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オリジナル
⑨口下手×大柄(美形×平凡)
しおりを挟む小さい頃、小柄で可愛らしい顔をしていた受け(夕弦)。
幼なじみの美少年(翔)と想いあっていて、
「大きくなったらおよめさんにしてやる!」
という言葉を胸にすくすくと成長。
可愛らしく成長するかと思いきや、遺伝なのか背はどんどんと伸び、中学でやってたバレーのせいか体質か、ムチムチの体つきに。
小さい頃は女の子と間違われていた顔もすっかり平凡になり、昔の面影は性格以外どこにもなくなってしまった。
唯一変わらなかった性格は、可愛いものや綺麗なもの、何より翔が大好き!と言ったものだが、外見と合わなさ過ぎて人には話せない。
一方一緒に育った翔はというと、幼い頃から変わらない顔の良さのまま成長し、モテにモテている。
2人の距離感とかは昔と変わらないものの、翔の隣を歩く時は出来るだけ猫背になり、彼より高くなった背を小さく見せようと努力したり、ちょっとでも筋肉が減るように食事量減らしてみたりと、可愛くあろうとする夕弦。
そんなに頑張るのには理由があって、もちろん自分の見た目に自信が無いのもあるけど、小さい頃はよく「可愛い」って言ってくれてた翔が、最近では全くと言っていいほど言ってくれないからだ。
自分が可愛いと呼ばれるような見た目じゃないのは分かってるし、幼い頃の約束なんてきっと忘れてるとは思うけど、それでも自分の生きる支えになっている
「大きくなったらおよめさんにしてやる」
というセリフ。中身は変わってないのだから見た目さえ可愛くなれば、また可愛いと、ちゃんとお嫁さんにしてくれるかも……と願わずにはいられない夕弦。
そんな努力を続けていたある日。
花嫁修業()をしているため、料理などお手の物の夕弦は、調理実習でその腕前を発揮。みんなに褒められる。
それが嬉しくて休みの日に作ったお菓子とか持ってくるようになったら、女子から話しかけられたり、周りから「女子力高い」と認識されるように。
お嫁さんに近づけてるかも!と思う夕弦と反対に、なんだか機嫌が悪い翔。どうしたんだろ?って思ってたとある日の放課後。
委員会が長引いて、慌てて荷物を取りに教室に戻ってくると中から話し声が。
聞こえてきたのは翔と何人かの男子生徒の声。
「森ってほんと女子力高いよな~。貰ったクッキーめっちゃ美味かった」
「それな~。俺こないだボタン取れかけてたの縫ってもらったわ」
「マジ?すげーな」
「アイツが女子だったら付き合ってたわ」
「見た目はアレだけど、中身だけならそこらの女子より可愛い性格してんじゃね?」
などと盛り上がる男子。そんな中口を開いた翔。
「それマジで言ってる?アイツのどこが可愛いわけ?」
冷たい口調で言い放った言葉にショックを受ける。その後もなにか喋ってたようだけど何も聞こえず、そのまま荷物も置いたまま帰宅する夕弦。
次の朝、荷物を持って家まで迎えに来た翔。
「昨日いつの間に帰ったんだよ」
「あ、うん……。ゴメン」
ちょっと具合悪くて、という夕弦に
「大丈夫か?」
と心配してくれる翔だけど、昨日のことが頭の中でグルグルしてて、顔が見れない。隣に並ぶのも怖くて数歩下がって歩く。
不審そうな顔をする翔が何か言ってくる前に自分の席について突っ伏す夕弦。それからのらりくらりと翔を躱していたが、体育の授業中ぶっ倒れてしまう。理由は食事量減らしてたのと寝不足。
数時間後保健室で目を覚ましたら、目の前には怒った顔の翔が。
「翔……」
「お前どういうつもり?」
冷たい口調でそう言われ、昨日のことが頭を過ぎる。
「どういう……って、なにが?」
「おばさんに連絡したら近頃食事減らしてるって言うじゃん。それに今日の態度。なんで避けてるの?」
「それは……」
黙ってしまった夕弦に大きくため息をつく翔。
「はー。なんでそんな可愛くない態度とるわけ?」
と零した言葉に、何かがプッツンした夕弦。
「どうせ僕は可愛くないよ!!」
ってギャン泣き。布団ひっかぶって今まで溜めてたことぶちまけ始める。
「昔の面影もなくて!背も翔よりデカくなって!顔も可愛くなくなって!おまけに態度だって!! 自分が可愛くないのなんて僕が1番分かってるよ!!可愛くない僕なんてほっとけばいいでしょ!!」
って喚いたら、布団の上から抱きしめられる。
「誰がお前が可愛くないって言ったよ」
って怒ったような声音で言う翔。
昨日のことを問い詰めれば、あの言葉には続きがあって
「アイツのどこが可愛いわけ?言ってみろよ。ほんのちょっとしかアイツのこと知らないのに、よく可愛いなんて言えるな?俺ならアイツの可愛いとこ100個は言えるぞ」
的なことを言ってた。
翔は約束もちゃんと覚えてて、むしろもう嫁だと思ってる。だから調理実習後から女子力発揮し始めた夕弦にも、他のやつに可愛いとこみせんな!ってモヤモヤして機嫌悪かったりした。
「なん、それ……。ならなんで可愛いって言ってくんなくなったの?」
って呆然として聞けば
「? お前が可愛いのは当たり前のことだから、わざわざ口に出す必要もないかと……」
とか訳分からん答え返ってくる。
結局見た目がいくら変わろうとずっと可愛いと思ってた翔と、ちゃんと幸せになる。
イケメン幼なじみ×大柄平凡のお話。
CP名:高良井翔×森夕弦
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