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第四話
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つまるところ、僕の朝のルーティンは二つだ。
一つは先ほどやった墓参り、もう一つは家の前の掃除。
どれもそんなに楽しく見えないかもしれないが、僕にとっては十分な幸せの一部だった。
「おうリグレット!今日も真面目に掃除か!?」
話しかけてきたのはにっこりと笑う中年太りの男、名をシルドという。
彼はブレイバさんの古い友人らしく、毎日ここら辺を散歩しているらしい。
しかしブレイバさんはあまりこのシルドさんとの思い出を語りたがらない、なぜなら。
「ブレイバは元気か⁉死んだか⁉」
とまぁ、結構ぎょっとすることを言うため教育に悪く、あまり話したくないとブレイバさんは言う。
「死んでませんから、シルドさんこそ、煙草はもう止めましたか?」
「はぁ?無理無理!俺とこいつは一心同体よ!」
懐から一本煙草を取り出す、すると持っていたライターの火を近づけ、心地よさそうに息を吐いた。
「・・・・・・バレたら奥さんに叱られますよ?」
「だからここにいるんだよ、内緒な?」
そう言うとシルドさんは決まって僕にお金を渡してくる、銅貨一枚、平たく考えれば一円玉を。
僕はそれをこっそり受け取り、ポケットに突っ込む。
「へっへっへ、じゃあな!」
分厚くザラザラな手でハイタッチをしたら、シルドさんは煙草を咥えながら家路に付いた。
ああ見えて根は真面目なのでポイ捨てをすることは無い、むしろたばこの吸い殻があったら拾って捨てるような人なのだ。
僕は軽く手を振って見送った後、再び掃除を始めた。
僕は、掃除が好きだ。
綺麗でいれば、燃えるものが無いからだ。
一つは先ほどやった墓参り、もう一つは家の前の掃除。
どれもそんなに楽しく見えないかもしれないが、僕にとっては十分な幸せの一部だった。
「おうリグレット!今日も真面目に掃除か!?」
話しかけてきたのはにっこりと笑う中年太りの男、名をシルドという。
彼はブレイバさんの古い友人らしく、毎日ここら辺を散歩しているらしい。
しかしブレイバさんはあまりこのシルドさんとの思い出を語りたがらない、なぜなら。
「ブレイバは元気か⁉死んだか⁉」
とまぁ、結構ぎょっとすることを言うため教育に悪く、あまり話したくないとブレイバさんは言う。
「死んでませんから、シルドさんこそ、煙草はもう止めましたか?」
「はぁ?無理無理!俺とこいつは一心同体よ!」
懐から一本煙草を取り出す、すると持っていたライターの火を近づけ、心地よさそうに息を吐いた。
「・・・・・・バレたら奥さんに叱られますよ?」
「だからここにいるんだよ、内緒な?」
そう言うとシルドさんは決まって僕にお金を渡してくる、銅貨一枚、平たく考えれば一円玉を。
僕はそれをこっそり受け取り、ポケットに突っ込む。
「へっへっへ、じゃあな!」
分厚くザラザラな手でハイタッチをしたら、シルドさんは煙草を咥えながら家路に付いた。
ああ見えて根は真面目なのでポイ捨てをすることは無い、むしろたばこの吸い殻があったら拾って捨てるような人なのだ。
僕は軽く手を振って見送った後、再び掃除を始めた。
僕は、掃除が好きだ。
綺麗でいれば、燃えるものが無いからだ。
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