ヴィティスターズ!【ワイン擬人化♂】

独身貴族

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ある日のアルネイス

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「ネッビオーロ様」
「ん? どうした、アルネイス」
「そろそろこちらの書類に目を通していただけますでしょうか」
「アルネイス、みてわかるだろう。俺は今チェスの次の手を考えるので手いっぱいなんだ。それに、どうせ、ピノノワールからのお手紙なんだろう。別に私が処理するまでもないんじゃないか」
「しかしですね、こちらに親展と書かれています。いくらサインするだけの書類といえど、ネッビオーロ様ご自身に見ていただかないといけないものも……」
「ふうー。俺に少しくらい、休みをくれ」
「ええ、もちろんです。ですが、わたしの存じ上げる中では、昨晩も休みが欲しいとおっしゃって、町へお遊びに出かけられておりましたし、一昨日も、ドルチェットを連れて中央区へお出かけになられておりましたが……」
「あれは偵察に行っていたんだ」
「色々と買い物をなさって帰られていたようですが……」
「活動の上で必要だったものだ」
「大半がワインとチーズだったと見受けましたが」
「……」
アルネイスは言葉に詰まるネッビオーロに、苦い思いを抱いていた。休みをあげたいのは山々だ。しかし、それ以前にこのお方はほとんど働いていない。遊びに行っている間、その仕事を代わりにしていたのは、俺とバルベーラだ。このお方は素晴らしいことは俺が一番よく知っている。だからって、何でもかんでも許していたらいけないんだ。我々ワイン商工会に休みなどない。常に緊張感を持って挑むべきだ。そう言う覚悟をもって、ネッビオーロ様もこの世界に入ったんじゃないのか……?
「お話中、失礼。我らがボス、厄介ごとですよ。ネロの連中がまた表でうちのものと衝突しているらしい」
アルネイスが悶々としていると、それを破るかのようにバルベーラが部屋の前に現れた。
「またか」
「それで口を揃えてネッビオーロを出せと騒いでいます」
「はあ……」
ネッビオーロは眉間に指を当てる。
「今日は休みだと伝えろ」
「は?」
「休暇中だと言え。お前らのせいで気が滅入って体調を崩したから療養中だってな」
「いや、待ってください、ネッビオーロ様。そんな言い訳が通じるわけ……」
「相手だって休みが欲しいに決まってる。商工会に休みはない? じゃあ作ろう。……バルベーラ。お前はどこへ行きたい」
「俺はどこでも構いませんよ」
「よし、じゃあ海にするか。みんなでバカンスに行こう」
「ちょっとまってください、ネッビオーロ様!!」
「アルネイス、仕事の話は後だ。お前も行こう」
「待ってって………あー、もー、この人はーーー!!!」
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