あの日の空を見上げながら、いつかの春を待ち続ける。

UP済

無題

書きたい。そう思ったのはいつぶりだろうか。
なんとなくで書いていた言葉の数々。
数多の物語を繋ぎに繋いで結んできた。

そんな日々が今はとても懐かしく思えた。
あの頃とはじぶん自身も、周りの環境も変わって。
したいこと、しなくてはならないことが増え、
よく見上げていた空への目線は、いつしか鉄の板とにらめっこをしている。
未練だとか、夢だとか、そんな淡く脆い感性の中に、酷く鋭い現実が嫌という程見えてくる。そしてそれは不本意にも、歳を重ねる毎に鋭利さを増す。

綺麗すぎた過去と暗すぎる未来に挟まれて、どう動いたらいいのかわからない今の状況は、よく満員電車に似ている。
揉まれに揉まれ、身動きもろくに取れないのに、勝手に電車は進んでいく。進んでいくことは喜ばしいはずなのに、不安と恐怖に迫られる事実。
私はきっと、そんな状況でいなければ、書くことを許されないのだろう。
苦しみを味わい、悲しみを感じた今この瞬間、私から言葉が生まれ、物語が生まれるとしたら。

私が言葉を紡ぐ意味など、微塵もない。
何かに追われ、何かから逃げ、何かに追い詰められた時、初めてじぶんという存在を発揮できる。逆に言えば、そうならなければ私でないとすれば。

私の命は簡単に消えてしまうだろう。