声劇台本集

独身貴族

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ロミオとジュリオ【BL台本】

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【どうせ、愛は叶わない】
改変ロミオとジュリエット。切なめギャグです。思い出しながら書いたので、原作に忠実ではないかも。パロディです。

ロミオ(ロゼッタ) ちょっとバカな自虐キャラ
ジュリエット(ジュリオ)ただの天使
マキ(マキューシオ)巻き毛さん。いじめっ子。
シスター(神父)耳が遠め。


*ここから台本*

マキ「おい、ロミオ、ちょお聞けや。こないださー、まぢウケたんだけどー」
ロ「えーなんだよなんだよー? 気になるー」
マキ「それがよお、ちょーやばくてよー……あ、ちょお、あれ、ジュリオじゃね?」
ロ「え、どこどこっ? あ、ほんとだ」
マキ「あのちょーうぜーキャピュレット家の箱入り息子だよ!あー、クッソむかつくわー」
ロ「そーそー。あの顔が小さいくせにおっきい目といい、育ちの良さそうな艶々の髪といい、飾り気がないのに凛として見えるあの佇まいといい……」
マキ「あー、やめろ。まぢやめろ。あー、あー、聞こえねーよ! ったくよー、せっかく見ないようにしてるってえのに、気にしちまうだろーが! なにあの美少年! 可愛すぎてむっかつくんですけどー!」
ロ「なんであんなのがキャピュレット家にいるのか、全然わかんないんですけどー」
マキ「それなー! よーし、腹いせにちょいといじってやるか。おい、そこにいんの、あのハゲんとこの大事な大事なお人形さんのジュリオちゃんでしょー? おーい、聞いてんなら返事くらいしろっての! おい、そこの美少年! 天使! こっち向けっつってんだろ!」
ジュ「なに……」
マキ「あ、こっち見やがったー! お前、自分のこと天使だと思ってんだ、自意識かじょーかよ! まぢウケるな!」
ロ「仕方ないって、実際天使なんだし」
マキ「どこ行くのー? またあのハゲおやじの言いつけで、嫁探しに行くんだろお? この間お見合い相手フッたってほんとか? どんだけ理想高いんだよまじウケる」
ロ「そうそう……ってか、マキ、もう行こうぜ? 向こうにキャピュレットのこわーいお母様がこっちを睨んでるし」
マキ「まぢ? ヤッベ! でも手だしできねーもんなー。だって、オレのパパは……」
ロ「いいから、もう行こ!」


ロ「(小声で)ジュリオ、ジュリオ! 」
ジュ「ロミオ……」
ロ「あ、気づいてくれた! さっきはごめんな? あれ、ほんと、悪気はないから!」
ジュ「うん、わかってるよ。大丈夫」
ロ「(近づいてきて)いつも、嫌な思いさせてごめんね? あいつらと仲良くしてないと、パパとママがね、まじうざいんだって! 俺としては、あんな腐った奴らとじゃなくて、ジュリオと一緒にいたいんだけど……ごめん。ほんと、ごめん……」
ジュ「ううん。気にしないで。君のことも、お家のことも、ちゃんとわかってるから」
ロ「うわ、もう、どうしよう。ジュリオ、まぢ天使……」
ジュ「僕は天使じゃないよ。キャピュレット家のジュリオだよ」
ロ「ジュリオという名前の天使ちゃん」
ジュ「もう、いい加減にして」
ロ「ごめんなひゃい……」
ジュ「ふふふ、冗談、怒ってない」
ロ「わーん、ジュリオ、大好きー。愛してるー」
ジュ「ありがとう」
ロ「もー、何でジュリオ、そんなに天使なんだよー。俺と結婚してー」
ジュ「ダメだよ、ロミオ。君は18だけど、僕はまだ10歳だから。犯罪になっちゃうよ」
ロ「そ、そうだよな。それはあかんわ……」
ジュ「僕がもう少し大きくなるまで、待っててくれる?」
ロ「うん、待つ! ずっと待つ! 絶対待つ! だから、絶対どこにも行かないでえー」
ジュ「ふふ。……でも、大人になっても、僕たち結婚はできないんだけどね……」
ロ「パパとママが仲悪いから?」
ジュ「それもあるけれど、君も僕も、男の子だから」
ロ「そんなの、カンケーないって! 好きだから、結婚したい! 一緒にいたい! そんでよくね? 俺はジュリオが男の子じゃなくても、天使でも悪魔でも妖怪でも死神でも、絶対絶対、結婚するからな!」
ジュ「うん、ありがとう、ロミオ。僕もおんなじ気持ちだよ」

◯暗転


マキ「もしもし? オレオレー。よお、聞いてくれや。ロミオがさあ、なんか最近コソコソしてると思ったら、あのクソむかつく家のジュリオと仲良ししてんだって! まぢで! それで向こうのババアもそれに気づいてさ、ジュリオの婚約を急ぐらしいって話! ヤバくね? 相手は従姉で30超えてるらしいってよ。年齢的に犯罪だよなー!ぎゃははは!」

◯暗転

ロ「(走ってきて)ジュリオー!!」
ジュ「どうしたの、ロミオ。うわ!」
ロ「(抱きついて)従姉のあのおばさんと結婚するってほんとか!?はあ、はあ」
ジュ「落ち着いて、ロミオ。一回深呼吸しよう? ほら、吸って、吐いて?」
ロ「(被せて)うん、ずー、はー、ずー、はー。うう……」
ジュ「落ち着いた?」
ロ「うん(鼻声)」
ジュ「……結婚じゃなくて、婚約。するんだ」
ロ「(汚い声で)おれがいるのに?」
ジュ「……お母様が決めたから。いやって言えないよ」
ロ「酷くね? ねえ、酷くね?! だって、好きでもない相手なんだろ? 顔すら知らないっていってたよな!? そんな相手と、なんで結婚しなきゃならないんだよ! 意味わかんないって!うえっ……(半泣き)」
ジュ「……ねえ、どうして君はロミオなの?」
ロ「ズビ……それは、俺がモンタギュー家に生まれたから……」
ジュ「そ。君には君の家、僕には僕の家がある。君はモンタギューのロミオである限り、ロミオとして生きていかなきゃいけない。僕も一緒。だから、受け入れて」
ロ「むり。やだ。だったら俺、モンタギューやめる。ロミオもやめる。悪魔でもいい、お化けでもいい、ジュリオと一緒にいられるなら、なんでもやる!」
ジュ「僕のためを思うなら、そのままでいて、ロミオ。君は素晴らしい家に生まれたんだよ。資産もある、地位もある、立派なお家だ。簡単に捨てちゃダメだよ。親同士の仲の悪さなんて、ちっぽけなことじゃないか。僕たちは、今まで通りこうやって、ずっと仲良しでいればいい。そのうち、君が立派に家を継いだら、この喧嘩を終わらせればいいんだ」
ロ「そう、だね。それまで、待っててくれる?」
ジュ「うん、いつまでも待つよ。君が立派になって、僕を迎えに来てくれるまで」
ロ「なんだよそれ、嬉しすぎて死ねる……。やばい、ダメ、そんなこと言っちゃダメ。泣いちゃうって……」
ジュ「もう泣いてるじゃないか。ほら、ティッシュ……」


ジュ「(独り言)そう、僕たちには、世界という障害がある。簡単には乗り越えられない、高い壁。家という小さな世界。そこに、ちっぽけな僕たちは、囚われ続けなければならない。
それが時々、窮屈になる。まるで鳥籠の中で飼われているみたいだ。空はこんなに広くて自由なのに、僕はここから出られない。キャピュレットという籠から、抜け出すことが、できないんだ。誰かの吐いた同じ空気を吸って、同じ思想に染め上げられて、飼いならされて、自由に恋もできずに死んで行く。それならいっそ、天使になって、純白な翼で、あの広い空を飛んでみたい。それで、街の中に君を見つけたら、ずっと、ずっと、どこまでも、ついていって守ってあげたい。君が寂しくないように、潰れてしまわないように、導いてあげたい。
……なんてね。僕もわかってる。お互いに居場所があって、お互いに役目があって。この場所に生まれついた以上、ロミオとして、ジュリオとして収まっていなきゃいけないってこと。……でも、ちょっとぐらい、夢を見ても、許してくれないかな」

◯暗転

ロ「なあ、神父さん」
神父「……」
ロ「神父さんよお」
神父「……」
ロ「ロレンス神父!!」
神父「ふあああ……」
ロ「この白髪ジジイ!」
神父「誰だ、今悪口を言ったのは! バチが当たるぞ!」
ロ「おもいっきし聞こえてんじゃんか!!」
神父「ああ、なんかネズミが騒がしいと思ったら、悪ガキのロミオか。わしになんの用だ」
ロ「そ、その、前に話したことあったじゃん、俺、す、好きな子がいるってさ。その子と、その、結婚したいんだけど、えっと、その子っていうのが、キャピュレットのとこのご子息なんだよねー。それで、どうにかして、一緒になりたいんだけど、いい方法ってないかな!?」
神父「はあ?」
ロ「だから、えっと、俺はジュリオと……」
神父「なんだって? ジェラート?」
ロ「(耳元で)だ、か、ら、俺は、愛しのジュリオと、結婚したいんだけど、どうすればいいんだ!?」
神父「はあ、ああ、そうさなあ、ほんなら、お前さんに、いい薬がある」
ロ「く、薬って、ヤバイやつ?」
神父「イッヒッヒ……」
ロ「ヤバイやつやん! 絶対、これ! 色も変だし!おもいっきし‘毒’って書いてあるし!」
神父「毒という名の……毒だ」
ロ「ただの毒じゃん! これを、どうするんだ?」
神父「飲むんだよ」
ロ「え、無理。ごめんなさい」
神父「飲めば、お前さんは仮死状態になる。わしは棺桶を用意し、葬儀をあげる。全て済んだ後、お前さんはこっそり棺桶を抜け出し、ジュリ……ナンタラに会いに行く。そのまま街を出て、めでたしめでたし」
ロ「ジュリオだよ! 覚えて!!」
神父「わしゃさっき何を食べたか思い出すので精一杯なんだ」
ロ「そーですか。はあ、わかったよ。なんか、ヤバそうだけど、神父さんの言う通りやってみる。一番良さそうな方法だし……。でも、これ、飲んで本当に大丈夫?」
神父「大丈夫だ、わしが身をもって実験したからな。ちゃんと三途の川が見えたよ」
ロ「見えちゃったらダメでしょー!!」

◯暗転

ジュ「(走ってる)はあ……はあ……」

ジュ「(駆け寄って)ロミオ! ああ、なんてことだ! ロミオ!! 僕を置いて、行っちゃうなんて……。変な気を起こさないか心配だったけれど、まさか、自ら命を絶つなんて! ロミオは元気だけが取り柄だから、それだけはないと思っていたのに!! 」

ジュ「ああ、これ、この瓶……これを飲んで、死んじゃったんだ。ご丁寧に毒って書いてある。……ひどい。一滴も残ってない。きっと、ロミオのことだから、喉が渇いて死にそうだったから、よくラベルも読まずに飲んで、本当に死んじゃったんだ。……そうだ。だって、あの人が自殺するなんて考えられない!」

ジュ「……綺麗。本当に綺麗な死に顔だね。僕のこと、天使って言ってたけれど、君の方がよっぽど天使だよ。まっすぐで、正直で、誠実で、いつも僕のことを一番に考えてくれた。ねえ、嘘だと言って。いつもみたいに僕を驚かせて笑ってよ!お願い!」

ジュ「何故だろう、こんなところに都合よく短剣がある。まるで、君もこの人の後を追いなさいと言わんばかりに……そうだね。そうしよう。君のいないこの世界に、僕も必要ないのだから」

ジュ「ああ、僕は天に召されるんだね。そして、本当の本当に天使になるんだ。……よかった。そうしたら、ずっとロミオの隣にいてあげられる……うっ(倒れる)」

ロ「(起きる)うーん、ジュリオ……。どこだよ? ジュリオ……俺の可愛い天使……」

ロ「うう、なんか重い……漬物石に下敷きにされてるみたいだ……って、これ、もしかして……ああ! ジュリオ! 俺の天使ちゃんだ! どうしたの、泣いてるの? 大丈夫、俺は元気だから! 泣かないで!ほら、ほら、ほら! ピンピンしてるだろ! ……ジュリオ? なあ、ジュリオ、起きてよ。……あ」

ロ「(胸のナイフに気づく)な、なんで、ジュリオ、死んじゃったの? 俺が、毒で死んだと思って、追いかけていったのか? ……どうしよう、悲しいのに嬉しい。ああ、ああ、俺がもっと早くに目が覚めていれば! 可愛いジュリオは死ぬことがなかったのに!」

ロ「うわああああああん! ジュリオが……ジュリオが……ほんとに天使になっちゃったよ~……。どうしよう。俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ。……よし、死のう。こんな世界、ジュリオもいないこんな人生、いらねえ、俺はいらねえ! この、汚れの知らない、綺麗で純白な小さな胸を貫いたこの剣で、俺も死んで、可愛い可愛い可愛そうな天使のところに行くんだ!」

ロ「うっ……これで、俺もジュリオのところへ行ける。やっと、一緒にいられるのか。そう、どうせ、愛なんて、叶わない……」

END
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