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お見合いの相手は?
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フェリスは、みさより先に家に着き、リビングの窓から部屋の様子を伺っていた。
暫くすると、みさが家に帰って来た。
いつも遅いはずの父がもう帰宅しており、リビングでコーヒーを飲んでいる。
父は、帰って来たみさに気が付く。
「ん?帰ったか。髪を染めたのか?髪型も変わっているが美容室でも行ったのか?縁談の話があると言っておいただろう?何処か寄るなら連絡くらいしなさい。…まぁ、良い。荷物を置いたら直ぐこちらに来るように。」
「はい。」
みさは返事をし、2階の自分の部屋に鞄を置きに行く。着替えながら、
(これで服まで変わってたら何言われたか。もう二十歳なんだから、それくらいほうっておいて欲しいもんだわ。)
着替えが終わり、リビングへと急ぐ。みさがリビングに行くと、母、そして兄も座っていた。
「お父さん、お待たせしました。」
「うん。さっそくだがこれが朝言っていた縁談だ。」
どれどれ……フェリスが窓の隙間から覗き込む。みさの父が写真を開き
「柊商事の秘書兼副社長の橘 修だ」
と、言った瞬間、
「……なっ!?」
ガタン、ガコ、ドンッ!
フェリスが思わず声を出し、驚いて足を踏み外してしまう。窓の縁から下へ落ちてしまった。
「何事だ!!」
みさの父がリビングの窓から外を見る。
しまった…!
落ち着け、大丈夫だ。俺は今、猫。見られても何も問題ない…はず。
「に…、にゃあ~。」
と、最大限可愛い声を出し、みさの父を下から見上げる。その瞬間、威厳を保っていたみさの父の顔が緩む。
「そかそか、お前かぁ~。可愛いなぁ~。窓に隙間があったから、食べ物の匂いに釣られたかにゃ?窓から落ちたのか?気を付けるんだぞ~」
そう言いながら、フェリスを抱き抱え、広い庭に離してやる。
コホン。と咳払いし、椅子に戻って何事も無かったように座る。
「父さん、隠しても無駄ですよ。父さんが猫好きなのは皆知ってます。」
兄が言った途端、空気が和む。
「まぁ、あれだ猫は可愛いからな。と、そろそろ本題に戻るぞ。」
照れながらそう言い、話を戻した。
父は大の猫好きである。
(いつっもその位優しい顔してたら良いのに。猫飼えば変わるのかな。)
等と思っていると、
「とにかく、見合いは来週の土曜だからな。
失礼の無いように。お前には勿体無いくらいの良い縁談だからな。あのやり手の社長の右腕、副社長であるが25歳、本当にこんなに良い話はないぞ。」
「はい…」
(って言われても、結婚する気なんてないんだけど…お見合いの相手がシリウスさんだったら良いのにな……
それに、私の為っていうより家の為でしょ。父さんが優良企業と繋がりを持ちたいからって、勝手だよね。シリウスさんは大丈夫だから僕に任せてとか言ってたけど…)
*****
―その頃のフェリス―
「た、助かった~。猫好きで助かった…
しかし、驚いた。縁談の相手が俺だとは…
確かにこの間、会社の人脈を広げようと行った取引先の社長が、いたく俺を気に入ってて、今度友人の娘を紹介させてもらいたいとか何とか言ってたけれど…まさか、みさ嬢だとは。
っということは、見合いは来週の土曜日か。」
フェリスは取引先の社長から縁談の話を受けており、来週の土曜日に会う予定を入れていた。
写真が来ていたが、まだ見ていなかった。
(んー、取引先の社長の頼みだしどうするか…見合いしないわけにもいかないしな。とりあえず、シリウス様に報告、だな。シリウス様は、どこの誰かも分からない奴との見合いなんかぶち壊わせ、と言っていたが状況が変わったな。
見合いの相手が俺だしな…シリウス様、驚くよな。)
色々考えながら、フェリスはシリウスの元へと急ぐ。会社に着くとすぐシリウスが聞いてきた。
「みさの相手はどんな奴だ?上手く阻止出来そうか??」
「それが…驚かないで聞いて下さいよ?」
「何だ??どんな奴でも大丈夫だ。俺が絶対阻止してやる。」
「…見合いの相手俺でした。」
「そうか。それは大変…えっ!?は?」
シリウスは流石に驚いている。まさか見合いの相手がフェリスだなんて、想像つくはずがない。
「流石に驚きますよね。どうします?」
「そういや、確かにフェリスにお見合いの話来てたな。って、内容ちゃんと確認してなかったのか?」
「すみません。取引先の社長の友人の娘とか言っていたので、会社の為にも断る選択が無かったし…写真もまぁ…前日までに見ておけば良いかなと思ったので…
……ごめんなさい。」
フェリスはシュンとなって、シリウスを見詰めた。シュンとなっているフェリス、猫耳が生えている。
「分かったからそんな顔するなよ…耳もしまえ。その顔はズルいぞ。」
ったく…と言いながら、シリウスも怒ってはいない。
「ごめんにゃ~(笑)」
「調子にのるな(笑)」
「はーい。」
「んで、見合いフェリスが相手なんだよな。だとしたら、それを上手く使う手はないよな。」
シリウスはニヤッと笑う。
「その見合い、俺が行く事にするわ。」
「えっと、取引先の社長にはどの様に説明を?
後、みさ嬢には先に言っておきますか?」
「んと、そうだな。フェリスは社長に、僕の見合い相手ですが、写真を見て社長が一目惚れしたから、僕ではなく社長の"柊 悠"が見合いをしたい。と説明してくれ。
みさには、何も言わなくて良い。名前もシリウスとしか言っていないから今は気付かないだろう。みさの驚く顔も見たいしな。フェリス、お前も同席な。」
「それは勿論、同席させて頂きます。」
シリウスは見合いが楽しみになってきた。
フェリスは取引先の社長に電話をして伝える。
「社長、かなり驚いていた様ですが、了解もらいました。直ぐにみさ嬢の父に連絡するそうです。」
*****
バタバタバタと階段を駆け上がる音がする。
バンッ!
ノックも無しで、父がいきなり部屋に入ってきた。それには流石にみさも怒って、
「お父さん!!部屋に入る時はノックして下さい!」
「すまん、すまん。 それよりみさ、大変な事になったぞ。」
「大変な事って何ですか?」
「みさの見合い相手が変わった。」
「???」
変わったからって、そんなに慌てること?いったい誰に…
「父さん、冷静に。みさ、大変だよ。」
兄も部屋に入って来た。
「柊商事の副社長ではなく、社長がお見合いして下さることになった。」
「社長、とお見合いするんですか?」
「そうだ。何処で見られたかは分からんが、社長がお前に一目惚れしたんだと。」
「凄いじゃないかみさ!流石、俺の妹だな。あの一代で会社を築いたカリスマ社長だよ!父さん、僕も近くまで行くだけじゃなく、同席出来ないですか?是非、柊社長にお会いしてみたいです。」
兄も興奮気味だ。
「良いだろう。先方に聞いてみる。」
私の事はお構い無しで話が進む。
(一流企業の社長が一目惚れって、何だか信じられないけれど。何処で会ったのかなぁ…。
確か、シリウスさんも”柊様”って呼ばれてた様な。…って、そんなわけないか。
あの人は皇太子であって、”社長”ではないんだから。お父さん、社長では無いですが、ある国の皇太子が私と…なんて通じる訳ないよね。…私が好きな人がいるからお見合いしたくないって言っても、聞いてなんてくれるはずないし……)
「はぁ……」
と長いため息が出る。心の声も漏れそうだ。
「ため息なんてついてどうしたんだ?
あぁ。あまりにも凄い人だから緊張してるんだな。無理もない。だが、これで縁談がまとまれば晴れてみさは社長夫人だな。」
父はご満悦だ。一流企業の社長との縁談がまとまれば父の家業も安泰だからだ。
(社長夫人なんてどうでも良い。まぁ、良い暮らしは出来るんだろうけど。父だけじゃなく、いつも知らない顔してる兄まで乗り気だし…カリスマ社長??どんな人なんだろう。今度は写真も無いし、上手く断われるかな?いや、でも…断わったら”家”にとって、何か不都合な事が…?
ああ~っ!もうどうしたら良いの~??何だか叫びたい気分…だけど…)
「お話は分かりました。部屋に戻ります。」
気持ちを落ち着かせ答える。
「ああ。良い縁談があって良かったな。」
父はずっとご機嫌だ。
「はい…」
そう返事をし、部屋に戻ってごろんとベッドに寝転んだ。
暫くすると、みさが家に帰って来た。
いつも遅いはずの父がもう帰宅しており、リビングでコーヒーを飲んでいる。
父は、帰って来たみさに気が付く。
「ん?帰ったか。髪を染めたのか?髪型も変わっているが美容室でも行ったのか?縁談の話があると言っておいただろう?何処か寄るなら連絡くらいしなさい。…まぁ、良い。荷物を置いたら直ぐこちらに来るように。」
「はい。」
みさは返事をし、2階の自分の部屋に鞄を置きに行く。着替えながら、
(これで服まで変わってたら何言われたか。もう二十歳なんだから、それくらいほうっておいて欲しいもんだわ。)
着替えが終わり、リビングへと急ぐ。みさがリビングに行くと、母、そして兄も座っていた。
「お父さん、お待たせしました。」
「うん。さっそくだがこれが朝言っていた縁談だ。」
どれどれ……フェリスが窓の隙間から覗き込む。みさの父が写真を開き
「柊商事の秘書兼副社長の橘 修だ」
と、言った瞬間、
「……なっ!?」
ガタン、ガコ、ドンッ!
フェリスが思わず声を出し、驚いて足を踏み外してしまう。窓の縁から下へ落ちてしまった。
「何事だ!!」
みさの父がリビングの窓から外を見る。
しまった…!
落ち着け、大丈夫だ。俺は今、猫。見られても何も問題ない…はず。
「に…、にゃあ~。」
と、最大限可愛い声を出し、みさの父を下から見上げる。その瞬間、威厳を保っていたみさの父の顔が緩む。
「そかそか、お前かぁ~。可愛いなぁ~。窓に隙間があったから、食べ物の匂いに釣られたかにゃ?窓から落ちたのか?気を付けるんだぞ~」
そう言いながら、フェリスを抱き抱え、広い庭に離してやる。
コホン。と咳払いし、椅子に戻って何事も無かったように座る。
「父さん、隠しても無駄ですよ。父さんが猫好きなのは皆知ってます。」
兄が言った途端、空気が和む。
「まぁ、あれだ猫は可愛いからな。と、そろそろ本題に戻るぞ。」
照れながらそう言い、話を戻した。
父は大の猫好きである。
(いつっもその位優しい顔してたら良いのに。猫飼えば変わるのかな。)
等と思っていると、
「とにかく、見合いは来週の土曜だからな。
失礼の無いように。お前には勿体無いくらいの良い縁談だからな。あのやり手の社長の右腕、副社長であるが25歳、本当にこんなに良い話はないぞ。」
「はい…」
(って言われても、結婚する気なんてないんだけど…お見合いの相手がシリウスさんだったら良いのにな……
それに、私の為っていうより家の為でしょ。父さんが優良企業と繋がりを持ちたいからって、勝手だよね。シリウスさんは大丈夫だから僕に任せてとか言ってたけど…)
*****
―その頃のフェリス―
「た、助かった~。猫好きで助かった…
しかし、驚いた。縁談の相手が俺だとは…
確かにこの間、会社の人脈を広げようと行った取引先の社長が、いたく俺を気に入ってて、今度友人の娘を紹介させてもらいたいとか何とか言ってたけれど…まさか、みさ嬢だとは。
っということは、見合いは来週の土曜日か。」
フェリスは取引先の社長から縁談の話を受けており、来週の土曜日に会う予定を入れていた。
写真が来ていたが、まだ見ていなかった。
(んー、取引先の社長の頼みだしどうするか…見合いしないわけにもいかないしな。とりあえず、シリウス様に報告、だな。シリウス様は、どこの誰かも分からない奴との見合いなんかぶち壊わせ、と言っていたが状況が変わったな。
見合いの相手が俺だしな…シリウス様、驚くよな。)
色々考えながら、フェリスはシリウスの元へと急ぐ。会社に着くとすぐシリウスが聞いてきた。
「みさの相手はどんな奴だ?上手く阻止出来そうか??」
「それが…驚かないで聞いて下さいよ?」
「何だ??どんな奴でも大丈夫だ。俺が絶対阻止してやる。」
「…見合いの相手俺でした。」
「そうか。それは大変…えっ!?は?」
シリウスは流石に驚いている。まさか見合いの相手がフェリスだなんて、想像つくはずがない。
「流石に驚きますよね。どうします?」
「そういや、確かにフェリスにお見合いの話来てたな。って、内容ちゃんと確認してなかったのか?」
「すみません。取引先の社長の友人の娘とか言っていたので、会社の為にも断る選択が無かったし…写真もまぁ…前日までに見ておけば良いかなと思ったので…
……ごめんなさい。」
フェリスはシュンとなって、シリウスを見詰めた。シュンとなっているフェリス、猫耳が生えている。
「分かったからそんな顔するなよ…耳もしまえ。その顔はズルいぞ。」
ったく…と言いながら、シリウスも怒ってはいない。
「ごめんにゃ~(笑)」
「調子にのるな(笑)」
「はーい。」
「んで、見合いフェリスが相手なんだよな。だとしたら、それを上手く使う手はないよな。」
シリウスはニヤッと笑う。
「その見合い、俺が行く事にするわ。」
「えっと、取引先の社長にはどの様に説明を?
後、みさ嬢には先に言っておきますか?」
「んと、そうだな。フェリスは社長に、僕の見合い相手ですが、写真を見て社長が一目惚れしたから、僕ではなく社長の"柊 悠"が見合いをしたい。と説明してくれ。
みさには、何も言わなくて良い。名前もシリウスとしか言っていないから今は気付かないだろう。みさの驚く顔も見たいしな。フェリス、お前も同席な。」
「それは勿論、同席させて頂きます。」
シリウスは見合いが楽しみになってきた。
フェリスは取引先の社長に電話をして伝える。
「社長、かなり驚いていた様ですが、了解もらいました。直ぐにみさ嬢の父に連絡するそうです。」
*****
バタバタバタと階段を駆け上がる音がする。
バンッ!
ノックも無しで、父がいきなり部屋に入ってきた。それには流石にみさも怒って、
「お父さん!!部屋に入る時はノックして下さい!」
「すまん、すまん。 それよりみさ、大変な事になったぞ。」
「大変な事って何ですか?」
「みさの見合い相手が変わった。」
「???」
変わったからって、そんなに慌てること?いったい誰に…
「父さん、冷静に。みさ、大変だよ。」
兄も部屋に入って来た。
「柊商事の副社長ではなく、社長がお見合いして下さることになった。」
「社長、とお見合いするんですか?」
「そうだ。何処で見られたかは分からんが、社長がお前に一目惚れしたんだと。」
「凄いじゃないかみさ!流石、俺の妹だな。あの一代で会社を築いたカリスマ社長だよ!父さん、僕も近くまで行くだけじゃなく、同席出来ないですか?是非、柊社長にお会いしてみたいです。」
兄も興奮気味だ。
「良いだろう。先方に聞いてみる。」
私の事はお構い無しで話が進む。
(一流企業の社長が一目惚れって、何だか信じられないけれど。何処で会ったのかなぁ…。
確か、シリウスさんも”柊様”って呼ばれてた様な。…って、そんなわけないか。
あの人は皇太子であって、”社長”ではないんだから。お父さん、社長では無いですが、ある国の皇太子が私と…なんて通じる訳ないよね。…私が好きな人がいるからお見合いしたくないって言っても、聞いてなんてくれるはずないし……)
「はぁ……」
と長いため息が出る。心の声も漏れそうだ。
「ため息なんてついてどうしたんだ?
あぁ。あまりにも凄い人だから緊張してるんだな。無理もない。だが、これで縁談がまとまれば晴れてみさは社長夫人だな。」
父はご満悦だ。一流企業の社長との縁談がまとまれば父の家業も安泰だからだ。
(社長夫人なんてどうでも良い。まぁ、良い暮らしは出来るんだろうけど。父だけじゃなく、いつも知らない顔してる兄まで乗り気だし…カリスマ社長??どんな人なんだろう。今度は写真も無いし、上手く断われるかな?いや、でも…断わったら”家”にとって、何か不都合な事が…?
ああ~っ!もうどうしたら良いの~??何だか叫びたい気分…だけど…)
「お話は分かりました。部屋に戻ります。」
気持ちを落ち着かせ答える。
「ああ。良い縁談があって良かったな。」
父はずっとご機嫌だ。
「はい…」
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