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更に更に、その後。
後押し。
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「ちょっ」
『消えちゃったね』
《クーリエの時と》
「同じね、瞬きの間に消えた、返事の後に」
『ローシュ、大丈夫?』
「何か、狐に化かされたみたい。こう、トリックスターの悪戯、と言うか」
『後押ししに来ただけみたいだしね』
《巧妙に情報を隠されたまま、後押しされただけ、ですしね》
「不安になるべきなのに」
『ねぇ、天使に』
『彼は確かに転移者であり、転生者、人です』
「こんな、贅沢な転移者の使い方をする?」
『私も主も関知してはおりません』
『って事は、やっぱり世界ちゃんが呼んでるって事?』
《平和の為だとして、なら、何故不適切な者が来るのか》
「世界ちゃんに開示されてる情報が限られてるんじゃない?けど呼ばなきゃならない、それか合わせで出さないといけない、とか」
『アレ?2人が言ってたカードゲーム?』
「ルツ、タロットカードがこの前出てたわよね、キャラバン経由で」
《はい、正史派との兼ね合いで最近まで制限されていましたが、出始めました》
「ソレの更に先、トランプカードと。麻雀は?中つ国で出てる道具を使って遊ぶ何か」
《牌九や馬弔なら既に存在していますが》
「まぁ、それらを更に組み合わせた様なのが麻雀で、タロットやトランプや牌九が勝手に配られて、出さないといけない」
『それが転生者とか転移者?』
「そう、絵柄に意味が有っても、ルールや役を知らないと意味が無い。無いと言うか、分からないままに出して役を成立させたり、組み合わせが悪くて変なのが来たり。逆に意味を知って出してるかもだけど、意図は有っても上手くはいかない」
『神なのに?』
「何を持ってして神とするか、単に見てるだけでも神なのか、見てるだけなら神じゃないのか」
『見てるだけじゃないよね、何かしてるなら』
「実はしてないかも知れない、選んでない、ただ配られる何かを見てるだけかも知れない」
《アナタが定義してしまうと、固定される恐れが有る》
「と言うか、選べない。選ばせる苦痛を与えるか、見ているだけの苦痛を与えるか、どっちが良いだとか悪いだとか無い。それを選ぶのは世界ちゃん、見てるだけか選ぶかを選ぶのは世界ちゃんがすべき事」
『そう定義したから、世界ちゃんは自分で選べる、とか?』
「ぁあ、コレ、凄く難しい事象よね。迂闊に情報開示したら、知った者に左右される、世界ちゃんの動きも」
『それこそ考えも、かもだよね』
「良い子なのかどうか、ただ見てるだけなら」
『悪い子の方が楽?』
「良い子は、どっちにしても、苦痛かも知れない」
《そもそも感情も何も無い方が》
『選べないなら何も無い方が良いよね、僕らと同じ様な感じなら』
「選べるなら世界ちゃんが選ぶべき、何も無くても、良いにしても悪いにしても。選ぶ苦痛が有るにしても、選べないよりは、でも」
《私達と似た者なら、ですね》
『コレ、迂闊に広めない方が良いよね』
「最善を選べそうな人、状況が揃うまでは、封印で」
《ですね》
コレ、我らに対しても、じゃよね。
《どうするアリアドネ、デュオニソス、ダイダロスや》
『どうもこうも、よね』
『僕らですら難しい問題だ』
『後回しにするのは好かんが、状況としては正に成熟度が足りない、人に考えさせるには場が不適切』
『なら、やっぱり封印よね』
『幸いにもココは既に他とは違う、僕らすら黙っていれば問題は無い』
『歯痒いがな、不自由な神の存在を認める等とは』
《神、なんじゃろかね?》
『そこよねぇ』
『先では信仰されているとしても、ココにその概念は存在すらしていなかった』
『我々、神々や何かが呼んでいる、とな。だが、我々の誰もが呼んだ感覚は皆無』
《アレらが言う通り、観測させられる立場に据えられた転移者、転生者かも知れぬよね》
『なら、どんな子か、だけど』
『良い子で有れば良いかどうか、それすら決め難い』
『そして我々は決める場所にすら居ない』
《まぁ、封印じゃよね、我々の中に》
『そうね、一旦忘れましょう』
『だね』
『あぁ、頼んだ』
《ふむ、我らに祝福を、呪いを》
『私達に祝福を、呪いを、忘却を』
神様に口止めを、と思ったのだけれど。
『世界ちゃん?』
《ふむ、何も分からんが?》
「まぁ、それなら良いんです、それなら」
《むー、気になるんじゃけど、どうせ詳しく知る意味が無いんじゃろう》
『私達って意外と、忘れる事も出来るのよ、ふふふふ』
「便利ですね」
『長く生きる為の魔法よ、アナタも使う?』
「囚われ秘密を吐きそうになったら死を、なので大丈夫かと」
『抱えたままで居るのね、アナタは』
「時間が有限ですし、出来る事が限られてますから」
《ふむ、それで真珠はどうなるんじゃ?》
『欲しいわよね、私達も』
「観光地化の片手間に、元から忙しく働かせるつもりも無いので、ゆっくりで問題無いかと」
『その合間に各地でも養殖を行う、楽しみね』
《いつになるやら分からんが、確実に得られるとなれば、待つのも楽しいものじゃな》
「しかも美味しい貝も食べれますし」
《アレじゃろ、ソイソースじゃろ》
『アレは?マヨネーズも気になるわ?』
「明らかに聞いてましたよね?私達の会話」
『まぁ、ね?』
『ダイダロスが気にしていたよ、マージャン、だっけ?』
《遊具好きじゃからねぇ》
「柄なら多少は分かりますけど、点数計算とか役は、そこまでは」
《鎖国までは手に入れて来るんじゃよ、ココで魔改造するでな》
「神様の魔改造って、マジでヤバそう」
《楽しみじゃよねぇ》
『お願いね』
『頼むよ、ローシュ』
そうして、国単位の引き籠りの準備も。
「はぁ」
『お疲れ様』
「寧ろコレからよ、期限は決まって無いけど国単位での引き籠りの準備、観光地化、秘密結社」
『真珠養殖に、後は?』
「麻雀、だけじゃなくて多分トランプにタロット。マヨネーズに、多分、次はカレーとか言われそう」
『ローシュのごはん美味しいもんね』
「素人なのよぉ」
『素人のプロじゃな?』
「セミプロ以下、コレでも私は良く言って中位なの」
『はいはい、あ、引き籠ったら好きに出来るから我慢してるとか?』
「確かに、そうね」
『じゃあより良い引き籠りの為に、準備しないとね』
「そうね、そう思うと一気に、頑張っても良い気がしてきたわ」
『本当に、ほんの少しの後押しだったのかもね』
「いえ、結構大きい後押しよ、何だか許された気分だし」
『原罪?』
「そうね、どう生きても怒られるなら、鬱々と生きるか楽しく生きるか」
『なら楽しい方が良いよね、絶対に』
「ね」
ローシュが言ってた通り、小さい石だと思ってても、大きく影響する事も有る。
《私達の言葉では、ダメだったんでしょうか》
『僕らはローシュの味方だから、あの子は味方とか好意に関係無しに意見を言った、同じ様にしたいなら好きじゃダメなんだと思うけど』
『アーリスさんが言う通り、無力かどうかで言えば有効かと、作用は確実にしていますよ』
『ルツ、不安?』
《私が居なくても平気なローシュを見るのは、凄く、色んな気持ちが混ざって不愉快ですね。道を踏み外す者の気持ちが、良く理解出来る気がします》
『それこそ期限は無いけど、いつかきっと受け入れてくれる筈だから、ね?』
《すみません》
『もう少しだけ、我慢して』
観光地化の中に、真珠養殖と貝の養殖が組み込まれた。
地図を見せた上で、道を自分達の好きに切り拓いて、均して貰ってる。
補給用の水や食料はウチから運び入れて、港から船に届ける予定、そこは立ち入らない様にして貰ってる。
倉庫の中は空、そのままドアを通ってウチのに運ばせる、疫病を広めない為にもこの方式になった。
今は竹の植林と、稚貝集めと道路整備、丈夫な建物はまだ倉庫と僕らのドア用の小屋だけ。
釘無しで家を建てられる技術を、ウチから分けてる最中。
「竹と木工に強いのが先代のお陰って、竹、強過ぎよね」
『丈夫だよね本当に』
「だけじゃなくて、それこそ燃料にもなるし器にもなる、他にも建材だ食料だ楽器だ武器だ。しかも成長が早いし病害も殆ど気にしなくて良い、何よコレ、チート植物じゃないの」
『武器って、弓?』
「ほぼバリスタ級の武器、アリね、防衛力は欲しいし」
『ウチの弓、木製だけど』
「竹のはヤバいわよ、慣れたら女子供でも強い弓が引けるのが和弓だから」
『へー』
「銃が出回りそうになったら和弓で誤魔化しましょう、ルツ、ネオスと相談しておいて」
《はい》
ローシュに言われ、実際に和弓の試射を見学させて貰う事に。
『コレは』
《強いわけですね、この国は》
ローシュの言う通り、私やネオスにすら引けない程の強弓を婦女子が軽く引き、距離と貫通力を見せ付けた。
威嚇は勿論、威力、殺傷力は銃に並ぶ。
『火薬武器の出回り始めを確認次第、ココからも出回らせるそうです』
《分かりました、ネオス、少し良いですか》
『はい』
《ココへは、いつまで》
『鎖国か、ローシュの記憶が戻るまで、ですね』
材料は揃っている。
けれども次は、長い眠りを必要とする。
《すみません、落ち着くまで、もう暫く》
『いえ、私はアナタの恩恵を分けて頂いた様なモノですし、役に立てているなら問題無いですから』
《ありがとうございます、では》
黒真珠を得るには、長い眠りが必要とされる、それこそ真珠が育つ様な長い時間が必要だと。
けれども役には立ちたい、出来るなら傍に居たい。
「お帰りなさい」
《ただいま帰りました、和弓も真珠養殖も了承頂けました》
「ありがとう、お疲れ様です」
《収穫を終えたら、少し休暇を頂こうかと》
「ぁあ、休暇の筈が本当に外遊になっちゃったものね、ごめんなさい」
《いえ、ですのでアナタもしっかり休んで下さい。他の者に仕事を任せるのも上の役目、なのでしょう》
「そうね、待つのも休むのも仕事と思えば良いんだし、引き籠りの練習もしないとね」
《はい、では》
『消えちゃったね』
《クーリエの時と》
「同じね、瞬きの間に消えた、返事の後に」
『ローシュ、大丈夫?』
「何か、狐に化かされたみたい。こう、トリックスターの悪戯、と言うか」
『後押ししに来ただけみたいだしね』
《巧妙に情報を隠されたまま、後押しされただけ、ですしね》
「不安になるべきなのに」
『ねぇ、天使に』
『彼は確かに転移者であり、転生者、人です』
「こんな、贅沢な転移者の使い方をする?」
『私も主も関知してはおりません』
『って事は、やっぱり世界ちゃんが呼んでるって事?』
《平和の為だとして、なら、何故不適切な者が来るのか》
「世界ちゃんに開示されてる情報が限られてるんじゃない?けど呼ばなきゃならない、それか合わせで出さないといけない、とか」
『アレ?2人が言ってたカードゲーム?』
「ルツ、タロットカードがこの前出てたわよね、キャラバン経由で」
《はい、正史派との兼ね合いで最近まで制限されていましたが、出始めました》
「ソレの更に先、トランプカードと。麻雀は?中つ国で出てる道具を使って遊ぶ何か」
《牌九や馬弔なら既に存在していますが》
「まぁ、それらを更に組み合わせた様なのが麻雀で、タロットやトランプや牌九が勝手に配られて、出さないといけない」
『それが転生者とか転移者?』
「そう、絵柄に意味が有っても、ルールや役を知らないと意味が無い。無いと言うか、分からないままに出して役を成立させたり、組み合わせが悪くて変なのが来たり。逆に意味を知って出してるかもだけど、意図は有っても上手くはいかない」
『神なのに?』
「何を持ってして神とするか、単に見てるだけでも神なのか、見てるだけなら神じゃないのか」
『見てるだけじゃないよね、何かしてるなら』
「実はしてないかも知れない、選んでない、ただ配られる何かを見てるだけかも知れない」
《アナタが定義してしまうと、固定される恐れが有る》
「と言うか、選べない。選ばせる苦痛を与えるか、見ているだけの苦痛を与えるか、どっちが良いだとか悪いだとか無い。それを選ぶのは世界ちゃん、見てるだけか選ぶかを選ぶのは世界ちゃんがすべき事」
『そう定義したから、世界ちゃんは自分で選べる、とか?』
「ぁあ、コレ、凄く難しい事象よね。迂闊に情報開示したら、知った者に左右される、世界ちゃんの動きも」
『それこそ考えも、かもだよね』
「良い子なのかどうか、ただ見てるだけなら」
『悪い子の方が楽?』
「良い子は、どっちにしても、苦痛かも知れない」
《そもそも感情も何も無い方が》
『選べないなら何も無い方が良いよね、僕らと同じ様な感じなら』
「選べるなら世界ちゃんが選ぶべき、何も無くても、良いにしても悪いにしても。選ぶ苦痛が有るにしても、選べないよりは、でも」
《私達と似た者なら、ですね》
『コレ、迂闊に広めない方が良いよね』
「最善を選べそうな人、状況が揃うまでは、封印で」
《ですね》
コレ、我らに対しても、じゃよね。
《どうするアリアドネ、デュオニソス、ダイダロスや》
『どうもこうも、よね』
『僕らですら難しい問題だ』
『後回しにするのは好かんが、状況としては正に成熟度が足りない、人に考えさせるには場が不適切』
『なら、やっぱり封印よね』
『幸いにもココは既に他とは違う、僕らすら黙っていれば問題は無い』
『歯痒いがな、不自由な神の存在を認める等とは』
《神、なんじゃろかね?》
『そこよねぇ』
『先では信仰されているとしても、ココにその概念は存在すらしていなかった』
『我々、神々や何かが呼んでいる、とな。だが、我々の誰もが呼んだ感覚は皆無』
《アレらが言う通り、観測させられる立場に据えられた転移者、転生者かも知れぬよね》
『なら、どんな子か、だけど』
『良い子で有れば良いかどうか、それすら決め難い』
『そして我々は決める場所にすら居ない』
《まぁ、封印じゃよね、我々の中に》
『そうね、一旦忘れましょう』
『だね』
『あぁ、頼んだ』
《ふむ、我らに祝福を、呪いを》
『私達に祝福を、呪いを、忘却を』
神様に口止めを、と思ったのだけれど。
『世界ちゃん?』
《ふむ、何も分からんが?》
「まぁ、それなら良いんです、それなら」
《むー、気になるんじゃけど、どうせ詳しく知る意味が無いんじゃろう》
『私達って意外と、忘れる事も出来るのよ、ふふふふ』
「便利ですね」
『長く生きる為の魔法よ、アナタも使う?』
「囚われ秘密を吐きそうになったら死を、なので大丈夫かと」
『抱えたままで居るのね、アナタは』
「時間が有限ですし、出来る事が限られてますから」
《ふむ、それで真珠はどうなるんじゃ?》
『欲しいわよね、私達も』
「観光地化の片手間に、元から忙しく働かせるつもりも無いので、ゆっくりで問題無いかと」
『その合間に各地でも養殖を行う、楽しみね』
《いつになるやら分からんが、確実に得られるとなれば、待つのも楽しいものじゃな》
「しかも美味しい貝も食べれますし」
《アレじゃろ、ソイソースじゃろ》
『アレは?マヨネーズも気になるわ?』
「明らかに聞いてましたよね?私達の会話」
『まぁ、ね?』
『ダイダロスが気にしていたよ、マージャン、だっけ?』
《遊具好きじゃからねぇ》
「柄なら多少は分かりますけど、点数計算とか役は、そこまでは」
《鎖国までは手に入れて来るんじゃよ、ココで魔改造するでな》
「神様の魔改造って、マジでヤバそう」
《楽しみじゃよねぇ》
『お願いね』
『頼むよ、ローシュ』
そうして、国単位の引き籠りの準備も。
「はぁ」
『お疲れ様』
「寧ろコレからよ、期限は決まって無いけど国単位での引き籠りの準備、観光地化、秘密結社」
『真珠養殖に、後は?』
「麻雀、だけじゃなくて多分トランプにタロット。マヨネーズに、多分、次はカレーとか言われそう」
『ローシュのごはん美味しいもんね』
「素人なのよぉ」
『素人のプロじゃな?』
「セミプロ以下、コレでも私は良く言って中位なの」
『はいはい、あ、引き籠ったら好きに出来るから我慢してるとか?』
「確かに、そうね」
『じゃあより良い引き籠りの為に、準備しないとね』
「そうね、そう思うと一気に、頑張っても良い気がしてきたわ」
『本当に、ほんの少しの後押しだったのかもね』
「いえ、結構大きい後押しよ、何だか許された気分だし」
『原罪?』
「そうね、どう生きても怒られるなら、鬱々と生きるか楽しく生きるか」
『なら楽しい方が良いよね、絶対に』
「ね」
ローシュが言ってた通り、小さい石だと思ってても、大きく影響する事も有る。
《私達の言葉では、ダメだったんでしょうか》
『僕らはローシュの味方だから、あの子は味方とか好意に関係無しに意見を言った、同じ様にしたいなら好きじゃダメなんだと思うけど』
『アーリスさんが言う通り、無力かどうかで言えば有効かと、作用は確実にしていますよ』
『ルツ、不安?』
《私が居なくても平気なローシュを見るのは、凄く、色んな気持ちが混ざって不愉快ですね。道を踏み外す者の気持ちが、良く理解出来る気がします》
『それこそ期限は無いけど、いつかきっと受け入れてくれる筈だから、ね?』
《すみません》
『もう少しだけ、我慢して』
観光地化の中に、真珠養殖と貝の養殖が組み込まれた。
地図を見せた上で、道を自分達の好きに切り拓いて、均して貰ってる。
補給用の水や食料はウチから運び入れて、港から船に届ける予定、そこは立ち入らない様にして貰ってる。
倉庫の中は空、そのままドアを通ってウチのに運ばせる、疫病を広めない為にもこの方式になった。
今は竹の植林と、稚貝集めと道路整備、丈夫な建物はまだ倉庫と僕らのドア用の小屋だけ。
釘無しで家を建てられる技術を、ウチから分けてる最中。
「竹と木工に強いのが先代のお陰って、竹、強過ぎよね」
『丈夫だよね本当に』
「だけじゃなくて、それこそ燃料にもなるし器にもなる、他にも建材だ食料だ楽器だ武器だ。しかも成長が早いし病害も殆ど気にしなくて良い、何よコレ、チート植物じゃないの」
『武器って、弓?』
「ほぼバリスタ級の武器、アリね、防衛力は欲しいし」
『ウチの弓、木製だけど』
「竹のはヤバいわよ、慣れたら女子供でも強い弓が引けるのが和弓だから」
『へー』
「銃が出回りそうになったら和弓で誤魔化しましょう、ルツ、ネオスと相談しておいて」
《はい》
ローシュに言われ、実際に和弓の試射を見学させて貰う事に。
『コレは』
《強いわけですね、この国は》
ローシュの言う通り、私やネオスにすら引けない程の強弓を婦女子が軽く引き、距離と貫通力を見せ付けた。
威嚇は勿論、威力、殺傷力は銃に並ぶ。
『火薬武器の出回り始めを確認次第、ココからも出回らせるそうです』
《分かりました、ネオス、少し良いですか》
『はい』
《ココへは、いつまで》
『鎖国か、ローシュの記憶が戻るまで、ですね』
材料は揃っている。
けれども次は、長い眠りを必要とする。
《すみません、落ち着くまで、もう暫く》
『いえ、私はアナタの恩恵を分けて頂いた様なモノですし、役に立てているなら問題無いですから』
《ありがとうございます、では》
黒真珠を得るには、長い眠りが必要とされる、それこそ真珠が育つ様な長い時間が必要だと。
けれども役には立ちたい、出来るなら傍に居たい。
「お帰りなさい」
《ただいま帰りました、和弓も真珠養殖も了承頂けました》
「ありがとう、お疲れ様です」
《収穫を終えたら、少し休暇を頂こうかと》
「ぁあ、休暇の筈が本当に外遊になっちゃったものね、ごめんなさい」
《いえ、ですのでアナタもしっかり休んで下さい。他の者に仕事を任せるのも上の役目、なのでしょう》
「そうね、待つのも休むのも仕事と思えば良いんだし、引き籠りの練習もしないとね」
《はい、では》
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