透明の国

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透明の国

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ここは透明の国です
すべてが透明で出来ています
すべてが透明なことに誰も何とも思いません
あるのは地面の色と太陽の色と青い空の色だけです
ここに住んでいるあるひとりの少年が疑問に思いました
名前をナナシといいます。
「ここは透明すぎて何もない何も面白くないじゃないか」
少年はあたりを見回します
どこに行っても透明ばかり
透明の靴
透明のソファ
透明の家
透明のごはん
何にも面白くありません
住んでいる人に話を聞いても
「透明でいいじゃない、透明は悪いことじゃないと思うよ」
みんな透明なことが面白いと思っているどころかとっても誇らしげです。
自分は何が悪くないのか何がいいのか全然わかりません。
しかし、ナナシにも楽しいことはありました。
外の国からくるものです。
本当にカラフルな人ばかりで見るたびに自分に色が無いことが嫌になるのと、外の世界にあこがれを抱くようになります。
ナナシは家に帰り、お父さんとお母さんに聞きました
「どうしてみんな透明なの?そしてどうしてみんな誇らしげなの?」
お母さんは答えます
「透明には透明にしかないいいところがあるの、それをみんなは誇らしいのよ。」
お父さんは言いました
「ナナシ、一度旅に出て色んな国を見てくるといい。そうすれば透明もまた違ったものに見えてくるはずさ。」
お父さんに旅に行って来いなんて急に言われてびっくりしましたが
このままこの透明の心にもやもやを残したまま生きていけない、と思いナナシは答えます
「ありがとうお父さん僕、旅に出て色んな国を見てくるよ!そうしたらこの気持ちがわかるかもしれない」
お母さんは少し寂しそうにしながらお父さんと一緒にうなずきます。
「じゃあ旅に行くならこれをもっておいき。これさえ持っていたらまたここに帰ってこれるから」
お父さんとお母さんから透明な何かをもらいました
透明なので何かはよくわからなかったけど、持っていると、どこからか勇気と元気が湧いてきます。
お父さんとお母さんから元気と勇気をもらいナナシは旅に出ます。
これから始まる旅にワクワクとドキドキとモヤモヤを透明の心に抱えて出発するのでした。
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