね?》
「はい、暑い国は織りの技術が発達しているのかしらと、そう試しに尋ねたら教えて頂けたんです」
《そうよね確かに、寒い国では毛皮や毛糸の扱いが上手ですものね》
「絨毯のお陰で寒さも和らぎますしね、ですけど意外と暑い国でも皮が発達してますよね、モロッコの鞣し皮製品の柔らかさは素晴らしい」
《でも匂うじゃない?》
「そうそう、乾燥していれば匂わないらしくって、けどココら辺はそうじゃないから」
《ぁあ、モロッコは乾燥地帯ですものね、確かに。それでお試しにと言う事なんですね、紗、でしたかしら?》
「はい」
《是非、お手元に届いたら使用感を教えて下さらないかしら?》
「是非是非」
キャラバンの鳩の見様見真似、品物の名から広め、先に販路をある程度確保しておく。
どんなに良い品物も需要が無ければ売れない、その需要の見極めに行われる会話なのだけど、私が欲しいから今回は先行して決め打ちで情報を広めている。
『流石ですねローシュ』
「フランソワ、違うのよ、本当」
記憶を失くし、取り戻してから1つ気付いた事が有る。
驕り昂ぶっている様だけど、ココの者に褒められても全く嬉しくない。
私が私を認められないのは勿論の事、でもだって物事を知ってるから売れると分かっていて当たり前だ、と。
しかも売れる様にする、キャラバンと協力して、それこそ元締めのモロッコとも協力しているから当たり前。
その当たり前の位置が、基準が違う。
だから褒められる様な事は実はしてない、なのに凄いと褒められても困る、喜べないし嬉しくも無い。
例えルツや王に褒められても、それこそ例の転移転生者に褒められる位じゃないと喜べない。
コレ、受け取り方次第では、気位が高いとか言われそうよね。
『ローシュは志が高いんですねぇ』
「それも違うのよ本当、ただ指示に従ってるだけだから」
『そうなんですね?』
「そうそう」
まぁ、それは嘘だけど。
『それでも、私にはあの流れる様な話題の向け方は』
「見た目より実は年を取ってるの、それこそ亜細亜の血が流れてるから」
そこも。
若くて知ってたら、出来たら凄い。
けど私、実質40代、知って出来て当たり前の年。
『成程、見た目では分からない事も有る、侮るなかれ。ですね』
「そうそう、見た目と中身は必ずしも一致しない、外面と身内では王でも対応が違うし」
『成程、確かに』
「アナタの方が遥かにしっかりしてるわよ、私の若い頃と比べたら遥かにしっかりしてる、良く出来てる子だわ」
『あ、ありがとうございます』
相手を褒めるのは褒められたいから。
コレが嘘でも本当でも、褒められたら褒めなくてはならない。
私には全く理解不能だから飲み込むまでに凄い時間が掛かったし、今でも飲み込めているかと聞かれると、まだ口の中に残ってる状態。
知っていても実践となると難しい、その事も知っていて分かっていても。
《ローシュ》
「ぁあ、ルツ」
《夜会の調節の事で、少し良いですか?》
「あぁ、ごめんなさいねフランソワ」
『いえいえ、では、私も頑張ってきますね』
多くを知る者として、例えどんな者に褒められても喜べない、と。
《確かに、私と同じ年、似た知識量ならと私も思いますから。驕り昂りと言うより、寧ろ適切な判断かと》
「素直さに欠ける、それこそ王や神に褒められても素直に喜べない、あの子やクーちゃんに褒められる位じゃないと受け入れられないのよ?」
最近の場合のあの子、とは。
《同じ転移転生者、それこそ同じ立場でなければ難しい。だからこそ支援が必要なのでしょうね、神々の支援が》
「ぁあ、でも、ごめんなさい」
《いえ、私も同じ立場なら同じ反応を示す筈。アナタは悪く無い、大丈夫ですよ》
「話はソレ?」
《はい》
「ありがとう、私も行って来るわね」
《はい、では》
褒められても嬉しく無い。
それと同時に慰めも意味が薄まる、経験の浅い下位の者に励まされても、何をされても全ては半減してしまう。
知っている、分かっているにも関わらず、能力を無視して誰もが期待してしまう。
して当たり前、出来て当たり前だ、と。
王族、それ以上の立場だからこそ、選ばれ限られた者と同じ悩みを持ってしまう。
為政者、最高権力者と同じ悩みを共有出来る事は強みであり、弱味でも有る。
『慰めるって、凄い難しいよね』
『ですね』
《ローレンスでも、ですか》
『寧ろ俺だから、かと。経験も年齢も何もかも下ですし、社交辞令を使いこなす側ですから』
『それだと、ネオスなら、って事?』
『それでも難しいかと、なんせ他を知りませんし』
《そうなるとアーリスなんですが》
『逆に滅多に聞いてくれないんだ、本当に1番なのに。そんな話になると最後には要望が有ったら言ってねって、毎回、必ず言われる』
『それでも羨ましいんですが』
『だよね、ごめんね』
『あぁ、いえいえ、アーリスが悪いんじゃないんですし。それこそローシュの経験が障害になってるんでしょうし、仕方無いかと』
アーリスの素直さが羨ましい。
他の者なら嫌味になる言葉も、彼の口から出ると素直に受け取れてしまう。
《すみません、巻き添えにしてしまって》
『全くですよ、俺の方が若いんですから、耐え難さも倍ですからね?』
『だよね、俺もその頃はヤりまくってたし』
『その顔で言われると、良い造形なんですけど、俄かには信じ難いと言うか』
『何でだろうね?良く大人しそうだって言われるんだけど』
《下手をすれば国1番の大暴れ者ですからね》
『うん』
『色んな意味で?』
《そこはどうでしょうね》
大人しく幼く可愛らしい印象すら有る、だからこそ、そこが良いのか巡り合わせの問題か。
アーリスが誰よりも経験者であり、ある種の主導者でも有る。
『でもさ、ローシュとは童貞でしたかった、そうやってローシュを喜ばせてあげたかった』
『俺は知識だけなら欲しいですけどね、このまま体験せずに、知識と経験だけが欲しい』
《まぁ、経験は体験を経てこそですし。持つ者と持たざる者、どうしたって悩みは尽きないと言う事でしょう》
『そう聡い事を言うルツさんが』
《童貞でしたが何か、と言うか最初の方は信じて貰えなかったので、寧ろ逆に苦労しましたよ》
『下手さを、逆に演出すべきだったんじゃ?』
《なまじ器用だった事が敗因なのは認めます》
『それに反応が良いし、相当下手じゃなければ失敗しないだろうし』
『ぁあ、やっぱり反応が』
『うん、1番良い』
『色んな意味で』
『色んな意味で』
ローシュには伝えてくれるな、と。
体が汚れない程度にローレンスも場数はこなしている、けれども。
『したぃ』
《分かります、凄く良く分かります》
真に経験しているのはローシュだけ。
『もう、目の前に居るともう、良く耐えられましたね?』
《耐えられないからこそ冬眠してた部分も有りますね、触れられる距離に常に居ますから》
『ダメ、ですかね』
《いえ、そこはどうぞ、寧ろ私の事と分離出来るなら、それはそれで私の心的負担が減りますから》
『逆にアリかもね、ハーレムを受け入れなきゃダメだって事も忘れてるし』
『けど今回は単独で、協力無しで、俺に試させて下さい』
『分かった、うん、頑張って』
ローレンス・カサノヴァは、結局は未だに未婚のまま。
結婚する筈だった相手に相手が出来た事で、俺は未婚のまま。
ローシュには内緒だけれど、俺がそう仕向けた、ローシュに相手をして欲しくて。
『ローシュ』
「どうもローレンス、この子私の甥なんです、似て無いでしょう?なのにまだ未婚で、だからもう本当に心配で」
『この伯母が悪いんですよ、この人より聡明で淑やかな方は、そう居ませんから』
「はいはい、そう私を褒めなくても大丈夫、この方達は既に私を見抜いてらっしゃるもの」
けれども本当に、賢さは勿論ローシュより身持ちが固いのは既婚者か子持ちか、独身となると直ぐに体を預け様としてくる。
好きだとも言っていないのに、魅力的だと適当な事を言うと直ぐに信じようとする、貴族なのに聡明さと淑やかさが圧倒的に足りない。
王族並みに、とは思わないにしても、損得勘定をすれば利益の為に口説かれているだけかも知れないと警戒して良い筈なのに。
男も女も、俺に口説かれたがる。
『少し良いですかね、伯母上』
「はいはい、良い子が居たみたいで、少し失礼致しますわね」
俺の良い人はずっとローシュのまま、初めてだからじゃない、言えないけれど多少は経験もしての結論なのに。
『どうですか、恋愛結婚への憧れ』
「確かに警戒すべきね、政略結婚が常なのに、情愛の物語の流布が少し早過ぎたのかも」
『ですけど、お陰で口説き放題ですよ』
「そこの調節がね、どう落ち着けるか……ちょっと、伯母と甥よ」
『見た目からしても問題無いだろう、と、ハプスブルク家の方にもご理解頂けましたよ』
「アナタ、そこで何を」
『伯母のローシュの様な女性を、と、俺は本当にアナタに惚れてますし』
「それで婚約者を手放したの?」
『婚約者未満でしたし問題無いかと』
「まぁ、支部の広がりが出来っ、ちょっと止めなさいってば」
『どうしてダメなんですか?アーリスには許可を貰いましたよ、ほら』
アーリスの方へ視線を向けると、彼は笑顔で手を振ってくれた。
「はぁ」
『何が嫌なのか、何がダメかハッキリ言ってくれないと、いくら俺でも読み取れませんよ?』
「アーリスが許しても私が許せないから無理なのよ」
『何を許せないんですか?王からも許可を得てますよ』
「用意周到」
『そこが嫌ですか?』
「年が」
『ルツさんとも離れてるから、ですかね』
「そことはまた違うけれど」
『ちゃんと言ってくれないと離せませんし、それとも見られて公認になっても良いと』
「言うからもう少しだけ離れて」
『言ってくれたら離します』
彼女の方が何もかもが上の筈なのに、レース越しでも赤くなっているのが見える、こう困る所が凄く可愛らしい。
と言うか、凄くそそる。
したい、抱きたい。
「ローレンス、あの、溜まってるなら」
『良いんですか?良かった、アナタの為にも俺は綺麗なままですよローシュ』
「ちょっ、違うの」
『じゃあ何がダメか教えて下さい』
ローシュが俺を拒絶しそうな理由は、全て潰してある。
だからこそ後はローシュが受け入れるかどうか、ハーレムを受け入れるかどうかだけ。
「アーリスが」
『アーリスからも王からも、それこそルツさんからも許可を得てますし。今日まで様々な女性を、それこそ男も見て来ましたし、それなりに深く知り合いもしましたけど。アナタが1番なんですローシュ』
後はアナタが受け入れるだけ。
「ルツとの問題が片付いてからでも」
コレも想定通り。
『別に良いですけど、このまま戻れと?』
経験が豊富な筈なのに、凄く赤くなるのが良い。
首まで真っ赤になって、鼓動の早さが布越しでも伝わって来る。
「分かったから、アーリスに休憩室に送らせるから、待ってて」
コレで単に返事をしても、彼女は逃げるかも知れない。
『本当にお願いしますね、役立たずなままでこの場を終わらせたく無いので』
「分かったから、待ってて」
『はい、絶対ですからね、じゃないと他の方にご迷惑を掛けるかもですし』
「はいはい」
そして俺が長旅で酔いが回ったかも知れない、と、それからアーリスに俺を休憩室に送らせ。
『良かった、来てくれたんですね』
何も言わずにレースを上げ、口付けを。
竜の花嫁だとも、異世界人だとも既に知っているのに、俺や周りの為に敢えて言わないでいるローシュが凄く愛おしい。
大変な筈なのに、甘えた事も頼る事もしない、してくれないのが悔しくて堪らない。
レースで隠されているだけの夜会服も、その服から覗く谷間も。
全てが堪らない。
「ご褒美だとアーリスに言われちゃったんだもの」
嫌がられる為に言ったのだろうけど、俺にしてみたら逆効果。
『ですね、ご褒美を下さいローシュ』
後でアーリスにお礼をしないと。
と言うかアーリスへのお礼は、何が最適なんだろうか。
それとも本当に結社の為だけなのか。
「何で仮面舞踏会を開催させる流れになるのよ?」
《クーリナの歴史書では15世紀には行われたそうで、他国の資料ではシャルル6世が関わっていたとか、なのでココでは遅い位かと。ですので悪用を避ける為にもブルボン家に主催して貰い、ついでに消費も促す、寧ろ起きるべき事象かと》
ど正論ラッシュ。
パルマちゃんみたいな者に好き勝手させる位なら、確かにコチラで主導権を握っていた方が良いし、消費を促すのも貴族の役目。
そしてシャルル6世に関連するなら、フランク王国に繋がりも有りハプスブルク家とも繋がっているブルボン家は、最適。
しかも私はハプスブルク家やブルボン家の成立には関わって無いし、ココにカサノヴァ家が関わっても不自然では無い、だから転移転生者に怪しまれる事も無い。
では、何故、キャラバンや他の者が行わなかったのかが問題になる。
「そこは良いとして、前例が」
《清貧こそ美徳だ、と真に信じられていたからこそ。ですが教えを揺るがしたのは教会、そして清貧さが行き過ぎる事を教会側が警戒している今こそ、庭園での仮面社交が可能かと》
「ぐぅ」
《話が早くて助かります、ではココまで案を出したので、次はアナタの番ですよローシュ》
遠慮させない為に、敢えて意地悪な言い方をして。
この事からしても、今までの男達とは別格なのに。
だからこそ、打算や妥協で受け入れたら失礼。
どうしたら許せるかを考えたかったのだけど、急にコレは、トリッキー過ぎよ。
「昼間なのよね?」
《はい、教会の庭園でと、あまり淫靡だと問題が起きても困りますので》
「確かに、夜の薄暗い庭園で仮面でって、エロいものね」
マジでエロい作品に有りそう。
もう、そこら辺まで網羅しておけば、ココで良い案が浮かんだかもなのに。
ケチったのと、購入履歴で躊躇ったのよね、それこそ死んでまでプゲラされたく無くて。
《では、それも、しましょうか》
「も?」
《先ずは教会の庭園で昼間にベールを被っての社交、そして夜は城の庭園で仮面を着けての社交をと、如何でしょうか》
「ベールは生成りで、ロングかレースのマントを着けて全身を覆って貰う、但し中のドレスの色柄の指定は無し。未婚既婚、老若男女問わず参加出来るお酒無しの社交場に……」
そして夜の社交場では仮面だけ。
昼間レース越しだったドレスが顕わになる、けれど昼間と同じ者かどうかは別、知らない側にしてみたらスリルの有る催し。
そしてドレスの綺羅びやかさも程々に抑えられる筈、昼間に教会でレース越しと言えど着るドレス、けれど清貧過ぎれば主催者から出席を断られるとすれば加減を誰かに相談する筈。
《では、その様に》
こうして、次の日にはオーストリアのフランソワに会う事に。
『お久しぶりです、ロッサ・フラウ』
「今は貴女がココのロッサ・フラウ、今の私はローシュ」
『はい、ローシュ』
「ごめんなさいね本当に、急で」
『いえいえ、ふふふっ、楽しそうですし良いと思いますよ?』
「こう、逆に間違いが起こる可能性を残した催しで、逆に制御が難しいかも知れないわよ?」
『私、逆にクセが有る方が好きみたいで、寧ろ楽しみなんですけど』
クセは個性。
彼のクセにも慣れたのか、順調そう。
「成程、無難をあまり好まないのね」
『みたいです、なので是非にも頑張らせて下さい』
「お願いね、フランソワ」
『はいっ!』
今回は新しいドレスは敢えて禁止、お気に入りのドレスをベールやレースのマントで隠し、楽しくお茶会をするだけ。
なので直ぐにも招待状が配られ、本来の社交場よりも早く催しが行われる事に。
「コレはダッカモスリンとレースを組み合わせただけで、後は刺繍を少し」
《やっぱりダッカの、ロングベールをどうするか悩んだ時に考えたのだけれど、どうにも手が届かなくて》
「私も頂き物なので、ですが他の国にも似た品物が存在しているそうで、ソレも試そうかとキャラバンにお願いしてる最中なんです」
《あら何処の?》
「中つ国や日の出国の、紗、と呼ばれる織物なんですけど」
《聞いた事が無いけれど、ダッカも亜細亜よね?》
「はい、暑い国は織りの技術が発達しているのかしらと、そう試しに尋ねたら教えて頂けたんです」
《そうよね確かに、寒い国では毛皮や毛糸の扱いが上手ですものね》
「絨毯のお陰で寒さも和らぎますしね、ですけど意外と暑い国でも皮が発達してますよね、モロッコの鞣し皮製品の柔らかさは素晴らしい」
《でも匂うじゃない?》
「そうそう、乾燥していれば匂わないらしくって、けどココら辺はそうじゃないから」
《ぁあ、モロッコは乾燥地帯ですものね、確かに。それでお試しにと言う事なんですね、紗、でしたかしら?》
「はい」
《是非、お手元に届いたら使用感を教えて下さらないかしら?》
「是非是非」
キャラバンの鳩の見様見真似、品物の名から広め、先に販路をある程度確保しておく。
どんなに良い品物も需要が無ければ売れない、その需要の見極めに行われる会話なのだけど、私が欲しいから今回は先行して決め打ちで情報を広めている。
『流石ですねローシュ』
「フランソワ、違うのよ、本当」
記憶を失くし、取り戻してから1つ気付いた事が有る。
驕り昂ぶっている様だけど、ココの者に褒められても全く嬉しくない。
私が私を認められないのは勿論の事、でもだって物事を知ってるから売れると分かっていて当たり前だ、と。
しかも売れる様にする、キャラバンと協力して、それこそ元締めのモロッコとも協力しているから当たり前。
その当たり前の位置が、基準が違う。
だから褒められる様な事は実はしてない、なのに凄いと褒められても困る、喜べないし嬉しくも無い。
例えルツや王に褒められても、それこそ例の転移転生者に褒められる位じゃないと喜べない。
コレ、受け取り方次第では、気位が高いとか言われそうよね。
『ローシュは志が高いんですねぇ』
「それも違うのよ本当、ただ指示に従ってるだけだから」
『そうなんですね?』
「そうそう」
まぁ、それは嘘だけど。
『それでも、私にはあの流れる様な話題の向け方は』
「見た目より実は年を取ってるの、それこそ亜細亜の血が流れてるから」
そこも。
若くて知ってたら、出来たら凄い。
けど私、実質40代、知って出来て当たり前の年。
『成程、見た目では分からない事も有る、侮るなかれ。ですね』
「そうそう、見た目と中身は必ずしも一致しない、外面と身内では王でも対応が違うし」
『成程、確かに』
「アナタの方が遥かにしっかりしてるわよ、私の若い頃と比べたら遥かにしっかりしてる、良く出来てる子だわ」
『あ、ありがとうございます』
相手を褒めるのは褒められたいから。
コレが嘘でも本当でも、褒められたら褒めなくてはならない。
私には全く理解不能だから飲み込むまでに凄い時間が掛かったし、今でも飲み込めているかと聞かれると、まだ口の中に残ってる状態。
知っていても実践となると難しい、その事も知っていて分かっていても。
《ローシュ》
「ぁあ、ルツ」
《夜会の調節の事で、少し良いですか?》
「あぁ、ごめんなさいねフランソワ」
『いえいえ、では、私も頑張ってきますね』
多くを知る者として、例えどんな者に褒められても喜べない、と。
《確かに、私と同じ年、似た知識量ならと私も思いますから。驕り昂りと言うより、寧ろ適切な判断かと》
「素直さに欠ける、それこそ王や神に褒められても素直に喜べない、あの子やクーちゃんに褒められる位じゃないと受け入れられないのよ?」
最近の場合のあの子、とは。
《同じ転移転生者、それこそ同じ立場でなければ難しい。だからこそ支援が必要なのでしょうね、神々の支援が》
「ぁあ、でも、ごめんなさい」
《いえ、私も同じ立場なら同じ反応を示す筈。アナタは悪く無い、大丈夫ですよ》
「話はソレ?」
《はい》
「ありがとう、私も行って来るわね」
《はい、では》
褒められても嬉しく無い。
それと同時に慰めも意味が薄まる、経験の浅い下位の者に励まされても、何をされても全ては半減してしまう。
知っている、分かっているにも関わらず、能力を無視して誰もが期待してしまう。
して当たり前、出来て当たり前だ、と。
王族、それ以上の立場だからこそ、選ばれ限られた者と同じ悩みを持ってしまう。
為政者、最高権力者と同じ悩みを共有出来る事は強みであり、弱味でも有る。
『慰めるって、凄い難しいよね』
『ですね』
《ローレンスでも、ですか》
『寧ろ俺だから、かと。経験も年齢も何もかも下ですし、社交辞令を使いこなす側ですから』
『それだと、ネオスなら、って事?』
『それでも難しいかと、なんせ他を知りませんし』
《そうなるとアーリスなんですが》
『逆に滅多に聞いてくれないんだ、本当に1番なのに。そんな話になると最後には要望が有ったら言ってねって、毎回、必ず言われる』
『それでも羨ましいんですが』
『だよね、ごめんね』
『あぁ、いえいえ、アーリスが悪いんじゃないんですし。それこそローシュの経験が障害になってるんでしょうし、仕方無いかと』
アーリスの素直さが羨ましい。
他の者なら嫌味になる言葉も、彼の口から出ると素直に受け取れてしまう。
《すみません、巻き添えにしてしまって》
『全くですよ、俺の方が若いんですから、耐え難さも倍ですからね?』
『だよね、俺もその頃はヤりまくってたし』
『その顔で言われると、良い造形なんですけど、俄かには信じ難いと言うか』
『何でだろうね?良く大人しそうだって言われるんだけど』
《下手をすれば国1番の大暴れ者ですからね》
『うん』
『色んな意味で?』
《そこはどうでしょうね》
大人しく幼く可愛らしい印象すら有る、だからこそ、そこが良いのか巡り合わせの問題か。
アーリスが誰よりも経験者であり、ある種の主導者でも有る。
『でもさ、ローシュとは童貞でしたかった、そうやってローシュを喜ばせてあげたかった』
『俺は知識だけなら欲しいですけどね、このまま体験せずに、知識と経験だけが欲しい』
《まぁ、経験は体験を経てこそですし。持つ者と持たざる者、どうしたって悩みは尽きないと言う事でしょう》
『そう聡い事を言うルツさんが』
《童貞でしたが何か、と言うか最初の方は信じて貰えなかったので、寧ろ逆に苦労しましたよ》
『下手さを、逆に演出すべきだったんじゃ?』
《なまじ器用だった事が敗因なのは認めます》
『それに反応が良いし、相当下手じゃなければ失敗しないだろうし』
『ぁあ、やっぱり反応が』
『うん、1番良い』
『色んな意味で』
『色んな意味で』
ローシュには伝えてくれるな、と。
体が汚れない程度にローレンスも場数はこなしている、けれども。
『したぃ』
《分かります、凄く良く分かります》
真に経験しているのはローシュだけ。
『もう、目の前に居るともう、良く耐えられましたね?』
《耐えられないからこそ冬眠してた部分も有りますね、触れられる距離に常に居ますから》
『ダメ、ですかね』
《いえ、そこはどうぞ、寧ろ私の事と分離出来るなら、それはそれで私の心的負担が減りますから》
『逆にアリかもね、ハーレムを受け入れなきゃダメだって事も忘れてるし』
『けど今回は単独で、協力無しで、俺に試させて下さい』
『分かった、うん、頑張って』
ローレンス・カサノヴァは、結局は未だに未婚のまま。
結婚する筈だった相手に相手が出来た事で、俺は未婚のまま。
ローシュには内緒だけれど、俺がそう仕向けた、ローシュに相手をして欲しくて。
『ローシュ』
「どうもローレンス、この子私の甥なんです、似て無いでしょう?なのにまだ未婚で、だからもう本当に心配で」
『この伯母が悪いんですよ、この人より聡明で淑やかな方は、そう居ませんから』
「はいはい、そう私を褒めなくても大丈夫、この方達は既に私を見抜いてらっしゃるもの」
けれども本当に、賢さは勿論ローシュより身持ちが固いのは既婚者か子持ちか、独身となると直ぐに体を預け様としてくる。
好きだとも言っていないのに、魅力的だと適当な事を言うと直ぐに信じようとする、貴族なのに聡明さと淑やかさが圧倒的に足りない。
王族並みに、とは思わないにしても、損得勘定をすれば利益の為に口説かれているだけかも知れないと警戒して良い筈なのに。
男も女も、俺に口説かれたがる。
『少し良いですかね、伯母上』
「はいはい、良い子が居たみたいで、少し失礼致しますわね」
俺の良い人はずっとローシュのまま、初めてだからじゃない、言えないけれど多少は経験もしての結論なのに。
『どうですか、恋愛結婚への憧れ』
「確かに警戒すべきね、政略結婚が常なのに、情愛の物語の流布が少し早過ぎたのかも」
『ですけど、お陰で口説き放題ですよ』
「そこの調節がね、どう落ち着けるか……ちょっと、伯母と甥よ」
『見た目からしても問題無いだろう、と、ハプスブルク家の方にもご理解頂けましたよ』
「アナタ、そこで何を」
『伯母のローシュの様な女性を、と、俺は本当にアナタに惚れてますし』
「それで婚約者を手放したの?」
『婚約者未満でしたし問題無いかと』
「まぁ、支部の広がりが出来っ、ちょっと止めなさいってば」
『どうしてダメなんですか?アーリスには許可を貰いましたよ、ほら』
アーリスの方へ視線を向けると、彼は笑顔で手を振ってくれた。
「はぁ」
『何が嫌なのか、何がダメかハッキリ言ってくれないと、いくら俺でも読み取れませんよ?』
「アーリスが許しても私が許せないから無理なのよ」
『何を許せないんですか?王からも許可を得てますよ』
「用意周到」
『そこが嫌ですか?』
「年が」
『ルツさんとも離れてるから、ですかね』
「そことはまた違うけれど」
『ちゃんと言ってくれないと離せませんし、それとも見られて公認になっても良いと』
「言うからもう少しだけ離れて」
『言ってくれたら離します』
彼女の方が何もかもが上の筈なのに、レース越しでも赤くなっているのが見える、こう困る所が凄く可愛らしい。
と言うか、凄くそそる。
したい、抱きたい。
「ローレンス、あの、溜まってるなら」
『良いんですか?良かった、アナタの為にも俺は綺麗なままですよローシュ』
「ちょっ、違うの」
『じゃあ何がダメか教えて下さい』
ローシュが俺を拒絶しそうな理由は、全て潰してある。
だからこそ後はローシュが受け入れるかどうか、ハーレムを受け入れるかどうかだけ。
「アーリスが」
『アーリスからも王からも、それこそルツさんからも許可を得てますし。今日まで様々な女性を、それこそ男も見て来ましたし、それなりに深く知り合いもしましたけど。アナタが1番なんですローシュ』
後はアナタが受け入れるだけ。
「ルツとの問題が片付いてからでも」
コレも想定通り。
『別に良いですけど、このまま戻れと?』
経験が豊富な筈なのに、凄く赤くなるのが良い。
首まで真っ赤になって、鼓動の早さが布越しでも伝わって来る。
「分かったから、アーリスに休憩室に送らせるから、待ってて」
コレで単に返事をしても、彼女は逃げるかも知れない。
『本当にお願いしますね、役立たずなままでこの場を終わらせたく無いので』
「分かったから、待ってて」
『はい、絶対ですからね、じゃないと他の方にご迷惑を掛けるかもですし』
「はいはい」
そして俺が長旅で酔いが回ったかも知れない、と、それからアーリスに俺を休憩室に送らせ。
『良かった、来てくれたんですね』
何も言わずにレースを上げ、口付けを。
竜の花嫁だとも、異世界人だとも既に知っているのに、俺や周りの為に敢えて言わないでいるローシュが凄く愛おしい。
大変な筈なのに、甘えた事も頼る事もしない、してくれないのが悔しくて堪らない。
レースで隠されているだけの夜会服も、その服から覗く谷間も。
全てが堪らない。
「ご褒美だとアーリスに言われちゃったんだもの」
嫌がられる為に言ったのだろうけど、俺にしてみたら逆効果。
『ですね、ご褒美を下さいローシュ』
後でアーリスにお礼をしないと。
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