ヴィティスターズ!【ワイン擬人化♂】

独身貴族

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味見編

Goûte moi 私を味見して 第4話 シャンパンコール

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Goûte moi 私を味見して 第4話 シャンパンコール
(上演10分)

──────────

《キャスト》

武藤:
シェフ:
ひより:

⭐︎本日の出勤⭐︎
シャルドネ:
メルロー:
マカベオ:

幹事:
客1:(男性)
客2:(女性)



※収録時のお願い
[SE:  ]の所は2秒ほど間をおいてからセリフをお願いします。

また、***のある所は場面転換、あるいは補足です。
ここでも2秒ほど間を開けてください。

──────────

↓ 以下、本編 ↓

***

シェフ「えー、今日のご予約は、19時からの鳥井様40名。多分歓迎会とかそんな感じだろ。何品かあらかじめオーダーは入っているが、飲みもんは来てからお決めになるそうだ」

武藤「わかりました」

シェフ「生ビールが出る可能性があるから準備しておくように。アペリティフも30分前には用意しておけよ」

ひより「はいはーい」

シェフ「以上。んじゃよろしこー」

武藤「……40名か。多いな」

ひより「今日に限って支配人がいないからって、駆り出されちゃったけどね~。メルメルとカベソーがいるから楽ショー楽ショー。一階のバーもシャルドネがいるから大丈夫っしょ。俺、おしぼり用意するから、アペ頼むねー」

武藤「だから、敬語使えって……。ってか、メルロー達も戦力に入っているのかよ」

メルロー「レストランの接客は主に僕たちの仕事さ。任せといて」

武藤「おおう、いたんかい。いきなり出てくるのやめてくれないですかね……」

メルロー「はは、ごめんごめん」

武藤「じゃあ、バーは手伝いに来ているってことっすか?」

メルロー「うーんとね、時と場合によって変わる感じかな。今日はフレンチをご所望だったから、僕らがホールに入るんだ。他にもいるよ」

武藤「その……品種の名前の連中が……」

メルロー「そうそう。いずれ会えるよ」

武藤「一体何人働いてんだこの店……」

***

タイトル:武藤
【ヴィティスターズ グート・モワ 第4話 シャンパンコール】

***

武藤「みなさま、お揃いということで、よろしいでしょうか」

幹事「はい。これで全員です」

武藤「お始めのお飲物はいかがしましょう。乾杯、されますよね」

幹事「乾杯の飲み物はーー」

客1「シャンパンにしよう」

幹事「社長。シャンパン、ですか」

客1「各自飲むのは後で決めるとして、とりあえず乾杯はシャンパンで。よろしく」

幹事「……ということです。シャンパン、ボトルで」

武藤「は、はあ。これだけ人数いらっしゃいますと、ボトル3本ほどご用意したほうがよろしいと思うのですが、いかがしましょう」

幹事「ああ、そうですね。じゃあ、それで」

武藤「……えっと、それからですね、シャンパンですと、安いものでこのお値段になるのですが、よろしいでしょうか? こちらのカバでしたら、シャンパンと同じ製法で作られており、お値段ももう少し抑えられるのですが……」

幹事「え、よくわかんないんですけど、とりあえずシャンパンお願いします」

武藤「あの、ですから……」

客2「おい、幹事! ちょっと!」

幹事「はいはい、何ですかー」

武藤「あのー(声がかき消される)ははは……」

***

武藤「……というわけで、その先を聞くこともできず、戻ってきました」

ひより「いやー、マジうるさいっすもんね。あの人たち。ここは居酒屋じゃねーっつの」

武藤「一応ここって、フレンチレストランっすよね……?」

ひより「んー、時と場合とスタッフによって変わるかな~。イタリアンの時もあれば和食の時もあるよ」

武藤「幅広すぎ!?」

シャル「おー、おー。なんか二階がやたら騒がしいんだけど。何のお祭り?」

武藤「あ、シャルドネ」

メルロー「一階の方は大丈夫なの?」

シャル「シルヴァーナとリースが来たから任せてきた。こっちの方が面白そうだからね~」

メルロー「さすが自称パーティの花形……(苦笑)」

武藤「やっぱり他にも品種がいるのか……」

シャル「んでどんな感じ~? 俺、必要そ?」

ひより「どーも、会社の歓迎会って感じ。男ばっかりで、可愛い女の子もいないし、俺あんま行きたくなーい」

武藤「おい。……とにかく、シャンパン3本、持っていかないと。いや、でも本当にシャンパンでいいのか……?」

シャル「なになに、どしたの」

武藤「実は……かくかくしかじか……」

シャル「なーる。確かにこういう場合、あんまりしつこく聞くとうざがられて悪印象与えるからな。シャンパンっつってるんだし、シャンパン持っていけばいいんじゃねえの」

武藤「でも、予約時に伺っているご予算をオーバーしてしまうんすよ。後で、高いもの売りつけたとか何とか言われたくないし」

シャル「気にしすぎだろ。んじゃ、もうカバもシャンパンもどっちも持っていけば?」

武藤「ボトル見せて決めてもらうってことっすか」

ひより「まあ、見たところでわかんないと思うけれどねー」

シャル「なあおい、あんまり客を低く見ないほうがいいぞ? なんもわからずに取り敢えずシャンパンって言う奴はそりゃ多いけど、マジでシャンパンで乾杯しようぜってこともあるんだからな。持って来いって言ってるんだから、持って行きゃいいんだよ。あとは客に選んでもらえ」

武藤「は、はい……」

マカベオ「シャルさんが行ったらええんとちゃいます?」

武藤「……え」

シャル「(ちょっと恨みのある声で)マカベオ……」

メルロー「彼はマカベオ。知ってると思うけれどスペインの品種で、シャルドネとはシャンパーニュを巡って、ちょっと因縁があるんだよね……」

マカベオ「シャルさん、こういうの慣れとんのでしょ?  華麗な客さばき、見せてやったらええやん。どうです?」

シャル「おー。別にいいぞ」

武藤「え、でも、僕の仕事」

マカベオ「俺も行きますわ。どっち選ぶか、気になるんで」

シャル「はは。いいぜ。俺はシャンパンを選ぶのに一票」

マカベオ「ほんなら俺は、カバに一票」

シャル「うっし、こうなったら何が何でもシャンパン選ばせてやるぜ!」

マカベオ「カバも負けとらんってこと、今度こそ認めてもらいましょ」

シャル「じゃあ、行ってくるから、どっちが選ばれるか、部屋の外で見届けたまえ武藤くん!」

武藤「いや、まって、これ勝負じゃないから。ってか、持ってくの僕の仕事だって……!」

***

シャル「山田様、少々よろしいでしょうか」

幹事「はいはい、なんでしょう……」

シャル「先程、ご注文いただきました乾杯酒をお持ちしました。当店では、シャンパンはこちらのワインをお出ししております。ですが、もし、ご予算を気にされているようでしたら、少々お安くなります、こちらのスパークリングワインもご用意しております」

幹事「はあ。じゃあ、安い方で」

シャル「ただ、こちらはシャンパンではなく、カバというスペインのワインでございます。同じ発泡酒でこちらも美味しいのですが、やはり、特別な会のようですから、シャンパンの方をお勧めいたします。乾杯酒ですので、小さめのグラスでご用意いたしますと、ボトル二本で間に合うかと」

幹事「は、はあ」

シャル「先程、耳に挟んだのですが、会社の10周年パーティ、なんですよね。やはり、お祝い事の時には、シャンパンで乾杯された方がよろしいかと」

幹事「……社長、シャンパン好きなんだよねー。シャンパンじゃなかったら、怒るかもな……」

マカベオ「しかし、こちらのカバも、シャンパンと同じ製法で作っているため、味も品質も劣りません。シャンパンの代わりに、カバを選ばれるお客様も多いんですよ」

幹事「自分は、正直どっちでもいいんですけれど……」

武藤「なに張り合ってんだ、二人とも……! どこが華麗な客さばきだよ。困惑させてんじゃねーか! ……ったくもー、やっぱり僕が……」

[SE:ガタン!]

客1「おおー、お前久しぶりだな!」

シャル「どうも、ご無沙汰しております。社長」

客1「この間店に来た時、いなかったから辞めたのかと思ったぞ!」

シャル「まさか。少々お休みをいただいていたのですよ」

武藤「へ」

ひより「なになに、シャッチョさんとシャルって知り合い?」

客1「それより、乾杯したいんだけど、早くシャンパンを持ってきてくれないか」

シャル「ええ、こちらに。すぐ準備いたしますので」

客1「そいつはボランジェか。お前はやっぱり俺の好みを知っている」

シャル「勿論ですとも。君、グラスの用意を」

武藤「は、はあ」

マカベオ「なんや、知り合いとかヒキョーやん。そりゃ好みも知っとりますわ」

シャル「知り合いっつっても、まだ2回しかお会いしたことねぇけどな」

マカベオ「一度合えば知り合い、っていうのがシャルさんやもんね。なんか抜け駆けされたみたいやし、さっき言ってた勝負、なしでええ?」

シャル「しゃーねーな。じゃあ、お預けってことで」

武藤「(小声で)いいからそこ2人、グラス早よ配れよ……!」

***

客1「さて、シャンパンは行き渡ったかな? ……では、改めて、我が社のますますの繁栄を願い、乾杯!」

客ら「かんぱーい」

***

シルヴァ「2階の団体客、乾杯したようですね」
リース「だな」

客2「あれーシャルドネどこ行った~? あ~なになにー? 上は宴会ー?」

シャル「(階段を降りつつ)会社の設立10周年パーティの二次会なんだと」

客2「ほえー。私んとこの会社は、そういうのやらなかったなー。うらやましー。最近誰とも一緒に飲んでないんだもーん」

シャル「(甘く)今、俺と飲んでんじゃん。それとも、これはノーカウント?」

客2「あ、そう言えばそうだよね。んじゃ、シャルに一杯奢っちゃおう! 今日も私の愚痴に付き合ってよね? ふふふ」

(2人バーに戻る)

武藤「……シャルドネって、口調も性格もコロコロ変わりますよね」

メルロー「あれがシャルのいいところでもあるし、厄介なところでもあるかな。その場の雰囲気の影響を受けやすいんだ。良く言えば空気が読める、悪く言えば調子乗り、だね」

マカベオ「ワインも同じですわ。生まれ育った環境が、ワインにはよう現れる。中でも特別、影響受けやすいんが、シャルさんなんです」

武藤「えと、マカベオって、シャルドネとは仲がいいんすか? 悪いんすか?」

マカベオ「んもう、仲ええに決まっとりますやん! 少なくとも俺はシャルさんのこと、えらい凄い品種や思とります。けど、なかなか同等やと認めてもらえんくてなぁ。前にカバをシャンパンゆうて売っとったんを、まだ根に持っとんのですかねぇ」

武藤「いや、そりゃダメでしょ」

マカベオ「でも、めっちゃ意識して作っとんのよ?  そろそろ、認めてくれたっても、ええんちゃうかなあ」

武藤「自分、泡は全然飲んだことないから、違いとかわかんねぇな……」

マカベオ「あら、寂しいこと言わんといてや。色々飲んでみるんも、勉強のうちやで? 試しに味見してみます?」

武藤「またか! その流れには乗らねえぞ……!(身構える)」

マカベオ「なんやぁそれ。ノリ悪いなあ」

(一階から)
シャル「シャンパン入りましたぁー!! シャルドネ、飲ませていただきまーす!!」

メルロー「あっちはノリノリだねー」

武藤「あのノリは、完全にホストだけどな……」

***

ひより「続く!」




《本日のワイン》

ダニエルデュモン

ドンポティエール
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