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悪徳領主追放される

(???)

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 この国は貴族以外には優しくない……

 いや、貴族といっても落ちぶれてしまったらすぐに手のひらを返される…

 僕もかつては領地を持つ貴族だった…
 でも両親が相次いで亡くなり、気がついたら全てを奪われていた…

 僕が生まれ育った領地…
 両親との思い出の詰まった家…
 一族が守ってきた聖域…
 全てを…

 唯一残ったのは一族が守り、共に生きてきた聖獣
 白いモフモフの大きな犬…

 全てを奪われた時

「聖獣なんている訳ないだろう!
 こんな大きな犬邪魔だから連れていけ!」

 と、唯一持たせて貰えたのが僕にとっては生まれた時からずっと側にいる聖獣… 僕の親友だ…

 1人と1匹宛もなく彷徨い、王都まで流れてきたけれど、何もない浮浪者の少年に世間は冷たかった……

 誰にも見つからないよう路地裏にひっそりと潜んでいるが、もう何日も食べていない……
 
 苦しい…
 お腹が空いた…

 僕が愚かだったから全てを奪われた…

 だから僕は飢えて死んでも仕方がない…

 でも…
 僕の親友は何も悪くないんだ…!

 せめて親友だけでも助けてください…

 僕は飢えで気が遠くなる中、誰かに祈った…
 神様はあんなにも祈ったのに決して助けてはくれなかった…

 だから僕は誰でもいい…
 誰か助けてくれる人に祈る…


 ~~~~~~~~~~~~

 かつて私は聖獣として敬われていた…

 しかし遠くなる時間の中、人々は神も精霊も、妖精や聖獣すらそんなものはいない! と、我らの存在を無いものとしてしまった…

 唯一私を守ってくれていた一族と聖域も無くなってしまった…

 もはや私にかつての力は無い…

 私を守ってくれた一族最後の1人…… 私を親友と呼んでくれる少年を助けてやる事すら出来ない…

 少年は今、飢えで死にかけている…

 誰か少年を助けてくれ……!

 力の無い私にはただ願うしかできない…
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