茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜

初月みちる

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第九幕 言えずにいたこと

★R18-1

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「はる、と?! あっ……!」

ぼんやり白い視界が少し翳り、彼の口づけが唇にそっと落ちてきた。最初は軽く唇を食み、次に唇をそっと舌でノックされる。百子は口を僅かに開くと、陽翔は熱心に彼女の舌を貪った。

「ふっ……んん……」

陽翔が百子の甘い呻きごと奪いたいと思うあまり、それを受け止めている彼女が少し仰け反ってしまうのを見て、陽翔は彼女の舌を軽く吸ってから水音と共に唇を離す。銀糸が二人を束の間繋いだと思えば、そのまま溶けて消えてしまった。

「百子、そのまま俺の首に手を回してくれ」

百子は陽翔にしがみついた腕を緩めた。彼は腕を取り自分の首の後ろに誘導する。

「百子、しっかり捕まってろ」

彼の言葉と共に、ふわりと自分の体が宙に浮いて百子は小さく悲鳴を上げる。白の視界の向こうが一度翳ったと思えば、再び明滅して百子の背中は柔らかい感触でいっぱいになる。しかし彼の熱が遠ざかるので、百子は彼の腕を掴んで引き寄せる。陽翔の驚く声とともに、彼の体温が覆い被さって来た。

「離れないで……」

百子は陽翔の体にペタペタと触れ、背中らしきものを見つけてそこに手を回した。陽翔の重みと体温と、彼の心臓の鼓動や彼の匂いが百子の五感を刺激する。それにうっとりとしていると、焦燥に駆られた陽翔の声が耳朶を叩いた。

「くそっ……可愛すぎんだろ……! 煽るのが上手くなったな」

「ああっ!」

後半は耳元で囁かれ、百子は背筋がぞくりとした。そのままリップ音を耳元で立てられ、ぬるりとした熱いものが耳朶を這い回り、思わず背中に回した腕に力を込める。

「もう感じたのか?」

すると今度は陽翔の指が首筋をなぞり、パジャマの前が緩んだ。そのまま指が下に降りると思った百子だったが、陽翔の口づけが唇に降ってきて小さく声を上げた。

(だめ……いつもよりぞくぞくする……)

陽翔がタオルで目隠しをするものだから彼の指が、舌がどこに伸びるのかが見えず、明らかに彼に触れられた場所がいつもよりも敏感になっていた。自分の表情が彼に見えないのは結構なことだが。

「きれいだ、百子」

目元は見えないが、上気して桃色になった頬に桜桃のような唇、そして滑らかな喉のくぼみの下にはゆるく上下している白い双丘が陽翔の目線を釘付けにしていた。双丘の頂はすでに色濃くなって、陽翔を誘うようにつんと主張していた。

このままずっと彼女の匂うような肢体を眺めていたい気持ちと、今すぐ陽翔の指で、舌で、熱杭で百子を乱したい気持ちが束の間せめぎ合う。迷わず後者を選びそうになった陽翔だが、口元を緩めたと思えば彼は首筋に舌を、彼女の胸の下に手を這わせた。

「ひゃあっ! だめ!」

強く甘い百子の制止が出るのと、彼女の腰が跳ねるのは同時だった。いつもよりも良い反応を見せる百子に、陽翔は自分の下半身が痛くなるほど滾って来るのを感じ取る。何ならすでにトランクスを、ズボンを押し上げて辛いくらいだ。

「そうか? ここは嬉しそうにしてるぞ? 期待してたのか?」

そう言って彼は双丘のてっぺんにある実の周りにくるくると指を滑らせ、ふーっと口を窄めて息を充血した実に命中させる。彼女の砂糖菓子のような嬌声が陽翔の耳を撫で、全身にカッと血潮が巡った。

(待って、陽翔がいつもよりも意地悪な気が……)

予想だにしない彼の動きに、百子は翻弄されて声を上げることしかできなくなっていた。視界が遮られると聴覚や触覚がこんなに研ぎ澄まされるとは思っても見ず、彼の指先の熱を受けて白い喉をそらせる。それでも彼は百子の欲しい所に触れてはくれない。首筋に這う舌も、双丘の下を少し持ち上げるように触れる手も、敏感になった今ではそれだけで悦を僅かに拾うが、それが疼きとなって蓄積されていき、もどかしくて首を横に振る。

「はる、と!」

双丘の頂の周りを触るか触らないかのタッチで陽翔の指がなぞった瞬間、百子は彼の名前を呼んで僅かに胴をベッドから浮かせる。まるで陽翔に胸を突き出す格好になっていたのだが、ぼんやりとした白しか見えない百子には、彼が劣情を瞳に灯して生唾を飲んでいる様子など預かり知らぬことだった。

「誘ってるのか? やらしいな」

彼の嗜虐心が含まれた声がしたと思えば、ぬるりとしたものが尖った実を覆い尽くした。

「やああっ! そこ……! ああん!」

百子は体に電気が走ったように体を震わせて彼の頭を手探りで見つけ出し、ぎゅっと力を入れてそれをかき抱く。舌で転がされるたびに背筋が湧き立ち、リップ音をさせて吸われると増幅された聴覚も刺激されて百子は高い声を上げながら彼の髪を梳いた。

(……っ!)

それはまるで母乳を飲んでいる赤子を慈しんでいるような動作だったが、彼女への愛しさがじわりと心の隙間から入り込むのに気づいた陽翔は、片手を彼女の腹に、脇腹に滑らせる。

「こっちも寂しそうだな……たっぷり可愛がってやる」

言うが早いか、足を広げられて陽翔がその間に潜り込んだ。


(えっ、嘘……!)

彼の性急さに百子は色々な意味で顔を赤らめる。双丘の実がさらに色づき、下腹部が疼き、秘花が潤んだ。あっさりと陽翔にズボンを脱がされ、太ももを這う太い指が段々と足の付け根に近づいてきて、百子の中でぞわりとした期待が背筋を駆け抜けた。

「ひううっ! あああああ!」

しかし指が触れたのは色づいてぷっくりとした二つの実だった。軽く摘まれただけだというのに、小さな白い電流が走ったかのように体が強張って跳ね、普段よりも大きな嬌声が迸る。

「ここだと思ってたのか?」

何故か愉悦を大いに含んだ陽翔の声がするのと、彼の大きな手が腹を、ショーツを滑り降りて足の付け根を撫でるのは同時だった。それでも彼の手は百子が触れて欲しい部分には触れず、触れそうになったらまた遠ざかるのを繰り返している。

「だ、め……なの?」

もどかしそうに腰を揺らした百子を舌なめずりをして見ていた陽翔は、先程触れたのと反対側の耳元でそっと囁いた。

「駄目なもんか。いつもよりも積極的な百子が見れて俺は嬉しいけど?」

低く艶のある声が劣情を帯びていて、百子は下腹部が疼くのを感じていた。視界を奪われて不安が大きかったものの、今は彼のもたらす声が、指が、舌が欲しくて欲しくてたまらない。そしてそれがはしたないと思いつつも、期待してしまう自分を最早止められないのだ。

「ああっ……! そこ! きもち、いい、の!」

双丘の実が舌で転がされ、水音と共に離れたと思えば、ゆるく息を吹きかけられ、間髪入れずに唇から陽翔の舌が侵入してくる。懸命に舌を絡め、歯列を、舌の裏をなぞると彼の低い呻きが耳朶を撫でて百子の胸が高鳴った。陽翔の舌が引っ込められようとしたので、百子はそれを引き止めるように彼の舌を軽く吸った。

「百子、そんなに俺を離したくないのか。可愛いことしやがって」

唇が離れてしまい、百子は両手を伸ばしたが、陽翔は百子の両手首を掴んで、片手で自分のパジャマのボタンを手早く外し、いつもよりも窮屈に感じるズボンと下履きを脱ぎ捨てる。一度百子の両手首から手を離した陽翔は、彼女に覆い被さって唇を軽く食んだ。

「はると……きもち、いい。それと、あったかい……」

百子は彼の首筋に顔を埋めてうっとりと口にした。彼の裸の胸筋や腹筋が擦れるのが心地よく、百子は逞しい熱に浮かされるように、首筋の形を指で確かめてから、そこに舌を這わせた。
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