ヴィティスターズ!【ワイン擬人化♂】

独身貴族

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ワイン会 台本

★ワイン会用台本 フランス編

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《ワイン会》第一回 台本

《キャスト》
カベルネ・ソーヴィニョン
メルロー
シャルドネ
ピノ・ノワール


────────────────

①【挨拶台本】


N「皆様、本日はワイン会にお越しいただき、ありがとうございます。本日出勤のメンバーをご紹介いたします。まずは……この品種から!」


カベルネ
「今日は来てくれてありがとう。俺はカベルネ・ソーヴィニョンだ。多分、聞いたことがある人もいるだろう。どうか最後まで、俺たちと楽しんでいって欲しい。よろしく」
「カベルネ・ソーヴィニョン役の〇〇です。(何か一言)」


メルロー
「みんな、ボンソワール! 来てくれてとっても嬉しいよ。僕はメルロー。カベルネと一緒に、世界中で仕事をしているんだ。よろしくね」
「メルロー役の〇〇です。(なにか一言)」


シャルドネ
「今日は来てくれてありがとう! 俺は世界の人気者、シャルドネだ。シャンパンを作っている、ちょー有名な品種だぜ。よろしくな! 今宵は……君の瞳に、乾杯」
「シャルドネ役の〇〇です。(何か一言)」


ピノ
「本日は、お集まりいただき、感謝します。私はピノ・ノワール。おそらく、この名を知らない者はいないはず。……なに? 聞いたことがないだと? ……ふん。後で骨の髄まで教えて込んでやる。光栄に思え」
「ピノ・ノワール役の〇〇です。(何か一言)」


N「はい、では自己紹介が済んだところで、はじめちゃいましょうか!」


ピノ「ヴィティスターズ」
メルロー「アット・ワイン会!」
シャルドネ「俺たちと一緒に!」
カベルネ「盛り上がって行こう!」

─────────────────────

②【本編】

[SE:ドアのベルの音]

[SE:足音]

シャルドネ 
「アンシャンテ、マドムァゼル~♡ ようこそ、ワインバー『ヴィティスターズ』へ。……いいねえいいねえ、集まってるねえ! みんな、ワインは好きかー? よしよし。それじゃあ、俺のことは知ってるかー? 世界の人気者、シャルドネだ! どーぞよろしくぅ! メルスィ~!」

ピノ
「はあ。相変わらず騒がしいやつだな。シャルドネ」

シャルドネ
 「いやいや、お前らがくる前に、場を盛り上げようとしてんのよ、ピノ様」

カベルネ 
「いつも以上に浮ついているな。少し落ち着いたらどうだ、シャル。ピノ・ノアールを見習え」

シャルドネ 
「いやいや、カベルネさーん。ピノぐらいにテンション下げたら俺、死んじゃいますって」

カベルネ
「そんなことで死ぬ奴はいない」

シャルドネ 
「いや、風味とかさ。アロマとか。へろへろ~ってなっちまう」

ピノ(呆れ)
 「お前、アロマをテンションで補ってるのか。呆れた……」

メルロー
 「ほらほら、君たち。ワイン会、始めるよー?」

カベルネ
「そうだな」

シャルドネ
「はいはーい。メルちん」

ピノ
「はあ……。やっとか」

メルロー
「はい。まずは、僕たちを知らない人のために、自己紹介していこうと思います。まずはシャル、お願いします」

シャルドネ 
「よっしゃ! トップバッター行きますっ!
改めまして、俺はシャルドネだ。白ワイン用品種で、出身地はフランス、ブルゴーニュ地方。シャンパンとかシャブリを作っている、めちゃめちゃ有名な人気者さ。よろしく!」

メルロー 
「(苦笑)人気者って、自分で言っちゃうんだ?」

シャルドネ 
「だってそうじゃん? 映画やドラマには引っ張りだこでさ? パーティーなんかは俺がいないと始まらねえしな! 一部では人気すぎてうざがられてるみたいだけど、気にしない! かっこよくてイケメンで、モッテモテな俺が悪いのさ(ドヤァ)」

メルロー(スルーして)
「じゃあ次は、カベルネ、行こっか」

シャル「あ! ちょっと、スルーしないで……」

カベルネ
「よし。(一呼吸)俺はカベルネ・ソーヴィニョン。赤ワイン用品種で、出身地はフランスのボルドー地方。最近ではチリやアメリカでもワインを作っている。もし見かけたら、ぜひ飲んでみてほしい」

メルロー
「カベルネは世界で活躍している品種なんだよ。かっこよくて頼りになる、僕らの憧れの的さ」

シャルドネ
「持ち上げるねえ、メルちん。お前だって、カベルネと一緒に、世界で仕事してんじゃねえか」

メルロー
「僕はフォロー役。主役はいつだってカベルネさ」

カベルネ
「そんなことはない。メルも、十分実力を持っている。もっと注目されるべきだ」

メルロー
「でも、カベルネには敵わないさ」

カベルネ
「俺だって、メルのフォローがないとあまり本気が出せない」

シャルドネ 
「え、何、2人して惚気あってんの?」

カベルネ 
「(咳払い)そういうわけじゃ」

メルロー(被せて)
「はい、じゃ次行こっか。次は……」

ピノ
「お前が行くといい。メルロー」

メルロー
「そう? じゃあ、お先に。
僕はメルロー。赤ワイン用品種で、出身はカベルネと同じ、フランスのボルドーだよ。カベルネが渋みや骨格がしっかりしているのに対して、僕はまろやかでタンニンが落ち着いているから、きっと飲みやすく感じるんじゃないかな。お店で見かけたらよろしくね!」

カベルネ
「最近では、日本でもよくワインを作っているんだよな」

メルロー
「日本の気候は、僕にはちょうどいいんだ。カベルネは苦手みたいだけど。最近はピノも、仕事しているんだよね?」

ピノ
「温暖化の影響でな。まさか極東の地で、ワインを作ることになるとは思わなかった」

メルロー
「だね」

シャルドネ
「んじゃあ、最後はピノ様! お願いしまっす!」

ピノ
「ああ。私はピノ・ノワールだ。出身はフランス・ブルゴーニュ地方。
赤ワイン用品種だが、時々、白の発泡性ワイン──俗に言うシャンパンを作ることもある。代表的なワインは色々あるが、ロマネ・コンティが一番有名だろう」

メルロー
「そうだね。あとはジュブレ・シャンベルタンとか」

シャルドネ
「あげたらキリがないぜえ」

カベルネ
「ピノ・ノワールは優雅で気高く、芸術的で気品を纏った、まさしく、ワインの中の王と言えるだろう」

シャルドネ
「ま、そのおかげで、ぼっちでいるのが大好きな、捻くれ者になっちまったんだよな」

メルロー(咎める)
「シャルドネ?」

シャルドネ
「だって、本当のことだろ? しかも、暑いところがダメ、湿気もダメ、雨も嫌いで、ほんと付き合い悪いんだよなあ」

メルロー 
「ピノは肌が薄いから、雨に当たるだけで皮膚が割れたり、すぐ病気になったりするからで、こればかりはしょうがないじゃないか」

シャルドネ 
「もー、超繊細君なんだよなー。色々とこだわりも強いみたいだし? とっつきづらくてしょうがないぜ」

ピノ
「では言わせてもらうが、シャルドネ、お前は遊び歩きすぎだ。もう少し繊細さを持ったらどうなんだ。無神経すぎるから、敵を作るんだぞ」

シャルドネ
 「お前だってそうだろ。そのひねた性格、ちょっと直した方がいいぜ」

ピノ
「お互い様だ」

メルロー
 「もー、同じ活動場所の仲間なんだからさ、もっと仲良くしようよ」

ピノ 
「別に仲が悪いわけじゃない」

シャルド
「 そーそ、こいつ結構、俺のこと好きだぜ?」

ピノ 
「馴れ馴れしく手を回してくるな。そういうところが嫌だと言っているんだ」

シャルドネ
 「あーあー、言ったそばから。つれないやつー」

カベルネ
「仲いいんだか悪いんだか……」

ピノ
「まあ、病弱で生産量が少ないのは本当のことだ。そのため、希少価値が上がり、「死ぬまでに飲みたい幻のワイン」などと言われることもある。そして、飲んだ者はその素晴らしさにひれ伏す、だとか……」

シャルドネ
「流石にそれは、言い過ぎじゃね? って思うけどな」

ピノ
「お前だって、あの大作家デュマに『脱帽し、跪いて飲むべし』と言わしめた、白ワイン・モンラッシェ。あれを作っているだろう」

シャルドネ
「あーはいはい、あれねー。いたく気に入られちゃったんだよね~」

メルロー
「そうきくと、ピノもシャルも、すごい品種だな。僕たちなんて、横にいたら霞んじゃうね、カベルネ」

カベルネ
「そんなことはない。メルだって、シャトー・ペトリュスを作っているじゃないか。アガサ・クリスティの小説にも登場しただろう」

メルロー
「だったらカベルネだって、ワインの頂点とも言える五大シャトーの、ほとんど主役を張ってるじゃないか」

ピノ
「ま、つまり、ここに集まったのは、それなりに世界に名の知れているメンツというわけだ」

シャルドネ
「そゆこと」

ピノ
「しかし今でこそ、カベルネはあちこちで活躍しているようだが、注目を浴び始めたのは18世紀から。1世紀以前から存在する私からすれば、まだまだ青二才だ」

カベルネ
「ああ、もっと自分の可能性を広げていきたいと思っている。そのためにも、一つ一つの出会いを大切にしていきたい。今日、ここに集まってくれたみんなとの出会いも、大切な一歩だ」

シャルドネ
「そうそう。もっともっと俺たちのワインを飲んで、好きになってもらわないとな」

メルロー
「そうだね」

シャルドネ
「じゃあ、まずはシャンパンで、乾杯と行きますか! ピノ、例のアレ、持ってきたか?」

ピノ
「勿論だとも。ボランジェ・スペシャル・キュベ。英国王室御用達で、あのジェームズ・ボンドもスクリーンの中で愛飲している、代表的なシャンパーニュの一つだ。今日はマグナムを用意した。これを、特別に……」

[SE:サーベルを抜く音]

ピノ
「サーベラージュをしようと思う」

シャルドネ
「(口笛)待ってましたぁ!」

カベルネ
「なるほどな。それで、色々と荷物を持ってきていたのか」

メルロー
「知らない子もいると思うから説明するね。サーベラージュっていうのは、サーベルを使って、シャンパンの口を切る儀式のこと。フランスでは、お祝いの席でやるんだ」

シャルドネ
「決まればめちゃめちゃかっこいいが……失敗すると失笑されんだよな。あれマジで緊張するんだよ……」

カベルネ
「ん。どうやら、準備ができたようだ」

ピノ
「……では、こうしてワイン会の第一回目を執り行うことができたこと、そして、ここにいる皆に出会えたことを祝して」

[SE:サーベルを振るう]
[SE:ワインの口が飛ぶ音]

ピノ「Que le bonheur nous vienne」
  (クル ブヌァウ ヌ ヴィエン)
  (意味:我らに幸福があらんことを)

[SE:3人の拍手]

シャルドネ
「よ! ピノ様。カッコい~」

メルロー
「なかなか一回で決めるの難しいんだけど、そこは流石、ワインの王ピノ・ノワールだね」

[SE:サーベルをしまう音]
[SE:ワインを注ぐ音]

ピノ
「さ、カベルネ。お集まりのマドムァゼル達に、このワインを振る舞ってきてくれ」

カベルネ
「ああ、わかった」

シャルドネ
「俺も手伝うぜ」

メルロー
「僕も。シルヴプレ、マドムァゼル」
(どうぞ、お嬢さん)

カベルネ
「シルヴプレ」

シャル
「シルヴプレ」

ピノ
「……さて、ワインは行き渡ったか? それでは改めて、乾杯と行こう」

メルロー
「この素晴らしい出会いと」

カベルネ
「限りない俺たちの発展と」

シャルドネ
「酔いしれるような甘美なるひとときに」

4人
「サンテ!」

end
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