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必要とされない人間
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私は、かれこれ数年、必要とされない人間として生きています。
いてもいなくても変わらない存在。
生きていても、死んでいても、変わらない存在。
ある日、私は天気のいい日に散歩に出かけました。
小鳥は鳴き、花は咲き、人は忙しく行き交い、風は穏やかに吹く。そんな絶好の散歩日和でした。
しばらく歩くと、信号がありました。
私は足を止め、ライトの色が変わるのを待ちました。
ただ、もう私はライトの色が変わるところを見ることはできませんでした。
信号を待っていると、大型のトラックがこちらに向かってくるのです。
慌てた私は逃げようとしましたがどうも体が動きません。
そのまま引かれて死んでしまったのです。
必要とされない人間として何年も生きていると、寂しさ等は消えていきます。
目に付けられず、相手にされず、残るのは無。
だから死んだってなんだって変わらないのです。
ですが不思議なことにこの事故はニュースとなり私を悔やまれる方々が大勢いらっしゃったのです。
面識も、会ったことさえない人が、私の死を悔やみ、死んだ信号の電柱に花束をわざわざ添えてくれるのです。
誰に必要とされない人間が、ここまで大切にされたのは生まれて初めてでした。
初めて、報われたような気がしました。
たとえ、自分が必要とされなくても、大切にしてくれる人が必ずいる。
今はいなくても、この世のどこかに、あなたを大切にしてくれる人が必ずいる。
だから、もう少しだけ、生きてみませんか。
苦しいけど、辛いけど、必死にしがみついて、生きていきませんか?
そんなことを感じたいと思った、今日だった。
いてもいなくても変わらない存在。
生きていても、死んでいても、変わらない存在。
ある日、私は天気のいい日に散歩に出かけました。
小鳥は鳴き、花は咲き、人は忙しく行き交い、風は穏やかに吹く。そんな絶好の散歩日和でした。
しばらく歩くと、信号がありました。
私は足を止め、ライトの色が変わるのを待ちました。
ただ、もう私はライトの色が変わるところを見ることはできませんでした。
信号を待っていると、大型のトラックがこちらに向かってくるのです。
慌てた私は逃げようとしましたがどうも体が動きません。
そのまま引かれて死んでしまったのです。
必要とされない人間として何年も生きていると、寂しさ等は消えていきます。
目に付けられず、相手にされず、残るのは無。
だから死んだってなんだって変わらないのです。
ですが不思議なことにこの事故はニュースとなり私を悔やまれる方々が大勢いらっしゃったのです。
面識も、会ったことさえない人が、私の死を悔やみ、死んだ信号の電柱に花束をわざわざ添えてくれるのです。
誰に必要とされない人間が、ここまで大切にされたのは生まれて初めてでした。
初めて、報われたような気がしました。
たとえ、自分が必要とされなくても、大切にしてくれる人が必ずいる。
今はいなくても、この世のどこかに、あなたを大切にしてくれる人が必ずいる。
だから、もう少しだけ、生きてみませんか。
苦しいけど、辛いけど、必死にしがみついて、生きていきませんか?
そんなことを感じたいと思った、今日だった。
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