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番外編
髪の話
しおりを挟む「カナメ様、だいぶん御髪が伸びてきましたね」
とある夜の湯上りのこと。髪に香油を付けてくれていたジュードが呟いた。
「あー、確かにそうだね。こっちに来てから一年以上経つけど、その間一回も切ってないもんね」
襟足が隠れるほどだった髪も、今では肩につくくらいまで伸びている。元々長めだった前髪はいよいよ邪魔になってきて、近頃は編み込んでもらって横に流していた。
「どうなさいますか?」
「切るか、伸ばすかってこと? うーん……ちょっと考えてみる」
そう言って枢はアシュレイとの寝室へ入っていく。
♢♦︎♢
「ーーてことなんだけど。どうしようかなって」
「確かに伸びてきたな。綺麗な黒髪だ……」
ピロートークで先程ジュードとした話をすれば、優しく髪を撫でながらアシュレイは言った。
「……僕、伸ばそうかなぁ」
「それはどうして?」
「アシュレイとおそろいになるから。……さすがに前髪は邪魔だから切るけど」
「おそろいか……」
手は止めずに嬉しそうに微笑むと、伸びた後ろ髪にそっとキスをする。
「この髪が伸びたら、もっとお前が美しくなってしまうな」
「……もう、なに言ってるの。そんなこと言うのアシュレイだけだよ?」
「もちろん、そうでなくては困る。お前にこんなことを言うのも、この髪に触れるのも。私以外にあれば、その相手に何をするかわからないぞ?」
「アシュレイ……」
妖しいその笑みに、トクンとひとつ胸が跳ねる。じっと紫の煌めきを見つめれば、優しく撓んで距離が近くなる。それからそっと唇に熱が降ってきた。
アシュレイの銀髪の檻に囚われながら、枢はまた甘く淫らな夜に溺れていく。
♢♦︎♢
それから枢は前髪を切ったが、後ろ髪は順調に伸ばしている。今はまだ結んでも跳ねてしまうくらいだが、いつか彼と同じ長さになって、彼に贈った髪飾りと同じものをつける日を夢見て。枢は日々の手入れを頑張るのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ということで髪の話です。
伸びた枢の黒髪と、アシュレイの銀髪が
ベッドで絡み合うのが見たい!!
それか逆にアシュレイが短髪になるのも見たい!!
髪には夢が詰まってますよね……。
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