茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜

初月みちる

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第六幕 隠せはしない

R18

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「もー! 何で急に降ってきたのよ……」

「出掛けるときは良い天気だったのにな」

濡れ鼠な二人は玄関に転がり込むなり不満を漏らす。よりにもよって雨宿りできる場所が無い時にバケツをひっくり返した様な雨が降ってきてしまい、ちょうど坂を登るはずだった二人は、坂から自分達に押し寄せる水に逆らいながら走って帰ってきたのだ。

「良かった、中身は濡れてないみたい」

ランジェリーの入った紙袋の中身を確認し、心なしか嬉しそうにつぶやく百子を陽翔は一瞥したが、すぐに顔を赤くして目をそらす。Tシャツがうっすらと百子の肌色と、彼女のブラジャーに包まれた胸の形や腰のくびれを写しているからだった。

「百子、風呂沸かすから入れ。風邪ひくぞ」

陽翔は百子に背を向け、やや上ずった声でそう告げる。百子が安堵してありがとうと言うのを右手を上げて答え、すぐにリビングに消える。それを見届けた百子はぶるりと身を震わせ、紙袋を寝室に置き、そのまま浴室に駆け込んだ。お湯がまだ張られていないので、頭からシャワーを被って冷えた体を温める。

「それにしてもすごい雨だったわ」

「そうだな。雷も鳴ってたし」

百子の背中を冷えた風が撫でたと思えば、陽翔が百子の呟きに答える。彼女は後ろを向くや否や、陽翔の両手が腰に回り、温かくしっとりした肌色が彼女を包み込んだ。

「え、待って。何で入ってきたの」

裸眼の陽翔と目が合って、百子の頬に朱がさした。抱きしめられて自分の心臓が歓喜と羞恥で高鳴ってしまい、陽翔の胸を手で押しのけようとしてもびくともしなかった。日頃から筋トレをしている陽翔に百子が敵うはずも無い。

「だって俺も寒いし」

そう言って陽翔は百子を抱きとめる腕に力を込める。濡れ鼠になって冷えていた体が、お互いの体温を分け合って混ざり合い、あっという間に火照っていく。

「ちょっ、恥ずかしいわ……一緒にお風呂なんて」

自分の下腹部に固くて熱い物が当たってることに気づいた百子は身をよじる。陽翔は腕を緩め、百子を前に向かせてシャワーを浴びせた。

「もっと恥ずかしいことをした仲なのにか? 今更だろ。俺はずっと一緒に百子と風呂入りたかったけどな」

陽翔は彼女の耳元でそっと囁きながら、そのまま百子の濡れた柔らかな双丘に、腹に、太ももに、手に取ったボディーソープをゆっくりと塗りたくってゆく。

「え、待って、自分で洗える……っ! んんっ!」

百子の抗議の声は陽翔の口の中に消えてしまう。唇を、舌を、歯列を丹念に彼の舌でなぞられ、くぐもった声すら陽翔の舌に絡めとられる。

「こうした方が温まるだろ?」

陽翔は百子の首筋を、鎖骨を丹念に舐め回しながら彼女の腹に、脇腹に手を這わせる。くすぐったいのか百子が笑うので、彼女に見せつけるように胸を下から持ち上げるように触れる。だが薔薇の香りのボディーソープの滑りが良いために、陽翔の指が彼女の胸の蕾を掠めた。

「ひゃっ! あっ!」

既に固くなっているそれに触れられ、百子は高い声を上げたが、風呂場に反響してしまって思わず口元を押さえる。

「何で声抑えんだよ」

陽翔が不満そうに口にするので、百子は首を降ってぼそりとつぶやいた。

「だって……声が響くじゃない……ひうっ!」

「こんな真っ昼間なんだから俺しか聞いてねえよ。もっと聞かせてくれ」

陽翔は百子の双丘を両手で包み込み、きゅっと唐突に彼女の蕾をつまみ上げ、彼女の首筋に吸い付いた。

「あああっ!」

百子は体を反らせて声を上げ、陽翔の腕にしがみつく。彼の手で双丘が揉みしだかれ、形を変えるのを見るのは、百子の羞恥を上回るほど官能を掻き立てられた。それは陽翔も同じようで、背中に先程から当たっている彼の熱く固い物の主張が強くなっているのを百子は感じ取る。

(陽翔の指が滑って……気持ちいい……)

ボディーソープ塗れのその指は双丘の蕾を弄っているが、ぬるぬるとしたその感触のせいで何度も中心を外してしまう。いつもと違うその刺激に、百子はもはや声を抑えることができなくなっていた。

「んっ……ふ……」

百子は蕾が彼の手で翻弄されている間に、陽翔に唇を奪われていた。彼の背中いっぱいに感じる熱と、不埒な指先と、熱心に自分の舌を追い求める彼の舌に散々翻弄され、百子は全身の力が抜けて彼に寄りかかった。

「百子、かわいい」

陽翔は百子の頬にキスを落とし、その体を抱き締める。彼女の呼吸が整うまで密着していた二人だが、百子が突然後ろを向いて欲しいと告げたのでそのとおりにしたら、今度は彼の背中に丸い2つの柔らかい物が触れてどきりとする。

「動いたらだめよ」

彼女のいたずらっぽい声が反響し、陽翔は百子に後ろから手を回された。陽翔の背中は大きく、百子の手が微妙に回りきらないが、百子はそのまま彼の腹筋を撫でる。ボディーソープをその手にまぶして。

「百子、俺の筋肉が好きなのか?」

百子は彼のしっとりとして弾力のある腹筋に指を這わせながら、そうよと答えた。陽翔としては百子に体を触られるのは嬉しい以外の何者でもないが、百子の両手が這いまわる間も、ずっと彼女の柔らかい胸の感触が陽翔の煩悩をくすぐるのだ。彼は先程よりも質量と熱を増した熱杭から蜜が溢れているのを見ていたが、突然彼女の指が胸の頂を捉えてうめき声が勝手に漏れた。

「あれ、どこだっけ」

百子が胸筋をまさぐっていると、偶然硬くなった頂きに触れて、百子は指先でちょんちょんと突いたりきゅっと摘んだりしてその感触を楽しむ。ボディーソープでぬるつくため、時々芯を外してしまうが、それすらも疼きに変わるようで、陽翔の低い声が風呂場に響く。もう片方の手は腹筋をそっと撫でていた。彼の低い声が上がる度に腹筋が固くなるため、その反応が愛おしく、百子はくすくすと笑う。

「っ! 百子! 風呂沸いたから入るぞ!」

散々百子によって荒い息を吐かされた陽翔は、百子の手が胸の頂から逸れたタイミングでシャワーのお湯を彼女にかける。自分の体についたソープも一緒に洗い流し、彼女に湯船に浸かるよう促す。百子がそろそろと入ったタイミングで陽翔も入ると、お湯があふれる音がした。

「なんでそんな端っこにいるんだよ」

湯船の隅で小さくなっている百子を、陽翔は後ろから抱き寄せて自分の足の間に収め、彼女の首筋に顔を埋めた。

「大丈夫? 狭くない?」

百子はもぞもぞと動こうとしたが、がっちりと陽翔の逞しい腕が回ってしまい、思わず彼の方を振り向く。

「いや、俺は百子とくっつけるから俺はいいけど」

陽翔の声が降り落ち、額に、頬に、唇にキスも落とされる。百子は背中に彼の心地良い熱を感じながら、彼の舌を追いかけ自分の舌を絡ませる。彼の舌と触れ合う感覚が心地よく、それに身を任せた百子はうっとりとして目を閉じた。しばしお互いがお互いの舌を求め合い、リップ音と小さな水音が反響し、それが二人の情欲を掻き立てていった。

「んっ……」

彼の唇が離れると、銀糸が束の間二人の間を繋いで消える。お風呂のお湯と陽翔の体温とキスですっかり蕩けきった百子の顔を見て、陽翔は自身の熱杭をさらに滾らせた。

「風呂にいる方がエロいな」

陽翔は再び百子の唇を奪い、彼女の胸の蕾を指でそっと摘む。百子がジタバタとするのでお湯が跳ねて湯船から溢れてしまい、咎める声が彼女の口から思わず滑りでる。

「ちょっと! お湯、もったいない、じゃない……んんっ!」

陽翔がやや強めに蕾を摘むので、百子は高い声を響かせた。

「あったまるから別にいいだろ。それに百子のそんな姿を見たらもう我慢できねえし」

そして陽翔は手を伸ばし、百子の茂みをかき分けて泥濘んでいる秘花にそっと触れた。

「ぬるぬるだな。俺の指がそんなに良かったのか?」

百子が首を横に振って声を抑えようとするので、陽翔は三度百子の唇を奪って口腔にくまなく舌を這わせ、甘い声を自分の口に閉じ込める。その間に秘花にするりと指を飲み込ませ、小刻みに動かしながら百子の体が跳ねる場所を探り当て、さらにもう片方の手で秘花の上にある花芽をそっと撫でた。

「んんーっ!」

甘い疼きを与えられて百子の体が跳ね、その動きに合わせて湯船からお湯が外にぱしゃりと逃げていく。それを気にしていた彼女だったが、甘く白い奔流がすぐそばに迫ってきてしまい、一際ピクンと腰が跳ねて陽翔の腕を思わず掴む。

「陽翔、お湯が……」

奔流が引き、陽翔の唇が離れて荒く息を吐いた百子は不満げな声でつぶやく。

「百子が気持ちよさそうにしてるからだろ。お風呂でする方が好きか? 体温まった方が感度が上がるって本当なんだな」

「それはっ! 陽翔が触るから……ひゃっ!」

そう言って陽翔は再び花芽に触れて、指を二本から三本に増やし、彼女の弱点を執拗に攻め立てた。

「百子が可愛いのが悪い」

「そんな……んあああっ!」

百子は白い稲妻に打たれたように、体を先程よりも跳ねさせて、陽翔に体を押さえつけられていた。彼は百子がどんな状態かを知っている筈なのに、なおも花芽と秘花を掻き回しにかかり、百子はここが浴室だということを頭から放逐してしまったと思うほど、陽翔に啼かされていた。

「待っ、て! イッた、ばっか! なのに!」

もう何度甘い疼きが白い奔流や稲妻となって百子を振り回したのかも分からない。陽翔は百子が顔どころか首まで赤くなっているのを見て流石にまずいと思ったのか、彼女の唇にキスを落とし、百子の手を掴み一緒に湯船から上がる。

「のぼせても良くないな。大丈夫か?」

百子は気だるいながらもわずかに頷く。陽翔はぐったりと自分に体を預ける百子をバスタオルで包み込んで、彼女の頭や体を優しく拭いていく。

「自分でできるわ。ありがとう」

「それじゃあ俺も拭いてくれるか?」

髪から雫を振り撒きながら陽翔が柔らかく笑う。陽翔が眼鏡を掛けていないだけでどきりとするのに、汗が彼の胸筋や腹筋を滑っていくその様子が合わさると、くらくらとしない方がどうかしている。陽翔に何度も絶頂まで導かれた百子は足がまだ震えているものの、頷いて彼のバスタオルを受取り、少しかがんだ彼の髪を、体を拭いた。

「ありがとう。続きは夜にするか。まだ荷解き終わってないし」

髪を乾かした後に台所で水を飲んでいると、陽翔の声が振り落ちる。

「そうだった……ダンボール回収って明日だったもんね。今日中に何とかしなきゃ」

彼の一言で甘い気分が吹っ飛んだ百子は、目に見えて肩を落とす。陽翔はそんな彼女を見てクスリと笑い、その肩に手をおいた。

「俺も手伝うから心配すんな」

「……ありがとう、陽翔」

百子は陽翔に口づけして感謝の意を伝える。荷解きをするだけならともかく、ダンボールを纏めるまで終わらせるには一人では困難だからだ。百子は陽翔が手を貸してくれるのに感謝しながら、日が傾くまで荷解きを行っていた。
そしてその夜、二人は何度も唇を合わせて、互いの体を隅々まで愛撫し、汗ばんだ体を繋いで深夜を迎えていたのだった。
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