暗い夜を見つめながら今日も生きる意味を探している。

夜碧ひな

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めんどくさ。

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朝起きて、
「めんどくさ。」

着替えて、
「めんどくさ。」

洗面をして、
「めんどくさ。」

メイクをして、
「めんどくさ。」

朝食を食べて、
「めんどくさ。」

外に出るのに、
「めんどくさ。」

ゴミ捨ての日だったことに気づいて家に戻る。
「めんどくさ。」

会社でパソコンを開く。
「めんどくさ。」

上司と話をする。
「めんどくさ。」

同僚と話をする。
「めんどくさ。」

仕事をする。
「めんどくさ。」

ランチを食べる。
「めんどくさ。」

そのために屋上に行く。
「めんどくさ。」

外を眺める。
「めんどくさ。」

後輩くんが近づいてくる。
「めんどくさ。」

後輩くんが話かかけてくる。
「めんどくさ・・・」
「今、めんどくさいと思いませんでした?」

思いもよらぬ発言に私は耳を疑った。
もしかして、心を読めるのか?

「そんなこと思ってないよ。」
「先輩、最近何事にもめんどくさいって思ってません?」

やっぱり、超能力者に違いない。
こいつは心を読むことが出来る。

「僕と話すのも、めんどくさいですか?」

めんどくさ。と思ったことに関して質問されたことは初めてだった。

「ううん、別に。」
「本当に?」

嘘だ。めんどくさい。
人と話すのが、関わるのが。

「確かに、面倒っすよね~、生きるのって。」
「え?」

私は耳を疑った。
まさかこんなに明るい後輩くんからそんな言葉が出るなんて。

「でも、めんどくさいって感情って怖いんすよ。
なんでか分かります?」
「ううん、何で?」
「誰かと話すのがめんどくさい。
誰かと関わるのがめんどくさい。
すると、外に出るのがめんどくさくなる。
食べるのがめんどくさくなって、生活がめんどくさくなって、生きるのがめんどくさくなって、目を開けることも息することすらめんどくさくなる。
そうなったら、死んじゃうんっすよ?怖くなっすか?」

なんてこの子は純粋なんだと、そう思う私の心は真っ黒なのだろうか。

「先輩が死んじゃったら、泣いても泣ききれませんよ。
先輩のこと好きなんすよね。」

どっち!?
そう思って、自分の心にまだ潤いが残ってることを知る。

「だから、嫌なこととかあったらちゃんと発散してくださいね。僕でも、別の人でもいいんで。
頼れる人は頼っていきましょ。」

大切に思ってくれていることは聞かなくても分かった。

「私さ、生きることめんどくさいと思ってたんだけど、、」
「だけど?」
「君といる時間は、めんどくさくないかも。」
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