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召喚された勇者は実は悪役令嬢でした

悪役令嬢召喚される

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「おおっ、成功したぞ!」

「やった! 勇者様だ」

 気がついたら私は、とある部屋で大勢の人に囲まれていた…

「勇者様、何卒我らをお救い下さい!」



 どうやら私は召喚された勇者らしい…

 皆さまのお話しを聞いてみると、魔王なる者がこの国を狙っているらしく、その対抗策として勇者を召喚したとの事

 ……そうね、私に本当に勇者の力があるなら悪は滅ぼさなくてはね

 でも私、こちらに召喚される前は悪役令嬢として処刑される所でしたのよ?
 こんな私でも皆さまよろしいのかしら?

 
 皆さまにお尋ねすると、1番偉い方、この国の王様が出てこられて
「そなたの前の事など関係ない!
 大事なのはこれからの事だ」
 との事でしたわ

 それならば、私は勇者として悪を滅ぼそうと思います
 でもその前に…

「王様、お尋ねしてもよろしいですか?」

「うむ、なんだね?」

「この国にはローズマリーという一族はいらっしゃいますか?」

「ローズマリーだと?」
 私の問いかけに王様ははて?という顔をする…

「ローズマリー家といえば、100年位前に当時の王太子の婚約者に害を為そうとした娘がいて、その罪で一族郎党処刑され、滅んでしまいましたぞ!」

 王様の側近らしき爺が、物知りぶりながら王様に報告する

「ああ、そんな一族がいたな~
 まあ、王族に危害を加えるような悪女を出すような一族なぞ滅んで当然だな!」

 王様はさも当然とばかりに頷く
 しかし、ふと何故そんな事を?という顔で私を見ていますわ…

 まあ、当然ですわね
 何故その一族の事を尋ねるなんて…

「私のいた世界にもローズマリー家があったもので…」

 私が俯きながらそう答える…
 そうですか… 
 この世界ではローズマリー家は滅んでいますのね……


「そんな事より、勇者よ…
 早速で悪いが国境付近で争いが起こっておるのでなんとかしてくれんかね?」

 王様は私の問いかけも、想いもで片付け、自分達の要求を訴えてきた


 うん、そうね…
 私は悪役令嬢だったけど召喚されし勇者!
 自分の中に力を感じるわ…
 これならば、きっと悪を滅ぼせるわ…


「王様! 必ずや悪を滅ぼしてみせますわ!!」

 王様は私の力強い言葉に喜びの顔を浮かべている

「最後に、アンソニー様はどうなりましたか?
 ああ、おまけにカレン様も…」

 ふふふっ、今の私の顔は正に悪役令嬢の顔をしているのでしょうね…


「それは儂のお祖父様、2代前の王と、その妃の名前ではないか!
 な、何故そなたはその名前を知っているのだ?」


 知っているわよ!
 好きな女と一緒になりたいが為に、婚約者である私を陥れ処刑しようとしたあの男!
 あの男、そのままカレンと結婚して王になったのね…
 王座も女も全てを手に入れて!

 方や私は貶められ、処刑された挙げ句に優しかったお父様、お母様…
 大好きなお兄様達とお姉様…
 その他私の一族が処刑ですって…
 許せる筈がないじゃない!

 私はゆっくりとあの男と瓜二つな王様を見た…
 私の中の力を感じながら…


 この日、ある王国の王族、それに連なる者達が全て消えた…


 クスクス、は全て滅ぼしたわ
 魔王なんて居ない…
 全ては他国の領土を奪おうとしていた王国の嘘
 勇者を召喚して、その圧倒的な力で全てを略奪しようとしていたのね…
 でも残念ね!
 召喚した相手が、かつての王が悪役令嬢として処刑した私だったなんて…

 私はあの時、あの男達に貶められ悪役令嬢として処刑された筈だったけど、気がついたら懐かしい我が家の1室にいたわ…
 間違える筈がない、私の生まれ育った思い出の詰まったあの家
 ただ、手入れのされていない何年も経ってしまった廃墟のようになってしまっていたけれど…
 お父様もお母様も、お兄様達やお姉様ももういない…
 
 私の大事な家族を奪った挙げ句に唯一残っていた家で、あの男の末裔達が勇者召喚なんて怪しい儀式をしているなんて本当に許せないわ…

 あの男の血族は全て滅ぼしたわ…
 私の復讐は終わり

 さあ、私はこれから折角生きながらえた命
 悪役令嬢らしく、気高くそして悪徳に生きていこうと思いますわ…
 それではごきげんよう~

    ~~完~~
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