「君が好きな小説と僕が好きな君の話」

夜碧ひな

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シナリオ

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その日以来、明李音に合わせる顔がなかった。
彼女は記憶をなくした。それでも強く生きてる。
今を見て、明日を見て、そうやって毎日を繋いでる。
なのに。僕は、。

先日明李音の母親から聞いた話だが、見舞いはたくさんの友達が来ているらしい。
当たり前と言えば当たり前だが、少し心の中で何かが擦れたような気がした。

「最近、明李音ちゃんどうなの?」
「最近全然行けてない。」
「何?また私情持ち込んで理由つけて逃げてんの?」
「そんな言い方しなくても。」
「いい?人生は、時に逃げちゃいけない時があるの。
何度も何度も同じことが繰り返されると忘れてしまうんだけどね。
暖の場合、今その時。明李音ちゃんから逃げちゃダメ。大切な人くらい、守れる人になりなさい。」

よく、辛かったら逃げなさいという言葉を目にし、耳にする時代だが、逃げちゃいけないこともまたある。
もうとっくの昔に知っていたような、今の今まで知らなかったような、不思議な気持ちになった。

その夜、柄でもないくに夜更かしをし、明李音の物語を書いた。泣きそうになるのが収まらぬまま、僕はただ黙々とペンを動かしていた。
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