ヴィティスターズ!【ワイン擬人化♂】

独身貴族

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幻編

☆幻のワイン フランス編 後編

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幻編 銀行強盗 後編 上演時間:30分

《キャスト》
カベルネ:
メルロー:
シャルドネ:
ピノ:
フラン:
シラー: 
アレク:
デュポン:
パロミノ:
ペドロ:
マルヴァジア・ビアンコ:
ベルナール:


…………………………

▶︎シーン⑥
 シャルドネ:
 フラン:
…………………………

◯警察局内

フラン
「ふう……午後のコーヒータイムだ。やっと一息つけるな(飲もうとする)」

[SE:シャルドネから電話]

フラン「(びっくりして)おわっ! あわっ! あちち……ああ、くそッ。コーヒーこぼした……カベルネ! メルロー! ──ああ、いないんだった……ええい、くそ!」

[SE:受話器を取る]

フラン
「(半ばキレ気味に)はい、ボルドー警察局!」

シャルドネ
『(能天気に)アロー? その声はフランかなー?』

フラン
「……切るぞ」

シャルドネ
『ああ、待て待て。例の銀行強盗のことで、渡したい情報がある。捜査はどのくらい進んでる?』

フラン
「お前に教える理由がない。情報とはなんだ」

シャルドネ
『そんな一方通行な会話ってあるう? 何事も等価交換、だろ?』

フラン
『はあ……。じゃあいい』

シャルドネ
『ちょ、ちょ、ちょ、待て待て待て、切るな、切るなよ? わかった。俺の方から話す。今回の事件の首謀者は、ワインの持ち主、ベルナールのじいさんだ』

フラン
「はあ?」

シャルドネ
『金に困ってたじいさんが、狂言犯罪したんだよ。身内に盗ませて、銀行から賠償金を巻き上げるのが目的だ』

フラン
「どこからそんなでまかせ……」

シャルドネ
『じいさんの口から俺にゲロったんだよ!』

フラン
「なんでお前にそんなこと話す」

シャルドネ
『それはッ……ちょっと色々あって』

フラン
「はあ……また勝手な事したんだろう。警察でもないのに刑事ごっこはやめろ」

シャルドネ
『ああ? ごっこってなんだよ。俺のほうが先に真相掴んでんじゃんか。警察の方がお遊びやってんじゃねーの?』

フラン
「(怒りを込めて)本気で言ってるのか?」

シャルドネ
『あー……わり、失言だった。謝る。けど、マジな話だ。じいさんの甥のエドモン・デュポンって男を探したほうがいい。そいつが今ワインを持って逃走している』

フラン
「なんだと……?」

シャルドネ
『じいさんがやつに盗ませたはいいが、連絡が取れないと言って俺に縋ってきた。すぐ、カベルネたちに連絡したほうがいい』

フラン
「……ああ、そうする」

シャルドネ
『俺も今、やつが行きそうな所を順に当たっている。ピノも一緒だ。また何かあったら連絡するから。そんじゃ』

フラン(ややぶっきらぼうに)
「……ありがとうな」

シャルドネ
『え?』

[SE:受話器を置く音]

***

◯一方、電話を切られたシャルドネ

[SE:ツー、ツー]

シャルドネ
「ははっ。フランのやつ……」

(間)

………………
▶︎シーン⑦
 カベルネ:
 メルロー:
………………

◯ヴィティスの街中

[SE:走ってくる]

メルロー
「カベルネ! 今フランから電話があって──犯人がわかったって!」

カベルネ
「なにっ……」

メルロー
「元銀行員のエドモン・デュポン! 彼がワインを持っているらしい! 話はおいおいするから、とりあえず彼のアパートへ急ごう!」

カベルネ
「わかった」

[SE:パトカーに乗る音]

カベルネ
「だが、マルヴァジアの話では、デュポンは深夜まで、店で飲んでいたらしいのだが……」

メルロー
「彼のことはあまり信用できないんじゃないかって、僕は思ってるよ。アリバイの件で尋問したい所だけど、それは後! まずはデュポンの身柄を確保するのが先だ!」

カベルネ
「ああ。知り合いを疑いたくはない、が……マルヴァジアは時々、俺たちに隠し事をしているようだからな……」

[SE:発進音]

***

◯デュポンのアパート

[SE:足音]

メルロー
「カベルネ! 管理人から部屋の鍵を借りてきた!」

カベルネ
「いいぞメル! 何度かドアベルを鳴らしたが反応がない。やつはおそらく──」

[SE:ドアを開ける音]

カベルネ
「警察だ! ……くそ! 遅かったか!」

メルロー
「部屋の様子からして、デュポンはあの後、すぐにここを出て行ったようだね」

カベルネ
「元々そのつもりだったのだろう。嫌に部屋が片付いていると思った」

メルロー
「彼を銀行強盗の容疑者として、指名手配しよう」

カベルネ
「そうだな」

メルロー
「だけど、デュポンは……悪い人には見えなかったのに……」

カベルネ
「人間というものは見かけではわからないものだな」


………………
▶︎シーン⑧
 デュポン:
 パロミノ:
 アレク:
 ペドロ:
………………

◯三番倉庫

[SE:カラスかウミネコ]


デュポン
「なんでこう、取引の場所って港街の倉庫が好まれるかな……」

[SE:足音 立ち止まる]

パロミノ
「オラ(やあ)、ご足労ご苦労様。せっかく盗んだ代物を、売りたくて売りたくて仕方ないっていう子豚ちゃんは、あんたのことかな?」

デュポン
「こぶ……。(咳払い)あんたがシェリーか? モスカートから紹介された」

パロミノ
「まぁね。旦那からは話は聞いてるよ。モスカートだかミュスカだかマスカットだか、(吐き捨てるように→)なんでもいいけど。ワインを売りたいんだってね。まぁ、ここに来て正解かなー。俺ならあんたの望み、叶えてあげられるよ。その手に持っているのが、ロマネ・コンティ? それとも、……偽造酒の方?」

デュポン
「……なにっ」

パロミノ
「あれっ。もしかして、バレてないって思ってるー? あんたの話は、裏では結構有名なんだよ? 初めはルディってやつを通して、ワインのコルク片や樹脂を切り取って、偽造家に渡してた。でも、ある時一線を超えて、ワイン自体を偽物とすり替えてしまった。高値で売れたのはいいけれど、他所で同じ偽造家のワインが検挙されてしまって、危機感を感じた。それで叔父と共謀し、ワインを盗むことで、偽造にすり替えたワインも一緒に回収し、横領の事実をうやむやにしようとした──」

デュポン
「なぜ、そこまで……!」

パロミノ
「手口が雑だし、第一あんたはワインを愛していないでしょ──そういうやつは、この街では目をつけられるんだよ。お分かり?」

デュポン
「なるほど。流石ワインの街ヴィティスだ。だが、俺は別にワインが好きでここにいるわけじゃない。用が済んだら出ていくつもりだ」

パロミノ
「うん、その方がいいよ。なんなら、手助けしてやってもいいけどねー」

デュポン
「ほぉ?」

パロミノ
「俺たちは貿易船を持っているからね。積荷と一緒に外へ運んでやることもできる」

デュポン
「なるほどな。それはぜひお願いしたい」

パロミノ
「まずはワインを見せてもらわないとねー。偽造酒の方もまとめて買ってあげるよ。偽物っつっても、色々と使い道はあるしねー」

デュポン
「いくらだ。いくら出す」

パロミノ
「あはっ。せっかちは嫌いだよー。この倉庫の持ち主は仕事仲間だけど、信用できないんだよねー。別のところでゆっくりお話ししよう?」

デュポン
「俺は早くこいつを手放したいんだ。悠長にお喋りする気はない」

パロミノ
「あ、そう? じゃあ、このまま帰る? そろそろ警察が、あんたをお迎えに来る頃だろうだけど」

デュポン
「脅しをかけるのか。警察が嗅ぎつけるには早すぎる」

パロミノ
「あんたの叔父が口を割ったらしいよー。何本か返してやれば良かったのに」

デュポン
「何!? ワインは返したはずだぞ!? 隠し場所も教えた。今頃……」

パロミノ
「ワインは一本もなかったらしいよ? あんたじゃないんだったら、お友達が他所へ移したのかも」

デュポン
「あいつ……!! クソ!」

パロミノ
「あーあ、そのワイン2本だけじゃ、取引はできないかなー」

デュポン
「……偽造酒の方は、別のところに隠してある。その場所は俺しか知らない。モエ・シャンドン・ドン・ペリニョン、シャトー・マルゴー、ジュブレ・シャンベルタン・ルロワ……これで用足りるか」

パロミノ
「ふーん? まあ、いいんじゃない? 乗ってあげるよ。じゃあ、その隠し場所を教えてくれる?」

デュポン
「待て、金が先だ。ワインは俺が持ってくる」

パロミノ
「警察が街をうろついているのに? 俺の手下に、持って来させる方が早いって」

デュポン
「俺はまだ、あんたを信用できていない」

パロミノ
「ここまで優しくしてあげてるのに、何が信用できないわけ?」

デュポン
「まずは、この2本分の金を用意しろ」

パロミノ
「……ねえ、言うこと聞きなよ。お互いに時間がないんだからさ。……それに、なるべく穏便に行きたいしね」

[Se:おもむろに銃を持て遊ぶ]

[Se:物陰から2人の足音]

ペドロ
「そーだよ。船長の言うこと、聞いといた方が身の為だよ?」

アレク
「こっちも、金を持って逃げられちゃあ困るんだ。俺らもなるべく乱暴なこと、したくないんだよ……」

ペドロ
「えへへへ……(でかい剣で遊んでいる)」

デュポン
「はぁ……海賊の真似事か?」

ペドロ
「真似事とはなんだ! れっきとした海賊だぞぉ! フォーティファイド商会ヘレス支部のパロミノ、ペドロ、アレクの三人衆! 人呼んで海賊シェリーとはオレたちのことだ!」

アレク
「まぁなんだ、噂とかで名前くらいは聞いたことあるだろ? 俺たちは略奪を厭わない、ちょっとしたお尋ね者さ」

パロミノ
「さぁ、子豚ちゃん。さっさとワインの在り処を教えな。このお口はそれくらい、言うことできるよね?」

デュポン
「……」

………………
▶︎シーン⑨
 シラー:
 カベルネ:
 メルロー:
 シャルドネ:
……………………


◯港町

[SE:波の音]

シラー
「よお、カベルネ。パトカーってのは随分スピードが出せるんだな。俺も乗り換えようかね」

カベルネ
「冗談言ってる時じゃないだろ。シラー、怪しい男を見たと警察に連絡を入れたそうだが、どのあたりでそれを見かけたんだ?」

シラー
「はいはい、デュポンとかいう男ね。そこの『アスティ・デリ・アンジェリク』つぅ果物屋から出て、道路を渡って、向こうの路地へ入って行ったぜ。そいつの顔をどっかで見たと思ったらよ、前に北区のいけすかねぇ店まで、俺のタクシーで送り届けたことがあるのを思い出してな。スカした顔しながら、裏仕事に手をつけてんのかとあれこれ勘繰ってたわけよ。で、その男が大事そうにカバンを持って、キョロキョロしながら果物屋から出てくるんだ。気になって何気なく見てたら……数メーター後ろから、スペインのお花海賊野郎がつけやがってた。そんで、やっぱりあいつ、何かあるなってピンときたっつーわけよ」

メルロー
「お花海賊って……」

シラー
「わかんだろ? フォーティファイド商会ヘレス支部、通称『海賊シェリー』のやつらだよ」

カベルネ
「それで、警察へ連絡したのか」

シラー
「うんにゃ。それだけじゃ、しねえな。ちょいと俺も後をつけてやろうと思ったら──あいつに出くわしちまってよ」

メルロー
「あいつ?」

シラー
「シャルドネだよシャルドネ! あいつが横っ面から話しかけてくるから、その男を見失っちまったんだよ!」

[SE:回想]

シャルドネ
「よっ、シラー、お疲れちゃーん。こんなところで油売ってんのか、ん? って、何睨んでんだよ近い近い怖い怖い怖い」

シラー
「あぁん? テメェこそなんでこんな所うろついてんだよ、ピノの金魚の糞してんじゃなねぇのかよ、あぁん?」

シャルドネ
「ちょぉ、なんでそんな機嫌わりーんですかぁ。なんか俺お邪魔しちゃった感じ?」

シラー
「(舌打ち)別にたいしたことねぇよ。ちょっと気になる連中がいたってだけだ。テメェの所為で見失ったけどな!」

シャルドネ
「そりゃどーも、すみませんねえ。……それって、どういう連中? 何でかい鞄か何か、荷物を持ってたりしなかった?」

シラー
「ああ、持ってたよ。真面目そうな男が1人、ワインが入りそうなケースをな。んでその後を、シェリーの連中がつけてた」

シャルドネ
「シェリーが……? まさか、その男って、メガネでこんな髪型のこーんな男じゃなかった?」

シラー
「おいおい、まさかも何も、そいつだぜ」

シャルドネ
「マジかよ! んで、そいつはどこへ行った!?」

シラー
「そこの路地に入った。港の方へ行くつもりなんだろ。というか、なんなんだ? また変なことに顔突っ込んだのか?」

シャルドネ
「そいつが今朝の強盗事件の犯人なんだよ!」

シラー
「おい……まじかよ」

シャルドネ
「シェリーもそれを追いかけて行ったって言ったな? ……とすると、ちとピノがやばいかも」

シラー
「ピノ?」

シャルドネ
「あいつ、港の方へ行ったんだ。鉢合わせしているかもしれない」

シラー
「オイオイオイ……」

シャルドネ
「なんだよその目! 飼い主の管理不行き届きを咎めるみたいな!」

シラー
「早く探しに行けよ」

シャルドネ
「わかってるよ! 言われなくとも行くっての! お前はフランに連絡しろ! カベルネでもいい!」

シラー
「テメェに指図される筋合いはねえ! あぁわかった、連絡してやっから、早くピノを探しに行ってやれ!」

[SE:回想おわり]


カベルネ
「シャルドネも動いているのか」

シラー
「みたいだな。……にしてもその男、逮捕令状が出てるって知ってたら、その場でとっ捕まえてたのによ」

メルロー
「本当にこの男だった?(写真を見せる)」

シラー
「タクシードライバーなめんなよ。この写真の男で間違いねえぜ。服装は白シャツに紺色のジャケット、革のトランクケースを持っていた。あの大きさだと、中身はワインだろうな」

メルロー
「売ってお金に変えようとしているんだね。とにかく、シェリーが後をつけてたっていうなら、良くない事態になりかねない。早く見つけて確保しないと」

シラー
「あいつら、仕事の範囲がバリ広だからな。儲け話ならなんでも乗るぜ。なんなら略奪も……」

カベルネ
「急ごう。もうすぐ日没だ。このあたりは明かりが少ないから、探すのが困難になるぞ」

メルロー
「うん。シラー、情報をありがとう」

シラー
「俺もこの辺うろついてみるからよ」

カベルネ
「感謝する」

シラー
「だから、ここで路チューしてたこと、目エつぶってくれよな」

メルロー
「今回だけだよ!」

[SE:早足でさっていく]

………………
▶︎シーン⑩
 デュポン:
 パロミノ:
 アレク:
 ペドロ:
 ピノ:
………………

◯倉庫

パロミノ
「やっぱり現物見ないと、信用できないしー? そこに持ってる二本だけってんじゃあ、お話にならないもんね」

ペドロ
「僕も見たいなー。どーせお前には、ワインの本当の価値ってのがわかってないんだろ? だったら僕たちに頂戴よ。ねっ?」

アレク
「さ、早くお喋りしてくれ。いつまでも黙っていると、めんどくさいことになるからさ」

デュポン
「脅すつもりか……それで金も出さずに取り上げようって魂胆だろ」

アレク(肩をすくめて)
「それはあんたの態度によるがな」

[SE:足音(2歩くらい)]

ピノ
「その話、私も混ぜてくれないか」

ペドロ(不機嫌に)
「むぅ。その声は……」

パロミノ
「あーあ、めんどくさいのが来たよ。……トゥリガのやつ、誰も入れんなって言ってあったっつのに。だからあいつとは、手を組みたくないんだ」

デュポン
「今度は誰だ……?」

[SE:近づいて来る足音。緊張が包む]

ピノ
「話に入ったとて、問題ないだろう。元々は、私が造ったワイン、なのだから」

ペドロ
「はは! ワインの王、ピノ・ノワール様がご登場~っ! ……か。(怖い声で)邪魔すんなよ」

パロミノ
「何しに来たんだか。たった1人で、こんなところへ邪魔しに来て……、どういうつもりなわけ? 馬鹿なんだか、お高くとまってんだか……それとも、またいつもの気まぐれ?」

ピノ
「ふん……。こうなることを予測して、この辺りを見張っていた甲斐があったな。
 いいかパロミノ、どんな手を使おうと、ベルナール氏のワインはお前には渡さない。これ以上、私のワインが弄ばれるのは、非常に不愉快だ。横暴な海賊気取りには、どうぞお引き取り願いたい」

ペドロ
「なんだと!」

パロミノ
「ふふん。俺は別にあんたのこと、怖いと思ってないんだよねー。
むしろ、病弱で外に出ることもままならないもやしのくせに、なに偉ぶってんだってカンジ。
いくら吠えても、可愛い猫の鳴き声にしか聞こえないや」

ピノ
「よく言う。お前の方こそ、病弱どころか、少しの擦り傷くらいで立ち直れなくなる、脆いメンタルのくせに」

パロミノ
「う……!」

ペドロ
「なっ……!! それを言うなあああああああ!」

[SE:剣を振りかぶる。ピノの背後から、ペドロの剣を跳ね返すアレクサンドリア]

アレク
「はいはい、そこまで。一回落ち着こうな」

ペドロ
「アレク! なんでっ! そいつを庇った!?」

アレク
「俺は不要な流血は嫌いなんだよねえ。なあ、パロミノ? 穏便に行きたいんだよなあ?」

パロミノ
「……ふん」

ピノ
「く……」

アレク
「(ピノの首元に剣を当て)なっ、ブルゴーニュの王様も、こんなところで無駄死にしたくはないよな?
 悪いが、ここであんたが静かにしていてくれれば、全て丸く収まるんだ。俺たちはワインが欲しい。彼はワインを売りたい。そうだろ、セニョール」

デュポン
「あ、ああ」

アレク
「なあ? いい取引じゃあないか。あんたのワインといえど、もう人の手に渡ったもんだ。どうしようと、所有者の勝手なんじゃないか?」

ピノ
「真の所有者はベルナール氏だ……!」

アレク
「もう関係ないだろ。そいつはこのワインを担保にして、銀行から金を受け取ったんだろ? 売り払ったも同然じゃねえか」

ピノ
「売ったのとはわけが違う。それに……エドモン・デュポン、お前にはこれ以上、罪を重ねて欲しくない。私の願いは、それだ」

デュポン
「……」

パロミノ
「綺麗事はいいんだよ。どうせあんた一人じゃ俺たちに太刀打ちできないし? ホント、何しに来たんだよってカンジ」

ペドロ
「そーそー!」

アレク
「まあ、なんだ。ちょっと長居しちまったな。こいつのことだから、邪魔に入る前に、警察にここにいると教えているだろう。……場所を変えるぞ」

パロミノ
「そーだね。気持ちよく取引しようと思ったんだけど、気が変わった。……ペドロ、アレク、略奪の時間だ」

………………
▶︎シーン11
 シラー:
 カベルネ:
 メルロー:
 シャルドネ:
 ピノ(回想):
……………………

◯港町

[SE:車の停車音]

シラー
「よお、どうだ、二人共。手がかりなしって感じか?」

カベルネ
「いや、今ほどフランから連絡が入った。港にあるフォーティファイド商会の倉庫、そこへシェリーたちが入っていくのを見たと、ピノから通報があったそうだ」

メルロー
「あの人、シャルに劣らず無鉄砲なところがあるから、もしかすると1人で乗り込んでいるかも」

シラー
「そいつはいけねぇや。いくら王様つったって、海賊には敵わんだろ」

カベルネ
「ああ、急いで向かおう。メル、お前はシャルドネに連絡を」

メルロー
「うん、わかった」

***

[SE:靴音]

シャルドネ
「はぁ……考えろ考えろ考えろ俺……! 怪しい場所は全部回ったが、手応えはなし。シェリーの連中が出入りしているところも探した。デュポンはどこへ行った……? ピノのやつ……鉢合わせしてなきゃいいけど。
 今更だけど、あいつを一人にしたのはまずかった。大人しく俺を頼ればいいのに、一人で首突っ込んでいくところがあるし……。ふた手に別れる時も、変なこと言いやがって」

ピノ(回想)
『もし私を見失っても、お前なら見つけ出せるだろ』

シャルドネ
「……ったく。俺をなんだと思ってんだ。……くそっ! 気まぐれ王様のお守りはもう辞めにしたいね!」

[SE:電話]

シャルドネ
「はい、……メルローか? なに、デュポンはフォーティファイドの倉庫にいるって? クソ、見落としてた……! はぁ? ピノもいるかもしれないって!? 冗談だろピノ様! メルシー、メルちん。俺、ちょうど倉庫の近くにいるから、すぐ向かうよ。……ああ、助かる」

[SE:電話切る]

[SE:重い金属音]

シャルドネ
「はっ! なんだ、今の音! それに、この香りは──ピノのアロマだ。まさか……おい、ピノ! 頼むから無事でいてくれよ……!」

[SE:走る]

………………

▶︎シーン12
 デュポン:
 パロミノ:
 アレク:
 ペドロ:
 ピノ:
………………

パロミノ
「さ、時間切れだよ。ワインの在処を素直に教えてくれれば、あんたの欲しい金もすぐに手に入ったのにねー。残念だ」

ピノ
「……彼をどうする気だ」

アレク
「どーもこーも、あんたに教える筋合い無いだろ? ……ペドロ」

ペドロ
「言われなくてもわかってるって」

[SE:剣を構える]

ピノ
「後ろに退け!」

デュポン
「ひいっ!」

[SE:鈍い金属の音]

パロミノ
「下手くそ」

ペドロ
「ちょっとー。よけないでよー。下手に動いたら、変なとこ切っちゃうでしょー?」

ピノ
「ワインを手に入れたいんじゃないのか。殺しては何も残らないぞ」

アレク
「誰も殺すなんて言ってないけど?」

パロミノ
「なんだか警戒されてるみたいだからさ、俺たちの船に招待して、おもてなしをするんだよ。大抵みんな、喜んでお喋りしてくれるよね」

ペドロ
「んふっふー。僕追いかけっこも好きだよ! ほらほら、ぴょんぴょん逃げちゃってー?」

デュポン(必死に逃げる)
「ひぃっひぃっはあっ!」

[SE:逃げる足音]

アレク
「あんまり時間をかけるな。遊んでないで、すぐ捕まえろ」

ペドロ
「お前に指図されたくないね!」

パロミノ
「で? その王様はどーすんの? 始末は俺、決めちゃっていーい?」

アレク
「船長のお気に召すままに」

ピノ
「……」

パロミノ
「さっき、俺のいっちばん嫌なこと、言われちゃったからなー」(蹴る)

ピノ
「(腹を蹴られる)ぐっ……!」

パロミノ
「何がいいかなー」(蹴る)

ピノ
「(再び腹を蹴られる)ッ……」

パロミノ
「あ、いーこと思いついちゃった。(遠くへ)ペドロー。早くそいつ捕まえて、ワインこっちによこせ」

ペドロ
「はーい」

パロミノ(近づき、囁くように)
「あんたの目の前であのワインを割って、その体、赤く染めてやるよ」

ピノ
「……!!」

アレク
「わーお。卑劣だねー。でも、割っちまうのはもったいなくねぇか?」

パロミノ
「まぁね。でも俺は……こいつを絶望させる方が、価値があるかなー」

ピノ(怒る)
「ふざけている……」

パロミノ
「ふふッ……いい顔するじゃん。その整った顔がもっと歪むの、見てみたいなー。
 ねえ、殺すよりもさ、ひどいことって、たーくさんあるんだよ?
 みんなに愛されてのうのうと暮らしてきた貴族様には、そういうのわかんないだろうから、教えてあげるよ」

ピノ
「……ふん。くだらん」

[SE:遠くでワインケースが地面にぶつかる音]

ピノ
「う……!(わずかに動揺する)」

ペドロ
「わーい、捕まえたー! 僕の勝ちー!!」

[SE:地面を引きずる音]

パロミノ
「ペドロ、さっさと持って来るんだ」

ペドロ
「あいあいさー!」

[SE:カバンを奪い、中身を改める]

パロミノ
「へえ……。このビンテージでここまで綺麗に保存されているものはなかなかない。管理が細やかだったんだね、この元持ち主は。
(ピノに見せつけるように)
 なんだか壊すのがもったいなくなってきたなー。これでも八千ユーロは下らないし」

アレク
「(口笛)」

ペドロ
「八千ユーロ!! 超高級ワインだ!」

パロミノ
「ま、これから水の泡になるんだけどねッ……!」

[SE:振りかぶる]

ピノ
『やめろ……!!』

[SE:重い波動]

ペドロ
「なんだ、この強いアロマは……!」

ピノ
「ふんっ!」

[SE:ピノ、アレクを突き飛ばす]

アレク
「うっ! お前! みぞおちに……!」

ピノ
「割らせてたまるか……!」

[SE:体当たり]

パロミノ
「あっ……!」

[SE:パロミノ、地面に倒れる]

ピノ「(ワインを死守し)はぁ、はぁ、このワインには、多くの年月と手間がかかっているんだ──それを私利私欲で無駄にされてたまるか!」

パロミノ
「ああ……いっ……たぁ……(金切り声)あんた、突き飛ばした上に、俺の顔に……傷をつけたな!?」

ペドロ
「船長ー! 大丈夫!?(駆け寄る)」

パロミノ
「エイ!カブロン!ホデール!(この、くそっ!やられた!)
 な……血が……血が出てる……!」

アレク
「(呟く)ったく、余計なことをしてくれたな」

ピノ
「なんだ……口の端をちょっと切っただけだろ」

パロミノ
「ダメだ……いたい……。もうダメだ……傷なんかできたら、俺はもう……」(メソメソする)

ペドロ
「この……っ! 船長になにしてくれるんだ!」(蹴る)

ピノ
「(顔を蹴られる)っ……!」

アレク
「おい、ペドロ! いくらなんでも、顔を蹴るのはよせ」

ペドロ
「(キレ声)何。アレクはコイツの味方すんの?」

アレク
「そうじゃなくてだな」

ピノ
「ふっ……ふふ。パロミノ、自分がそんな軟弱で、よく人に暴力をふるえるよな。
 ほら、ペドロ・ヒメネス。私のことなど放っておいて、大事な大事な船長の手当をしてやったらどうだ」

ペドロ
「……ッ、船長を侮辱するな……! 2度とワインを作れなくしてやる……!」

[SE:剣を振りかざす]

アレク
「よせ、ペドロ!」

[SE:銃声]

ペドロ
「うわっ!」

[SE:剣が地面に落ちる]

カベルネ
「手を上げろ! 警察だ!」

ペドロ
「くっ……」

カベルネ
「(銃を構えて)ペドロ・ヒメネス並びにアレキサンドリア。手を頭の後ろにやれ。そのままピノから離れるんだ」

シャルドネ
「もう海賊ごっこは終わりだぜ? 大人しくピノとロマネちゃんを寄越しな。でないと、俺のマグナムが火を吹くぜ」

カベルネ
「……シャル、もう少しましなセリフで登場してくれ。緊張が削がれる」

シャルドネ
「そいつはすまねえ」

アレク
「シャルドネ……それに、警察もお出ましか。やれやれ」

ペドロ
「警察だって? あははははは! 全然怖くなんかないね! そんなにこのピノ・ノワールが大事なら、僕の手から奪い取ってみなよ!」

ピノ(首を掴まれて)
「うぅっ……!」

[SE:発砲]

ペドロ(顔を掠める)
「ひっ!」

シャルドネ(本気声)
「言ったろ? 大人しくしないと、撃つって」

ペドロ
「ふにゃ……」

[SE:足音]

シャルドネ
「ふいー。間に合ってよかったぜ。お怪我はありませんか? お姫様」

[SE:ピノを抱き起こす]

ピノ
「お前な……一歩間違えれば危なかったぞ」

シャルドネ
「ばーか。人の心配できる立場か? こんにゃろ」

アレク
「ペドロ、ゲームは負けだ。引き上げるぞ。……ほら立て、船長。いつまで泣いてるんだ」

パロミノ(しゃくりあげる)
「うぐ……血が……」

アレク
「はいはい、後で手当してあげるから」

ペドロ
「くうっ……覚えてろよ!」

[SE:駆け出す]
[SE:裏口から外へ]

カベルネ
「待てっ……!」

シャルドネ
「おいこら、逃げんな!」

[SE:銃撃の音]

[SE:車の音]
[SE:クラクション]

シラー
「(道を車で横に塞いで)ヘイヘイヘイヘイ! 海賊ども、こっから先は通さねえぞ!」

アレク
「チャオ(あばよ)」

[SE:三人は車を踏み越えていく]

シラー
「メルド!(クソ野郎)車の上乗りやがったな!?」

[SE:駆け寄る]

メルロー(出遅れて、走ってくる)
「何やってんだよ、シラー。逃がしちゃってどうするんだ」

シラー「けどよメルロー! まさか車の上乗り越えていくとか思わねぇだろ!?」

デュポン(セリフをバックで被せるように)
「(身を起こす)ん……んんっ……はっ! 警察か!? くそっ、逃げねぇと……」

カベルネ
「メルっ……デュポンを逃すな……!」

[SE:取り押さえる]

メルロー
「エドモン・デュポン。窃盗の容疑であなたを逮捕します」

デュポン
「クソ……!」

[SE:引きずる足音]

ピノ
「はぁ……はぁ……エドモン・デュポン……私にここまで身を張らせたことを、思い知るがいい……ワインの王として、お前に命令を下す。──この街ヴィティスからの追放及び、今後一切ワインを口にすることを禁ずる!」

シャルドネ
「禁酒しろってさ。よかったな。命とられなくて」

カベルネ
「流石にピノでも、人命を奪うことはないだろう」

シャルドネ
「いや、ジョーダンで言ってんのよ。いちいち真に受けないでよカベルネさぁん」

カベルネ
「それに、人間を裁くのは人間の役目だ。俺たちのすることじゃない」

ピノ
「だが、愛される人間を選ぶことはできる。この男のように、ワインを私利私欲の道具に使うようなやつは、ワインに触れる資格はない! わかったな!」

デュポン
「わからねぇ! だが金輪際、ワインを盗みたいとは思わないね! もうこりごりだ!」

………………

▶︎シーン13 エピローグ
 シャルドネ:
 ピノ:
 カベルネ:
 メルロー:
 フラン:
 マルヴァジア・ビアンコ:
 ベルナール:
………………

シャルドネN
「かくして、ワイン狂言強盗事件は幕を下ろした」

***

ベルナール
「はあぁあぁ……まったく、なんてことだ! 甥は捕まり、わしも警察に出頭しなければならない。だのに肝心のワインが見つからないとは!! あのワインさえ戻ってきてくれれば、わしはどうなろうと構わないというのに……! シャルドネくん! わしのワインはまだ見つからないのか! あぁあ……」

[SE:ドアのチャイム]

ベルナール
「だ、誰だ、こんな時に……」

[SE:ドアを開ける]

マルヴァジア・ビアンコ
「は~い、どうも、お届け物で~す」

ベルナール
「わ、わしは何も頼んでおらんぞ……?」

マルヴァジア・ビアンコ
「あれ? こちらベルナールさんの別荘ですよね? これらの品は、あなたの物だと思われるのですが……」

ベルナール
「そ、それは……! わしの盗まれたワイン……! どうして……!?」

マルヴァジア・ビアンコ(にこやかに)
「拾いました」

ベルナール
「拾っただと!?」

マルヴァジア・ビアンコ
「はい。そしてこちらの男も」

バロー(口を塞がれている)
「んー! んー!」

ベルナール
「それは……甥と一緒に盗みを働いた……」

マルヴァジア・ビアンコ
「これも一緒に警察に届け出なさい。そうすると、あなたの罪も少しは軽くなるでしょう」

ベルナール
「なんなんだ、あんたは一体……」

マルヴァジア・ビアンコ
「しがないイタリアの商人ですよ」

ベルナール
「商人……?」

マルヴァジア・ビアンコ
「はぁい。ですから、勿論送料はタダとはいきません。ワインとこの強盗犯の配達料その他諸々あわせまして……」

[SE:書類を出す]

マルヴァジア・ビアンコ
「このくらいになります。ああ、お支払いはキャッシュで。カードだと足がつきますから」

ベルナール
「そんな……一方的な!」

マルヴァジア・ビアンコ
「良心的な金額だと思うんですけどねえ……それか、こちらの盗難に遭われました1975年のロマネ・コンティ。これで手を打っていただいても構いません」

ベルナール
「しかし……だが……」

マルヴァジア・ビアンコ
「悩んでいる時間はありませんよ。ほらほら、警察が来ちゃいます。それとも──」

マルヴァジア・ビアンコ(薄暗い微笑みで)
「あなたの肺を、このロマネ・コンティで、満たしてあげてもいいんですよ……?」

ベルナール
「う……」

マルヴァジア・ビアンコ
「……さあ、賢明なご判断を。……いいですか、ワインは飲んでも、のまれてはいけませんよ……ふふふ」


***

◯警察局

メルロー
「事件解決、お疲れ様。カベルネ」

カベルネ
「デュポンの共犯で、ワインを隠し持っていたバローも捕まり、ワインも無事戻ってきた。奴らの身柄はフランス警察へ引き渡し、向こうで裁判にかけられる。だが……腑に落ちないことがある」

メルロー
「ああ。ベルナール氏の供述ね。共犯のバローがデュポンと連絡が取れないと言って、のこのこ屋敷にやってきた、と話しているけど……本当かどうか疑うね。謎はまだ残っている」

カベルネ
「だが、ともかく犯人は逮捕し、事件は解決した。俺たちの役目は終わったんだ」

メルロー
「そうだね」

***

シャルドネN
「──そして、街はいつも通りの朝を迎える」

***

[SE:けたたましくなる電話]

メルロー
「カベルネ! またスリの被害だって! 今月に入ってもう十件目だよ!? 北区の方では暴行事件が絶えないし、東区の方じゃ詐欺横領事件だらけで、全然仕事が追いつかないよ!」

フラン
「おい、カベルネ! シラーがまた喧嘩騒ぎを起こしているらしいぞ! お前の方からガツンと言ってくれ! あいつが通報件数上げているようなもんだぞ!?」

カベルネ
「はいはい、了解……」

カベルネN
「……いつもどおりの、賑やかな朝だ」

***

シャルドネ
「おしまい!」


《完》


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