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愛妻家の上司が好きなんです
3※
しおりを挟むーーーーーside Fujisawa
会社でこんなことしてるなんて、数ヶ月前の自分では全く考えられなかった。
いつものスーツ姿の部下と繋がる。
キスだけですっかりトロトロになってて、彼女もこのシチュエーションに興奮してるのがわかる。
口に詰めたハンカチで、いつもの可愛い彼女の声は聞こえないが、我慢して抑えている声もゾクゾクと俺を興奮させる。
ナカがキュウッと締まり始め、限界も近い。
「くっ、そろそろ、」
「ん゛っ!んーーーっんんっ!」
奥の方を小刻みに刺激して、引き抜く。
彼女のナカから引き抜いた自分自身を扱きながら、彼女の横に立ち、口からハンカチをとりだす。
そして酸素を求めて大きく口を開け舌を出した彼女へ向けて射精する。
「っ、あぁっ______!」
ビュッビュルルッと、彼女の口内を汚す俺の白。
彼女は口の中に溜まった白い粘液を、虚な顔をしつつも嬉しそうにゴクリと飲み込む。
そして、頬や口の横に口に入りきらなかった俺の白を指でなぞってぺろっとまた口に含む。
その度に上下する喉がいやらしい。
彼女のこういうところ、不思議だ。
普段はあんなに清潔感のあるイメージなのに、こんな時、男を惑わす淫魔のような妖艶さがあるところ。そのギャップも離れられない理由なんだろう。
「…水川さん、なにもそんな… 飲まなくていいんですよ。トイレでだせばよかったのに。」
「あっ、だって口でって、、そうだと思って…」
「もぅ、誰に教えられたの…?こんな、AVみたいなこと、初めてしましたよ。」
「本当ですか?奥さんともしたことない?」
なんでそこで喜べるんだろうか。
机に寝たまま、嬉しそうな顔で聞いてくる。
「こんな時に妻の話は禁句。」
「嬉しい。係長の初めてもらっちゃいました。」
「そんな初めてより、水川さんとすること全部が、僕の初めてなんですけどね。
はい。じゃあ、綺麗にできる?」
少し柔らかくなったソレに手を添えて、机に寝たままの彼女の前に差し出す。
残った精液をチュウっと吸い出すようにして、上手に舌を這わし、自分で零した蜜まで綺麗に舐めとる。
やっぱり彼女の舌は気持ち良すぎる。
反応してしまう自分自身が証明してる。
主導権握られるなんて嫌だから、あまりさせてあげないけど。
「はあっ…
水川さん、もう、いいよ。こんなとこでまた抑え効かなくなったらヤバい。上手にしてくれてありがとう。」
水川さんの唾液で濡れてるハンカチで手を拭い、そのまま収める。
「しかし、会社でさすがにこれはまずいね。
スーツ姿のいつもの水川さんがやらしいなんて、仕事中、いけないこと考えてしまいそうです。」
「あたしも、…まるで無理矢理されてるみたいで、いつもより感じちゃいました。」
「そんなこと冗談でも口にしちゃダメですよ。」
「…そっくりそのままお返ししますよ。」
「…そうですね。すみません。」
ハンカチを折り返し、俺ので汚れた彼女の顔と、足についている蜜を拭う。
「ごめん、とりあえずこんなことしかできなくて…」
「いえ、もう、帰るだけですから。」
お互いに身支度を整えれば、とりあえずいつもの2人の完成だ。
「良かったらこのまま、家まで送ります。」
「え、でも…。」
「仕事の後、ついでに送ることなんて今までにもあったじゃない。全然、不自然じゃないですから。」
いかにも〝事後です〟というような、少しぼーっとして、気怠げな水川さんを1人で帰すにはさすがに心配で。
すれ違う男の目を集め、痴漢にあったりとか無理矢理連れて行かれるんじゃないかと思うほど蠱惑的だ。
本当はこのままもう少し一緒にいたい。
本当はゆっくり彼女を愛してあげたいけれども。
俺は水川さんにとって、ただの上司だ。
それしか、言えない。
“セフレ”なんて言葉では割り切れないし、“愛人”なんて言葉とは、自分の抱いている印象とかけ離れている。
“恋人”が一番しっくりくるけれど、純粋な関係の2人につけるべきそんな言葉なんて、俺が口に出すのもおこがましい。
ただ、この関係に名前をつけたくないだけ。
自分の罪を言葉にしたくないだけ。
きっと、そう、なんだろう。
わかってる、
わかってる。
30代を間近に控え、女性としても一番大事な時期であろう彼女を、俺のそばに縛り付けておくこと、それも大きな罪なのだと。
2人で旅行に行ったり、2人で写真を撮ったり、人気のカフェでケーキを食べたり、普通のカップルがしてる当たり前のことを、俺は彼女にしてあげられない。
好きとか、愛してるとか、そんな言葉をかけてあげることもできない。
彼女にそういう、普通恋人たちがするような、当たり前の普通の幸せとか、結婚とか、与えてあげられる男はきっとたくさんいて、それが彼女にとっても一番いいって分かってはいるんだけれど、それでも今は、俺を選んで欲しいというわがままを思う。
彼女に同じ事を言われても、叶えてあげられない男のくせに。
片付けをして、それでも少し人目を気にしながら展示場を後にして車に乗り込む。
車の中では、さっきまで男女の甘い関係にあったなんて微塵も感じさせない、今日のイベントや、明日の会議の話をするいつもの2人がいる。
彼女のこういうところ、とても好きで。
社内恋愛なんて面倒なだけだと思ってた。恋愛に振り回され、いい意味でも悪い意味でも仕事に影響が出て、果ては部署異動や転勤や、休職やら退職やら、社会人になってから色んな人を見てきて、色んな話を聞いた。
俺には全く関係のなかった話だったのに、よりにもよって直属の部下とこのような関係になって。
最初の夜を過ごした後、
会社でどのように接すればいだろうかと、実はとても緊張していた。
お互いに気を遣いあってよそよそしくなるんじゃないか、とか、どこかで噂になってるんじゃないかとか、色々と考えた。
休み明け、無駄に早出をして無駄に忙しそうにして気を紛らわしてた俺に、
『藤沢係長、おはようございます。今日も早いですね。』
出社をしてきた彼女は、そう、いつもと同じように声をかけたんだ。
そこからはいつも通り。
『おはようございます。水川さん。』
そう、挨拶を返せば、それは日常。
何事もなかったかのように、1日が始まり終わる。
前に彼女が言ってた。
上司と部下としての関係の延長線上にキスがあるって。
自然にお互いを求める雰囲気になり、自然に仕事の話をする雰囲気に戻る。その繰り返しだ。オンもオフも違和感のない関係、それが俺と彼女の間の心地良さだけれども、その危うさには見て見ぬふりをしている。
見る人には分かってしまいそうな距離感。きっと、彼女を見る表情も、今までとは違っているのだろうと、自分でも思う。
「お疲れ様、また明日。」と、
いつものように水川さんのアパートの前で彼女を降ろして、そこから車で5分くらい。
うちの会社で管理しているマンションの5階が、今の俺の住まいだ。
カチャリと玄関の扉を開けると、パタパタとスリッパの音がして、
「あ、パパ、おかえりなさい。今日はシチューだよ。すぐあっためるから。」
そう、妻が出迎えに来てくれる。
「ただいま。」と、いつものように妻の唇にキスを落とす。
さっきまで水川さんの唇を貪っていたその唇で。
「今日は倉庫の掃除があって埃っぽいから、先に軽くシャワー浴びてくるよ。もう少し待ってて。」
そう言って、スーツのジャケットとネクタイだけ妻に渡してバスルームに向かう。
スラックスや下着に汚れがないか、念入りに確認をし、ハンカチは一旦洗面所で洗ってから洗濯機に入れる。
頭からシャワーを浴びながら思うのは、
“俺は何をやっているんだ” だ。
水川さんとの痕跡を妻に絶対に気づかせないように、そう考えて行動をしているそんな自分に嫌悪感をもつ。
家族のことを考えたり、家に帰って妻を目にすると妻のことをとても愛しく思う。子供たちと一緒に、ずっと守りたい存在だと思う。
それなのに水川さんのことも、ただただ愛しくてたまらない。それが悪いことだとも思えない。
2人の女性を同時に愛するなんて、そんなこと、ありえないって思ってた。
愛妻家なんて呼ばれていることが笑えてくる。
一度扉を開けて進んでしまったこの道は引き返すことができない。この先が見えなくても、その暗闇を迷っていることすら心地良いって思ってしまっている自分は、いい加減狂ってると思う。
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