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その後。
瑠璃川 椛(もみじ)の憂鬱。
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クーちゃんに声を掛け、返事を聞けたかどうかで。
目の前で、瞬きしたら、消えて。
お守りだけが落ちてた。
《コレ、未開封じゃよね》
「帰れたんかな」
《じゃの、もう見ても良かろうよ》
とうどう くりお。
「漢字も、書かせとけば良かった」
真面目で律儀な子だったから、ちゃんと表札を出してたのよね、藤堂って。
でも下の名前がな、どんな漢字だったんだろ。
《ほれ、報告に参ろう》
「ぉぅ」
ダメだ、良い事なのに。
凄い、悲しい。
《だからって俺に泣き付くなよ姉上様》
「だっで、お前もがぞぐでじょうが」
《はいはい、けど相手を間違え過ぎだろ、ココはルツだろうに》
「ぅう、むりぃ」
《気位が高いっつーか、まだ、ダメか》
「袖にされだら、いやだがら」
《バカだなぁ、よし分かった、姉上が蔑ろにされたら俺がぶん殴ってやる。良いな?だから呼ぶぞ?》
姉上、アホみたいにぐしゃぐしゃに泣いて。
本当に何で俺なんだ、姉上。
「わがっだ」
《よし、ほら、泣いてて良いから待ってろ》
「ぁりがどう」
今まで、それこそ襲われようが何だろうが泣かなかったのにな。
未来の若いのは軟弱だ、とかあの婆さんが言ってたけど、全然じゃねぇかよ。
何だよその根性は、つかどんだけ強がってたんだよ弟に。
クーリナは、俺の弟でもあるのに。
クソ。
俺も泣きてぇのにな、アレで一緒に泣いたらルツに殺されるだろうし。
ルツに見られるのも癪だしな。
《ぉいルツ、ちゃんと甘やかしてやれょ》
《はい》
敢えて、クーリナは亡くなった事にしました。
そうする事で記念碑を建てられる、悲しみ、悼む事が出来る。
「死んで、ないのにか」
《同義ですよ、失ったんですから》
「ぅう」
《私達だけに分かる様に、小さく、目立たない様に作りましょう。そして彼が転移か転生しても分かる様に、誰もが来られる様な場所に、建てましょう》
「あまり、人が来ない所が良い。静かで、行った事が有る場所」
《スナゴヴ湖を覚えてますかね。王都近くの、孤島へ橋を掛けたい、と》
「ぁあ、土地開発用の視察でね」
《いずれは公園にするか、農地にするかで揉めている場所です》
「保留のままだったか」
《いえ、自然林として公園に、いずれは観光地にと。内需用なので、実際の需要は何百年も先かも知れませんが、彼なら見に来るかと》
「それか別の転生者か、転移者か。なら王にも埋まって貰うか、ワシも埋まる」
《当分先でお願いしますね》
「すまん」
《いえ、ですがそろそろアーリスもココへ呼んで良いですかね、流石にまだ手を噛み千切られたくないので》
「おう」
涙は、やっぱり美味しくない。
『マズい』
「そうか、マズいか」
《そろそろ食事を、大丈夫そうですね》
「すまん」
《いえ、では部屋に運ばせますから、先に戻っていて下さい》
『はいベール、戻ろう、手を引いてあげる』
「おう」
そうして部屋に戻った後も、ベタベタしてみたけど。
全然、何も言う気力も無いみたいに、すっかり寄り掛かられて。
けどさっきみたいにお腹が鳴って。
収まって暫くすると、また啜り泣いて、鳴って。
『ふふふ、生きようとして偉いね』
「ぅう」
『良い子良い子、大丈夫、クーリナは凄いんだし。大丈夫』
《お待たせしました》
『食べさせてあげようか?』
「いや、いい」
それからルツも僕も、余計な事を言ったら泣かれそうで、何も言えなかった。
食事が終わってからは、ただ背中を擦ったり、肩を撫でたり。
一服させても、歯磨きをさせても、お風呂に入れても元には戻ってくれなくて。
『寝れる?』
「分からん」
『じゃあ一緒に寝よう、ルツも』
《分かりました》
それから今度はトントンしたり、ハグしたり。
「ごめんね」
『何で謝るの?』
「泣くと、面倒がられた事が有るから」
前の男の悪い記憶。
クソ野郎に縛られて可哀想。
『クソ野郎に縛られて可哀想』
《面倒じゃないですよ、寧ろコレは当たり前で、もっと頼って欲しい位ですし》
『そうそう、良いとか悪いとかじゃなくて、コレは当たり前。それだけクーリナの事が大事だったんだから、離れたら悲しいのは当たり前だもの』
《元気にはなって欲しい気持ちはありますけど、無理にだとか、早くだとか。そんな事は一切思ってませんし、ココでは幾らでも悲しんで良いんです。自分と相手の為に、幾らでも悲しんで良いんですよ》
あぁ、家族を亡くすのはコレで3回目なんだもんね。
慣れないよね、近い程。
『辛いよね』
分かるよ、僕も凄く心が痛いから。
分かるよ。
目の前で、瞬きしたら、消えて。
お守りだけが落ちてた。
《コレ、未開封じゃよね》
「帰れたんかな」
《じゃの、もう見ても良かろうよ》
とうどう くりお。
「漢字も、書かせとけば良かった」
真面目で律儀な子だったから、ちゃんと表札を出してたのよね、藤堂って。
でも下の名前がな、どんな漢字だったんだろ。
《ほれ、報告に参ろう》
「ぉぅ」
ダメだ、良い事なのに。
凄い、悲しい。
《だからって俺に泣き付くなよ姉上様》
「だっで、お前もがぞぐでじょうが」
《はいはい、けど相手を間違え過ぎだろ、ココはルツだろうに》
「ぅう、むりぃ」
《気位が高いっつーか、まだ、ダメか》
「袖にされだら、いやだがら」
《バカだなぁ、よし分かった、姉上が蔑ろにされたら俺がぶん殴ってやる。良いな?だから呼ぶぞ?》
姉上、アホみたいにぐしゃぐしゃに泣いて。
本当に何で俺なんだ、姉上。
「わがっだ」
《よし、ほら、泣いてて良いから待ってろ》
「ぁりがどう」
今まで、それこそ襲われようが何だろうが泣かなかったのにな。
未来の若いのは軟弱だ、とかあの婆さんが言ってたけど、全然じゃねぇかよ。
何だよその根性は、つかどんだけ強がってたんだよ弟に。
クーリナは、俺の弟でもあるのに。
クソ。
俺も泣きてぇのにな、アレで一緒に泣いたらルツに殺されるだろうし。
ルツに見られるのも癪だしな。
《ぉいルツ、ちゃんと甘やかしてやれょ》
《はい》
敢えて、クーリナは亡くなった事にしました。
そうする事で記念碑を建てられる、悲しみ、悼む事が出来る。
「死んで、ないのにか」
《同義ですよ、失ったんですから》
「ぅう」
《私達だけに分かる様に、小さく、目立たない様に作りましょう。そして彼が転移か転生しても分かる様に、誰もが来られる様な場所に、建てましょう》
「あまり、人が来ない所が良い。静かで、行った事が有る場所」
《スナゴヴ湖を覚えてますかね。王都近くの、孤島へ橋を掛けたい、と》
「ぁあ、土地開発用の視察でね」
《いずれは公園にするか、農地にするかで揉めている場所です》
「保留のままだったか」
《いえ、自然林として公園に、いずれは観光地にと。内需用なので、実際の需要は何百年も先かも知れませんが、彼なら見に来るかと》
「それか別の転生者か、転移者か。なら王にも埋まって貰うか、ワシも埋まる」
《当分先でお願いしますね》
「すまん」
《いえ、ですがそろそろアーリスもココへ呼んで良いですかね、流石にまだ手を噛み千切られたくないので》
「おう」
涙は、やっぱり美味しくない。
『マズい』
「そうか、マズいか」
《そろそろ食事を、大丈夫そうですね》
「すまん」
《いえ、では部屋に運ばせますから、先に戻っていて下さい》
『はいベール、戻ろう、手を引いてあげる』
「おう」
そうして部屋に戻った後も、ベタベタしてみたけど。
全然、何も言う気力も無いみたいに、すっかり寄り掛かられて。
けどさっきみたいにお腹が鳴って。
収まって暫くすると、また啜り泣いて、鳴って。
『ふふふ、生きようとして偉いね』
「ぅう」
『良い子良い子、大丈夫、クーリナは凄いんだし。大丈夫』
《お待たせしました》
『食べさせてあげようか?』
「いや、いい」
それからルツも僕も、余計な事を言ったら泣かれそうで、何も言えなかった。
食事が終わってからは、ただ背中を擦ったり、肩を撫でたり。
一服させても、歯磨きをさせても、お風呂に入れても元には戻ってくれなくて。
『寝れる?』
「分からん」
『じゃあ一緒に寝よう、ルツも』
《分かりました》
それから今度はトントンしたり、ハグしたり。
「ごめんね」
『何で謝るの?』
「泣くと、面倒がられた事が有るから」
前の男の悪い記憶。
クソ野郎に縛られて可哀想。
『クソ野郎に縛られて可哀想』
《面倒じゃないですよ、寧ろコレは当たり前で、もっと頼って欲しい位ですし》
『そうそう、良いとか悪いとかじゃなくて、コレは当たり前。それだけクーリナの事が大事だったんだから、離れたら悲しいのは当たり前だもの』
《元気にはなって欲しい気持ちはありますけど、無理にだとか、早くだとか。そんな事は一切思ってませんし、ココでは幾らでも悲しんで良いんです。自分と相手の為に、幾らでも悲しんで良いんですよ》
あぁ、家族を亡くすのはコレで3回目なんだもんね。
慣れないよね、近い程。
『辛いよね』
分かるよ、僕も凄く心が痛いから。
分かるよ。
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