夢で会った猫は異世界からの迎え!?僕は異国のお姫様!?

猫兎彩愛(ねこうさあやめ)

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6.ガラク・ロード~森の中へ~2人の気持ち~

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休憩施設を出て、ガラク・ロードへ入る。
木々が生い茂り、所々光が差し込んでいる。奥は暗くて良く見えない。

「ガラク・ロードって森なんだ。」

アステリアも記憶が戻ったとはいえ、ここの事は知らなかった。

「そうだよ。この森の中は危険区域だ。魔物が出るが俺がしっかり守ってやるからな。」

「カイ、私も魔法は使えるから、出来るだけ頑張るよ。」

「アステリア魔法思い出したんだな?良かった。でも、無理はするなよ?後、これも持っておいて。」

短剣を渡される。

「ありがとう。でも...正直武器は苦手かな。」

「いざという時には役に立つから。とりあえず持っておけば良いよ。それと、それは改造武器だ。」

「改造武器???」

「試しにあの岩を切ってみてよ。」

20m先位に大きな岩があった。

「岩を切る!?あんなにおっきいのに??」

(信じられない...でも、カイが言ってるから切れるかも。)

「剣をあの岩に向けて真っ直ぐに高く振り上げ、手元にある緑のボタンを少し強く押しながら、振り下ろしてごらん。」

言われた通りに剣を振り下ろしてみると...

カチッ、シュッ
バシュッ、バキバキバキ...

音と共にイカヅチが岩に落ち、真っ二つに割れる。その衝撃にビックリして、固まってしまった。

「び、ビックリした~。イカヅチが出るなら言ってよ!」

「ああ、悪い。しかし、驚いて固まってるアステリアも可愛いな。」

「!!...もうっ、からかわないでよ~。」

顔が真っ赤になる。

その後、魔物を倒しながら森の中を進んでいく。ガサッ。草むらの中で音がした。音のする方から何かが目の前に飛び出した。ゴブリンだった。

「ゴブリンっ。」

剣を構えるとカイが、

「ちょっと待て、アステリア。そいつはホブゴブリン。誤解されやすいけど良い奴らなんだ。」

「ホブゴブリン??」

ホブゴブリン(「...イイヒト?コウゲキシナイ?」)  

さっき剣を構えたせいか少し震えている。

「...カイ、ごめん、私のせいだよね。。」

しゅん...となっていると、

「大丈夫だよ。俺達が攻撃したりしないって分かったら、落ち着くよ」

そういうと、何かホブゴブリンと話をしている。

「...そうか。...うん、よし。」

「アステリア、何か食べ物持ってたよな?2つ出して。」

「あ。うん、分かった。」

果物を2つ鞄から出す。

「サンキュ。」

カイは果物を受け取り、ホブゴブリンに渡してる。ホブゴブリンは嬉しそうだ。

ホブゴブリン(「イイヒト。ウレシイ。アッチオークイル。オーク、ヨメサガス。オンナノコアブナイ。コッチイクトイイ。」)

「訳すると...あっちにはオークのリーダーがいて、今、嫁探し中。女の子は拐われる事もあるから行かない方が良いと。なるほど。」

とカイ。

(ホブゴブリンが教えてくれなかったら、危なかったということだよね。良かった...)

アステリアはほっと胸を撫で下ろした。

「ありがとう!助かったよ!じゃあなー!」

カイが、ホブゴブリンに笑顔で手を振ってる。
ホブゴブリンも嬉しそうにこっちを見て、果物を掲げてる。

「教えてもらって良かった~。オークの嫁探しなんて怖すぎる...。」

「アステリアは黙ってれば可愛いし、拐われるかもな?まぁ、なんにせよ良かった。姫が拐われたとなると大変だ。」

うんうんと、カイが頷く。

「ちょっと、カイ~。黙ってればは余計~!」

「ああ。ごめんごめん。」

カイは笑いながら答えてる。

「もぅ~。」

ガサッ。話をしていると、林の中から音がした。音がした方にカイが剣を構える。オークだ。5体もいる。真ん中に居るのは・・ボス?さっきホブゴブリンが言っていたオークのリーダーだろうか。

「アステリア、下がって。」

カイの後ろに隠れる。

「おんな、こっちに渡せ。」

オークが寄ってくる。

「姫は渡さない!」

カイが剣を構えて、守ってくれる。カイの後ろで様子を見る。

「ん?ちょっと待って。」

「どうした?アステリア。」

「さっきのゴブリン、オークがあっちにいるって言ってなかった??」

「確かに...」

よく見ると、オークの後ろにさっきのゴブリンが。

「あーっ!ゴブリン~!!」

私が指差すと、オークがニヤニヤ笑いながら、

「あー、コイツらは俺の手下だ。残念だったな。お前、俺の嫁になれ。」

と言い、オークが近づいてくる。さっきのホブゴブリンはオークの後ろで、少し震えながら隠れている。

「おい、俺が居ることを忘れるなよ。ファイヤー、ボール!!」

カイが唱えると同時に大きな炎がオークを包む。

「アステリア、こっちだ!」

カイに手を引かれ走る。
暫く走ったところで、木の上に飛び乗り、様子を見る。手下であるだろう4体のオークが真下であっちかこっちか話している。
さっきのボスのオークも加わり、森の奥に入って行った。

「ふ~。危なかったな。大丈夫か?アステリア。」

カイは心配そうだ。

「うん、ありがとうカイ。大丈夫よ。それにしても...さっきのゴブリンにはやられたね...。」

「ホブゴブリン、基本は良い奴なんだけどな...震えてたし、何か訳があるんだろう。
まぁ、逃げ切れたから良かったな。」

「うん...逃げられてホントに良かった...連れ去られたらどうなるんだろうって、やっぱり不安だったの。」

「そうだな。まぁもし拐われても、俺が絶対、全力で探しだして救い出してやる。その前に、絶対に拐われないように守るけどな。大切な"姫"だしな?」

カイは得意気に言ったが、アステリアは少し不満そう。

「カイは...もし、私が姫じゃなかったらこんなに守ったりしてくれないよね...カイは"使命"で"アトラスの姫"をまもってるだけだもんね。」

「アステリア...そんな風に思ってたのか??俺は、アステリアが大事だ。例え姫じゃなくても、守るよ。」

カイは少し困ったように答える。

「ホントに??でも、やっぱり"姫"だから...じゃ、ないの?」

じっと、カイを見詰め寂しそうに言う。

「あ~っ!もうっ!そんな風に言うなよ。そんな顔するな。気持ちが抑えられなくなるっ。」

カイはアステリアをぐいっと引き寄せ、抱き締める。そして、顎を持ち上げ口づけた。

「!??、カイっ??」

アステリアは、顔が真っ赤になり固まっている。

「...俺は、お前が...アステリアが好きだっ!!言わせるなよ...ずっと、ずっと...好きだった。身分違いなのは、分かってる。言うつもりも無かったんだ...アステリアを困らせるの分かってたし...」

カイはあたまを抱えて座り込んでしまった。

「カイ...私もカイの事...」

(もう、言ってしまおう。身分なんて関係ないっ。私もカイの事大好きだもんっっ。)

「...えっ!?」

「カイの事、大好...」

っと、言いかけたとこで、カイに口を押さえられた。

「アステリア、それ以上言うな。言っちゃダメだ。ごめんな。俺...姫にそんなことを言わせるなんて、護衛として失格だな。今のは忘れてくれ。本当にごめん。」

「カイ...私は...」

「この話しはもう終わりだ!先急ぐぞ!」

カイはわざと大きな声で、アステリアが言おうとしてることを遮り、先に進み出す。

「カイ、待って~!」

アステリアは慌てて追い掛ける。カイは少し先で待っていた。カイの目は少し潤んでいた。

「アステリア!もう直ぐ森を抜けるから頑張れよ!!」

カイは気持ちを悟られないように、ニカッと笑う。けれど、どんなに隠そうとしてもアステリアには分かっていた。幼い頃からずっと、長く一緒に居るからだ。

(カイ、私もホントにカイの事好きだよ...ずっと、ずっと...。)

そんな風に考えていた、その時!!

「グヘヘ。女、こんな所に居たのか。」

オークがアステリアの真後ろに立っていた。

「きゃ~っ!!」

アステリアは、オークに捕まってしまった...
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