夢で会った猫は異世界からの迎え!?僕は異国のお姫様!?

猫兎彩愛(ねこうさあやめ)

文字の大きさ
上 下
4 / 9

4.アステリア姫

しおりを挟む
扉を開けるとそこは、ホテルの様な場所だった。豪華なシャンデリアが飾られているロビーにラウンジ、テルス(地球)にある高級ホテルの...?なんて考えていると、

「アステリア、入口にずっと居ると邪魔になるよ。」

僕の背中を押し、中に誘導する。辺りを見渡すと人もいるが、犬、うさぎ、猫、鳥等色んな動物も居て賑やかだ。

「あ。いや、どうしたら良いのか分からなくて。それと、僕達以外?の動物もいるのな。」

「そうだよな。ごめんごめん。とりあえず部屋を取って、今日はゆっくり休息しよう。後、動物は俺達同様みんな変身している人達だ。中には使い魔もいるけどな。」 

色んな動物に変身、それに使い魔。本当に現実とは思えない。そういや、ここに来たら人に戻るとか言ってたな。

「いつ、人に戻るんだ??」

そう言うと、カイが何か考えながら、じっと見詰めてくる。

「んー、俺はここで人に戻って受付してくるが、アステリアは女の子だし、部屋に行ってから戻るか?」

「女の子だし...と言われても、記憶は男だからな...。」

「そうだったな。まぁ、慣れない所でいきなり戻るより、部屋に行ってからにしようか。それに...姫だからな。目立つよ?」

カイは笑いながら言う。

「そんなに目立つのか??」

「まぁ、アトラスの姫だからな。隠してもオーラが出るだろうな。」

オーラって、なんだか恥ずかしくなってきた。

「そこで待ってろ。受付済ましてくる。


そう言うと、カイはペンダントを頭上に掲げる。白い光がカイを包んだと思ったら...。見たこともないイケメンがそこに立っていた。金色のストレートの短髪、深い青い瞳、スラッとしているが、ほどよく筋肉もついている。整っている。まさに理想の姿。俺もあんなだったらモテただろうな~

なんて考え方ながら、ぼーっと見詰めていると...

「おーい、どうしたんだアステリア?固まってる??1人で待ってられるか?大丈夫??」

その声に我に返った。

「だっ大丈夫だ。カイ、待ってるな。」

カイが心配そうに見ている。

...いや、あんなイケメン、急に目の前に現れたら固まるだろ。僕が姫に戻ったら目立つとか言ってるけど、カイも十分キラキラしてるし、オーラもある。あれで目立たないとか言ってるのに、僕が目立つわけないよな。

「アステリア、お待たせ!」

満面のキラキラ笑顔で、カイが手を振ってこっちに来る。

「...うっ。眩しいっ」

「アステリア、さっきから何だか変だよ?疲れたか?部屋に案内するよ。」

カイはそう言いながら、猫の姿の僕をサッと抱き抱え、部屋に向かった。

「ここが、アステリアの部屋だよ。」

「カイと同じ部屋では無いのか?」

「姫と同じ部屋に泊まるわけには行かないよ。」

カイが焦っている。

「そうか、僕、姫だもんな。」

何か寂しい。

「そんな顔するなよ。寝るまでは部屋に居るからな。」

「分かった。で、僕も人に戻らないといけないんだよな?」

「そうだよ。ペンダントを頭上に掲げてみて?」

「分かった。やってみる。」

ペンダントを頭上に掲げてみた。すると、虹色の光に包まれる。何だか心地良い...眠ってしまいそうだ...。

「ふ...ぅ。」

...とミドリは一息つく。

「アステリア、戻ったな。やっぱり君は綺麗だ。」

カイと同じく金色のストレートのロングヘア、青い瞳、スマートでそれであって、女性らしい柔らかな体型。カイは、じっと見詰めている。

「カイ?カイなのね...。?」

ぎゅっと、カイに抱きつく。

「あ。アステリア、どうした?さっきまでのアステリアじゃないみたいだ。」

「...カイ、ごめんね。心配したでしょう?思い出したの。カイの事もお母様やお父様、みんなの事を。」

「そうだったんだ。良かった...。」

カイの瞳が潤んでいる。

「やだ、泣かないでよカイ。」

「だって、ずっと記憶が戻ってなかったし、このまま戻らないのかと...あ。そういえば、アオイの記憶は?」

「アオイの記憶もちゃんとあるよ。今はね。僕って言っていた事もちゃんと覚えてる。カイ、今、記憶が戻って思ったんだけど、"アオイ"って人格も私の中にあって...その、友達やアオイのお母様の事を思うと何だか苦しくなるの。
規定では、アオイの事はみんなの記憶から消えるんだったのよね...?
 それって、やっぱり何だか寂しいな...」

「アステリア、アオイの時に言ったけれど、それは仕方のない事なんだ。こっちにアステリアが帰って来て、テルスで急にアオイが居なくなる...ってなったら、それは大事件になるよな。だから、存在してるって訳にはいかないんだ。」

カイは困った顔をしている。

「そうだよね。ごめん、カイ、困らせるような事言って。」

「いや、いいんだ。きっとアステリアは向こうでの楽しい思い出もいっぱいあった筈だし、そう言いたくなるのも分かるよ。」

「ありがとう、カイ。本当にカイは優しくて頼りになるね。アオイの時にもかなり助けられたし。」

「そんなことないよ。それに、俺の使命はアステリア姫を守ることだからな。」

と、ポンポンと頭をなでなで

「も~!そうやっていっつも子供扱いして~!」

でも、楽しいな。

「...このまま、帰らないで、ずっとカイと一緒に居られたら良いのに...。」

思わず口に出してしまった。

「ん?何か言ったか?」

カイは聞いていなかった様だ。アステリアはホッと胸を撫で下ろし、

「ううん、何でも!それよりお腹空いたな~。何か食べに行かない?」

話題を切り替えた。

カイにあんな事を言うとまた困らせてしまう。身分が違う...ただそれだけの事なのに。身分なんて、そんなもの無ければ良いのに...
でも、これは心の中に留めておこう。
あーあ、せっかくカイと昔みたいに2人で居るのに帰りたくないな~。

「はぁ...。」

ため息が出る。

「アステリア、どうしたんだ?何かあるなら言えよ?俺に出来る事は何でもするから。」

出来ない事だから悩んでるんじゃないの。そう思いながらカイを見詰める。

「急に、記憶が戻ったから疲れたかな。」

無理するなよ。と、カイ。

「分かった。ありがとう、カイ。」

食事を済ませ、1人部屋に戻る。

カイが

「寝るまで一緒に居ようか?」

と言ってくれたが断った。

フカフカの上等なベッドに横になって考える。

これ以上、一緒に居るとまた甘えが出てしまう。それではいけない。私は一国の、アトラスの姫として帰らなければならない。テルスに行き、経験を積んで来た。今までと同じ様に...とは行かないのも分かってる。

「強くならなきゃ...。」

そう呟きつつも、アトラスに帰るまではカイと対等に過ごしたいな...
そんな風に思いながら、眠りにつくのだった...。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか

宮崎世絆
ファンタジー
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。しかも公爵家の長女、レティシア・アームストロングとして。 あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「もしかして乙女ゲームのヒロインか悪役令嬢ですか?!」と混乱するレティシア。 溺愛してくる両親に義兄。幸せな月日は流れ、ある日の事。 アームストロング公爵のほかに三つの公爵が既存している。各公爵家にはそれぞれ同年代で、然も眉目秀麗な御子息達がいた。 公爵家の領主達の策略により、レティシアはその子息達と知り合うこととなる。 公爵子息達は、才色兼備で温厚篤実なレティシアに心奪われる。 幼い頃に、十五歳になると魔術学園に通う事を聞かされていたレティシア。 普通の学園かと思いきや、その魔術学園には、全ての学生が姿を変えて入学しなければならないらしく……? 果たしてレティシアは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?  そしてレティシアは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか? レティシアは一体誰の手(恋)をとるのか。 これはレティシアの半生を描いたドタバタアクション有りの爆笑コメディ……ではなく、れっきとした恋愛物語である。

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ
ファンタジー
 目が覚めると昔やり込んだ乙女ゲーム「白銀の騎士物語」の悪役令嬢フランソワになっていた!  本来ならメインヒロインの引き立て役になるはずの私…だけどせっかくこんな乙女ゲームのキャラになれたのなら思うがままにしないと勿体ないわ!  推しを含めたイケメン近衛騎士で私を囲ってもらって第二の人生楽しみます

処理中です...