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UP済

言葉の仕事

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金にならない仕事をして早数年。

一向に売れない小説家として俺は人生を無駄にしていた。

一生懸命やっているのに、しなくていいことしてるのに、認めてもらうことを知らない。仕事を認めてもらえない。
もう聞き飽きたことだった。

それでも俺は描き続ける。
綺麗事と戯言を並べて。
いつまで経っても分からない。
命の意味と人生の価値が。
そんな俺が描くのは、
偽の俺が生きる世界の嘘吐き者の本当の実話。

いつかの夢を見るまで、いつかの夢が覚めるまで、嘘を吐き続けてやる。
あの日あの夜見た空は、碧々と輝く星空で、まるで日なたに当たる様、心はとても温かい。
そんな言葉を紡ぐため、今日も無駄な息を吸いそしてそのまま吐き生きる。

これは俺の人生(物語)だ。
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