暗い夜を見つめながら今日も生きる意味を探している。

夜碧ひな

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友達

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「ねぇ、お願い、友達でしょ...!?」
そういう彼女を突き飛ばして私は答えた。
「友達じゃない。」
私は彼女を置いて1人学校を出た。

友達ってなんなんだろう。
そう考えても出るものは腐ったものばかり。
誘惑、欲望、嫉妬。
あの子は、欲望かな。
自分じゃどうにもならなくなって友達を頼る。
でもあの子にとって私は都合のいい相手。
価値も意味もない。

「よっ!!」
ウザイ。面倒臭い。
こいつは私の幼なじみ。
一番長くて、一番遠い存在。
彼は友達が多い。
私のように人を突っぱねたりしない。
「悩みありそうな顔。なんかあった??」
気持ちが悪くなるほど人の心を読む。
思い切って身体中にある気持ちをぶつけてやった。
「友達って、そんなに大切?」
身体中にあったはずの思いが、言葉にするとこんなに簡単なものなのかと自分で驚いた。
「そりゃ、大切なんじゃね?」
呆れたような吐息が混ざった声で彼は言った。
「そんなに、必要かな。」
「必要では、ないかもな。」
驚いた。1番友達を大切にしているこいつがそんなことを口にするとは思ってもみなかった。
「すっげぇ驚くじゃん。そんな意外だった?」
「あんたがそんなこと言うとは思わなかった。」
「だって、いなくたって生きていけるし。」
今度も呆れた声で、でも少し笑顔でそう言った。
「友達の、メリットデメリットは?」
「メリットは、楽しい。
色んなことを体験できて、成長出来る。」
「デメリットは?」
「関係が崩れた時、面倒臭い。
相手と本当に気が合わなけれりゃ、続かない。」
不思議だった。いつもヘラヘラして、呑気に生きてる気がしてたこいつが、こんな風に真面目に喋ってる。
「人間関係なんて、そんなもんだろ。
メリットもデメリットも両方ある。
ぶっちゃけ、俺ら学生の【友達】なんて、社会に向けての人間関係の育成の練習にしか過ぎないと思うけどね。」
「言い過ぎだよ。」
「じゃ、お前は【友達】っていう存在を、どう考えてんだよ。メリットは?デメリットは?」
「そんなのわかんない、、」
分からないから聞いたのに、どうしたらいいかわからなくて聞いたのに、これじゃ本末転倒だ。
「わかんなくて当然だ。俺だって実際のとこわかんねぇ。
だから、考えたってしょうがねぇことは考えない。
デメリットばっかより、メリット増やしてった方がいいだろ?
お前がどう生きるかなんて勝手だけどさ、人間関係に関してはできるだけ後悔しないようにしてこうぜ。」
彼は強い。周りも、自分も、ちゃんと見えてる。私は、、
「人と比べる前に、自分磨かねぇとなぁ。
じゃ、お先。」
また、心を読まれた、そんな気がしてならなかった。
夕焼けの空に吸い込まれるように進む君の背中を見て、考えるより先に行動していた。
「ねぇ...!あんたと私って、友達かな!?」
彼は私の方を振り向いて笑った。夕日のせいで彼の顔は影に隠れていたが、確かに笑顔を浮かべていた。
「当たり前じゃん!」
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