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シナリオ
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「ねぇ、君って明李音と仲良いの?」
4限終わりの昼下がり、僕ら高校生には昼休みがある。何一つ不思議なことじゃない。
そして僕は一人図書室で弁当を食べる。
別に不思議な事じゃない。
だが、目の前に見覚えのない女子が立っている。
それだけは不思議で不思議で仕方のない事だった。
「えっと、どちら様?」
「明李音の友達の白石。」
「友達。」
「君さ、ここでよく明李音と会ってたよね。何してたの?」
「あんたに言う筋合いはないが。」
「明李音は事故にあって記憶をなくしたの。知ってる?」
いちいち角の立つ言い方が耳障りだった。
一体何が言いたいんだこの女。検討がつかなかった。
「何の用だ。結論から言え。」
「あんたのせいでしょ。」
「は?」
「明李音はあんたと会うようになってからどんどんクラスから離れていった。何故かうちらのことも避けるようになった。
そんな時に、明李音は事故にあった。
あんたが明李音をおかしくした!そうでしょ。?」
違う!
その反論の言葉は喉につっかえて出てこなかった。
彼女が言ったことも一理あった。僕が明李音の人生を。。
明李音が僕を認めてくれた。その事実だけがあったまま、僕は自分のしたことを忘れていたようだった。
その後、白石と名乗った女は沈黙の図書室から出ていった。
反論しなかった僕への解釈はきっと「YES」。明李音は僕が殺めた。そういったものと同意であることを悟った。
冬も中盤に差し掛かり、寒さは一段と増していく一方だった。
だがなぜか、この図書室からは暑いような気がした。そんな僕の手は、微かに震えていた。
4限終わりの昼下がり、僕ら高校生には昼休みがある。何一つ不思議なことじゃない。
そして僕は一人図書室で弁当を食べる。
別に不思議な事じゃない。
だが、目の前に見覚えのない女子が立っている。
それだけは不思議で不思議で仕方のない事だった。
「えっと、どちら様?」
「明李音の友達の白石。」
「友達。」
「君さ、ここでよく明李音と会ってたよね。何してたの?」
「あんたに言う筋合いはないが。」
「明李音は事故にあって記憶をなくしたの。知ってる?」
いちいち角の立つ言い方が耳障りだった。
一体何が言いたいんだこの女。検討がつかなかった。
「何の用だ。結論から言え。」
「あんたのせいでしょ。」
「は?」
「明李音はあんたと会うようになってからどんどんクラスから離れていった。何故かうちらのことも避けるようになった。
そんな時に、明李音は事故にあった。
あんたが明李音をおかしくした!そうでしょ。?」
違う!
その反論の言葉は喉につっかえて出てこなかった。
彼女が言ったことも一理あった。僕が明李音の人生を。。
明李音が僕を認めてくれた。その事実だけがあったまま、僕は自分のしたことを忘れていたようだった。
その後、白石と名乗った女は沈黙の図書室から出ていった。
反論しなかった僕への解釈はきっと「YES」。明李音は僕が殺めた。そういったものと同意であることを悟った。
冬も中盤に差し掛かり、寒さは一段と増していく一方だった。
だがなぜか、この図書室からは暑いような気がした。そんな僕の手は、微かに震えていた。
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