松書房、ハイセンス大衆雑誌編集者、林檎君の備忘録。

中谷 獏天

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第27章 夢と妻と作家と。

2 賢女愚女。

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 やたらに飯の不味い女が寮に来てしまって、僕は酷く困っていた。

 だからこそ、知り合いを唆し、その女を追い出させた。
 ただ、更に困った事になった。

 事前に声を掛けていた寮の新しい働き手が、妊娠してしまった、と。

 困った、僕はただ美味いモノが食べたいだけだと言うのに。
 不義理にも女は直ぐに結婚し、妊娠し、働かなくなる。

 いや、産み育てるのは確かに国の為にはなるが、段取りと言うモノが有るだろうに。

 全く、段取りを考えられない愚かな女が、寮の働き手にならなかった事は幸いだが。
 今日の夕飯のおかずが少なくなるのは困る。

 あぁ、何処かに女は落ちて無いだろうか。

 不誠実で不義理で不道徳な女では無く、いや、この際だ男でも一向に構わない。
 いや、寧ろ男の方が。

 お、やけに顔色が悪いご婦人が。

 そうか、そう言えば何処かの店で騒動が有ったとか何とか。
 そうか、職にあぶれた者かも知れないな。

「そこの君、大丈夫かい、えらく顔色が悪いけれど」

《仕事も、寮も失くしてしまって》
「あぁ、景気が悪い所はそうらしいね、田舎に帰るつもりかい?」

《いえ、けれど、宛が無くて》

 何かしら事情が有るらしいが、目下の僕の目的は食事の品数だ。
 僕の何よりの道楽は食、しかも死ぬまでに食える飯は限られているのだから、拘って当然だろう。

「成程。君、料理は出来るかな」

《はい、少しは》
「その他の家事はどうだい」

《はい、1人で暮らせる程度には》
「ならウチの寮に暫く来ると良いよ、何、他に住み込みさんも居るから大丈夫。それにウチがダメでも、その伝手で探せば良い」

 何かしら有ったらしく、かなり考え込んでいたが。

《はい、ありがとうございます》

 そうして僕は彼女と長い付き合いとなる事になった。
 いや、自分が撒いた種とは言えど、もう少し考えるべきだったとは反省してはいるが。

 飯は大事だ。
 生きるには必要な事。

 なら、楽しむべきだろう。

「下働き候補を探して来たよ、どうですかね」

『あぁ、良かった、今日の仕込みがまだ追い付かなくてね』
「ただ下働きはした事が無さそうだし、手加減しておくれね」

『はいはい』

 拾った彼女は偉く真面目で、図書館にまで行って家政の勉強をしているらしく、家事の腕は直ぐにも上達していった。
 そして何より、不誠実で不義理で不道徳な行いをせず、勤勉。

 僕は良い拾い物をした、と喜んでいた。



「随分と熱心だね、助かるよ」

《趣味、なんです》
「成程、きっと良い奥さんになるだろうね」

 僕は単に褒めたつもりだった、けれど彼女は真剣に悩み、考え込んでしまった。
 そして幾ばくかが過ぎると。

《そう、ありたいと思います》

 こう答えた彼女に、僕は瞬時に惹かれた。
 彼女は愚かでは無いし、誠実だ。

 しかも、料理が美味い。

 もし結婚するなら彼女だ。
 僕は直感し、直ぐにも彼女を口説き始めたが。

 彼女は簡単には靡かなかった。

 また、そこが僕には良かった。
 不道徳さの心配をする必要が無いのだから。



「君との結婚を考えているのだけれど、先ずはお付き合いから、どうだろうか」

 時に思いは言葉にし、形として残さねばならない。
 例え口約束だとしても、約束は約束だ。

 それは時に証となる、だからこそ言うべき事は言葉にする必要が有る。

 そうした筈が、どうしてか良い顔をされず。
 果ては考え込まれている。

 一体、彼女に何が有ったと言うのだろうか。

《少し、お返事をお待ち頂けますでしょうか》
「勿論、構わないよ」

 僕の予想としては、あまり家庭に良い思いが無いだとか、それこそ以前の仕事場で男に騙されかけたのではと。

 まぁ、どちらにせよ今は誠実で真面目、何より飯が美味いのだし。
 多少の事には目を瞑るつもりだ。

 欲張れば痛い目に遭うのは定石なのだしね。



《宜しく、お願い致します》

 それからの僕は、とても幸せだった。

 けれど、3年目が過ぎた春の日。
 今思えば、コレが原因だったのだと思う。

『凄い!綺麗で美味しそうなお弁当ですね』
「あぁ、僕の自慢の愛妻弁当だからね」

『そうなんですね、特にご自慢は?』
「良い塩梅の卵焼きだね、味付けも焼き加減も、僕の好み通りなんだよ」

『一口だけでも、ダメですか?』

「甘いけれど、構わないなら」
『えっ?甘いんですか?』

「あぁ、君の出身地は甘くしないのかな」
『ですね、何の味も無いか塩気ですけど、美味しいんですか?』

「僕にとってはね」
『あ、じゃあ、少し頂いても?』

「まぁ、少しだけ、ね」

『えっ、凄い美味しく感じるんですけど』
「だろう」

『良いなぁ、あ、仕事頑張りますから偶に下さい。あ、お礼もします、お菓子』

 後から知った事だけれど、彼女は孤児だった。
 コレが家庭の味なのだと、強烈に思えたらしい。

 片や僕は下っ端を甘やかす事が不得手で、コレならと、そう甘く考えていた。

「仕方無い、特に頑張った時だけだよ」
『はい!頑張ります!!』

 コレが、失敗だった。

 妻が如何に丹精込めて作ってくれていたか。
 それを知っていたにも関わらず、僕は気軽に、しかも異性に愛妻弁当を分けてしまった。

 今思えば、僕が妻の為だけに買って来た菓子を無断で他人に何度も分けられていたら、しかも異性に分けていたと知ったなら嫌で堪らない。

 けれど、妻の味を喜んでくれた。
 何より、自慢先が出来た事に、僕は浮かれてしまっていたのだと思う。

 僕とて、妻に異性の痕跡を見付けたなら、とても嫌だと言うのに。
 彼女の分野に、僕は異性の痕跡を残してしまっていた。

「ぁあ、捨てておいてくれて構わないよ」

 この時の僕は、酷く無神経で不誠実で、そして不義理だった。
 下っ端が渡して来た菓子の包み紙を折り鶴にし、弁当箱に入れていた事を、気にも留めなかった。

 まさか、彼女が勘違いするとは思わず、僕は何の弁解もしなかった。

《分かりました、処分しておきますね》

 そして後日、彼女が折り鶴を保管していた事を知った時に、何かを言えていれば。
 妻が勘違いしている、と、そこで気付けた筈だった。



「君、今の人は」
《あ、友人でいて下さっている方で》

「なら、関わりは控えた方が良い、あまり良い噂は聞かないからね」

 不意に出向いた先で妻の傍に居たのは、知り合いの女を奪った女だった。

《どの様な、噂なのでしょうか》
「君にはあまり聞かせたくない事なんだ、分かってくれないだろうか」

 巷では百合娘が流行っており、妻を奪われたくない一心からだった。
 例え子が出来無くとも、例え食事が作れなくなろうとも、もう僕には妻が必要だった。

 僕は、妻さえ居れば良い。
 その思いから、まさか妻が僕の浮気を疑っているなどとは、微塵も思っていなかった。

《分かりました》



 その出来事から数日後。

『あの、奥様が来られて』

「へっ?あぁ、それで?」

『その、私がお弁当に手を付けてる事を、お怒りでらっしゃったみたいで』

「へっ?いや、うん?」

 詳しく聞くに、彼女に味の好みを尋ねたり、卵焼きの文量を教えていったらしく。

『すみません、あれだけ丹精込めた手弁当の事を考えれば、良く考えれば分かる事だったのに。嫌ですよね、黙って他人に分けていた、しかも異性にだなんて』

 僕は、不誠実で不道徳で、実に不義理な事をしていたと初めて気付かされた。

「すまない、僕の責任だ」
『いえ、私も甘えてしまって、すみませんでした』

「いや、僕の方こそすまない、忙しさにかまけて言っていなかったんだ」
『ダメですよ、私だって黙ってそんな事をされたら嫌なんですから、どうか奥様と和解なさって下さい』

「あぁ、すまないね、そうするよ」

 そうして僕は家に帰り、直ぐにも妻に頭を下げた。

「いや、すまないね、君に黙っていた事は」
《いえ、大層な事でも無いですから》

 今思えば、随分と冷静だった。
 いや、冷たかったのだと、今なら分かる。

「珍しく、しかも美味しいからと強請られて」
《ありがとうございます、以降は彼女の好む味付けにしますので》

「いや、前と同じで構わないよ」

 まさか、弁当の全てを食わせているのだろう。
 そう勘違いしているとは夢にも思わなかった。

 だからこそ、この程度しか僕は弁解しなかった。

《では、以降は2つ、お作り致しますからご遠慮なさらないで下さい》

 料理は彼女の趣味だ。

 だからこそ、友人を取り上げてしまったせめてもの償いになるのではと、甘い算段すらしていた。
 まさか、浮気相手に愛妻弁当を差し出していると勘違いされている、とは思いもしなかった。

 僕は鈍感だ。
 その鈍感さは、罪だ。



『あの、豪華過ぎて怖いんですが』

 あれ以降、僕は彼女と食事を共にはしなかった。
 だからこそ、こうした異常事態に気付くのが遅れてしまった。

 いや、鈍感さ故とも言える。

「確かに、随分と」
『コレ、多分、宣戦布告ですよ』

「いや、妻は」
『多分、私、浮気相手か何かと勘違いされているのでは』

「いや、僕には」
『だとしても、どんどん豪華になるんですよ?何か誤解される様な事をしているのでは?』

「いや、僕が以前に黙って友人を取り上げてしまったから、だからこそだと思うんだけれど」
『だとしても、無理ですよ、交換を。いえ、もう、十分ですので遠慮させて下さい』

「僕と同じなら、大丈夫かい?」

『それならまぁ、凄く美味しいですし、助かりますけど』
「兎も角、誤解が有るかも知れない事を踏まえて、もう1度話してみるよ」

『お願いしますね、単に卵焼きだけで離縁させる、とか嫌なので』
「あぁ、勿論」

 僕とて嫌だ。
 妻と離れるなんて考えたくもない。

 そう考えていたからこそ、妻の勘違いには全く気付けなかった。

「もう、十分だそうだから」
《あら、遠慮なさらないでと仰っておいて下さい、コレは私のでも有るのですから》

「けれど手間暇が掛るだろう、と心配していてね」
《いえ、さして変わりませんし。もし飽きたなら、他の方に譲って差し上げて下さい》

「そうかい?」
《はい》

「じゃあ、そうさせて貰うよ」
《はい》

 男の鈍感さ、なるモノは罪だ。
 労働にかまけ、妻を慮れないのなら、結婚すべきでは無い。

 そう思っていたのに。
 僕は、妻を追い詰めてしまっていた。



『何か、久し振りに食べましたけど、先輩のだけ、味が濃くないですか?』

 確かめてみると、確かに他の弁当の味付けは薄い。

「何で」
『先輩、本当に浮気してませんか?』

 ココで初めて、僕は妻の勘違いに気付けた。

 増えた僕の折り鶴も、菓子の包み紙も全て、妻は浮気の証拠として飾っているに過ぎない。
 だからこそ弁当が豪華になり、味付けも濃くなり、良く出掛ける様になっていた。

 僕は、その勘違いに気付いてやれず。

「何も、無いんだ本当に」
『本当なら、奥様と話し合って下さい、誤解をしっかり解いて下さい』

「あぁ」

 ただ、僕は未だに納得はしていなかった、腑に落ちていなかった。
 何故、どうして勘違いをしたのか、僕には全く分らなかったからだ。



《どうして、ですか》
「確かに良く考えれば勘違いをしてもおかしくは無いとは思う、けれど、何故勘違いをしてしまったのかが分からないんだ」

《勘違い、ですか》
「僕は浮気なんてしていない、君だけだ」

《浮気、とはどうした事を言うのでしょうね》

「それは、夜伽も何もかも」
《どう、証明を。いえ、良いんです、私はどうせ石女なのですし》

「例え君と子が出来無くとも、例え君が料理を作れなかったとしても、僕は他の女に手を出す気は毛頭無い。確かに、君に黙って食べ物を分け与え続けた事は不誠実で不義理だ、けれども僕は不道徳な事は一切していない」

《なら》
「あの折り鶴は貰った菓子で僕が折ったものだ、それも確かに、菓子と君の料理を黙って交換し続けた事と絡んでしまうとは思う。けれど、それだけなんだ、下っ端を甘やかす良い案だと、すまなかった」

《それが本当なら》
「本当なんだ、それに、そもそもそんな暇は無いし。有ったとて、なら、君と一緒に外食に行った方が何倍も良い。すまない、黙っていた事は不誠実で不義理だと思う、君にちゃんと言うべきだった」

《けれど、だって、弁当箱が洗われる様になって》
「あぁ、それは確かに後輩からの助言が有っての事だけれど、僕がしていた事だ。すまない、確かにそこも勘違いさせてしまう要因だった、すまなかった」

 それがもし、全てが本当なら。
 私は、また。

《菓子の包み紙も、折り鶴も》
「弁当箱を洗っていたのも、全て僕だ」

《もし、全てが本当なら》
「あ!そうだ、少し嫌だけれど、その後輩について教えよう」

《それも、偽装なら》
「大丈夫、行こう」



 奥様の勘違いが私のせいで起こり、そして収束した。

《百合、娘?》
「あぁ、だから君の友人を遠ざけたんだ、すまない」
『あ、あの子に会ったんですか?』

「遠目からだけだけれどね、あぁ」

 それから奥様は顔をぐしゃぐしゃにして、しゃくり上げて。
 先輩にずっと謝って。

 あぁ、先輩はこんなに愛されて羨ましいと、私は心底思いました。

《ごめんなさい、私、私》
「良いんだよ、僕こそすまなかった、鈍感で不義理で、不誠実だった」

 男と女でも、相思相愛でも難しいのに。
 私は、女と女で幸せになろうとしている。

 同性だからこそ簡単かも知れないと思っていたけれど、関係無い。

 好きだからこそ、疑ってしまう。
 その事に性別なんて関係無い。

《アナタにも、ごめんなさい》
『いえ、食い意地が張ってしまって、本当にすみませんでした。私、孤児で、美味しい家庭の味だって思っちゃって。本当にすみませんでした』

 そうするとまた、奥様は泣き出してしまって。

《ごめんなさい、罰だと思っていたの、でも、本当にごめんなさい》

 誰にでも罪は有ると思うけど。
 先輩は何の事かサッパリ、と言った顔をしていて。

「そこも、すまない。君が言いたくない事を聞かない、それが、優しさのつもりだったんだ」

 奥様との馴れ初めは聞いている。
 困った様子の奥様を拾って、料理上手で誠実だからと結婚を申し込んだ。

 そして夫婦となり、改めてすっかり惚れ込んだのだと。

《私、私は》
『美味しいご飯を作れる人って良い人だと思うんです、しかも大切な人の好きな味付けだけって、そうじゃないと出来無いと思うんです。だから私は奥様を信じます、はい、後はお2人で話し合って下さい』

 そうして私は2人を追い出し、バーへと戻った。

『良い見世物だったわねぇ』
『もう、明弘さん、私もあんな相手が欲しい』

『殺したくなる程に愛される、だなんて、愛する方にしてみれば苦痛よ?』
『でも、私は誠実ですし』

『あの殿方も、誠実でもコレなのよ?何処でどう誤解が生まれるか、なんて制御出来たら苦労しないわ』

『はぁ』
『はいはい、ココで管を巻かずさっさと寝なさい。そうして早く出社して、先輩の為に働くのは、どうかしら?』

『はっ!そうする!そうします!』
『面白かったから今日はツケで良いわよ、さっさと帰りなさい』

『はーい!』



 僕は、過去を知る必要は無いとさえ思っていた。
 けれど、知らない事は時に無責任ささえ表すのだと、理解した。

《私は、勘違いから、似た事をした側だったんです》

「した、側」
《勘違いから、妻の居る方に、懸想していたんです》

 あぁ、だからこそ、彼女は浮気だと勘違いしたのかと腑に落ちた。
 だからこそ、もう、僕はそれで満足した。

「そう、けれど今回も勘違いだ。さ、家に帰ろう、君のご飯を食べに」

《どうして》
「幼い頃の失敗は誰でもするし、僕も今回は失敗した、僕にもかなりの落ち度が有った。それに君はもう、今は分かっているだろう、今は誠実で真面目な僕の妻だ。僕にはそれで十分なんだけれど、君は、それでは嫌だろうか」

《私は、無神経で、浅はかで愚かで》
「でも今は違う、少なくとも僕はそう思う。だって考えてもみてくれないか?折り鶴も包み紙も、もし本当に浮気で、君が浅はかで愚かなら何も思わなかった筈。しかも仕事場で後輩も僕も責めなかった、寧ろ無神経なら責めてた筈、そうしたら流石に大きな失敗だったと思う」

 けれど、妻は歩み寄ろうとした。
 例え償いだったとしても、僕の立場を守ってくれた。

《それでも、ごめんなさい》
「味付けは元に戻して欲しいな、それだけで僕は。いや、君が離れたいと思わないなら、ずっと一緒に居たいと思う」

 慰めのつもりが、余計に妻を泣かせてしまった。

 けれど、ココまで我慢させてしまっていた事の現れだ。
 それが僕はとても悔しい。

 気付けなかった、鈍感だった。
 それが本当に悔しい。

《一緒に、居たいです》

 もっともっと、幸せにしよう。
 償いでも何でも良い、僕は2人で幸せになりたい。



《参ったな、大戸川先生に便乗してしまったみたいに》
「先生、大戸川先生も同じ事を仰っていましたよ」

 今回、本来なら別々の案から出た作品だったんですが。
 根本の類似性を加味し、敢えて大戸川先生が佐藤先生の作品に合わせ手直しした、連作の様な数珠繋ぎ作品となりました。

《あぁ、でも、大丈夫だろうか》
「大丈夫ですよ、先生も同じ事を仰ってましたから」

《本当かい?》
「本当です」

 凄い先生と凄い先生が、同じ事を仰っている。
 しかも、互いに相手を凄い凄いと仰って、自分は平凡だと。

 一体、先生方から見える世は、どうなっているのでしょうか。

《こう、何か、改善点は》
「何処までも同じなんですね、不思議です、もしかして親子でらっしゃるんですか?」

《いや、とんでもない》
「大丈夫です、次の手紙の束を楽しみにしてて下さいね」

《ぅうん》
「それより、奥様へのお土産を選ばなくて良いんですか?」

《あぁ!林檎君》
「はい、一緒に行きましょう、獅子像の有る三谷へ」
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