「君が好きな小説と僕が好きな君の話」

夜碧ひな

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記憶をなくした高校二年生の渡邊 明李音。
彼女の病室に毎日のように通う理由は、幼なじみだからという訳ではない。
僕は、彼女の物語を紡いでいるんだ。昔を書き、今を繋ぐ。そんなような事。

「ねぇ、暖。」
「ん?どした??」

彼女は見覚えのある言いにくそうな顔をして、こちらを向いた。
言いにくそうとも取れるが、少し照れているようにも見える。

「このお話って、私の物語なんだよね?」
「そうだけど...??」
「放課後の図書館に、というか明李菜ちゃんにすごく似てるんだけど。。」

君の物語を書く。なんて自分から言い出したくせに、少し書くのが嫌だった。
様々な小説を書いてきた僕だが、今回の【放課後の図書館】は正真正銘主人公ヒロインは明李音だった。
だから名前も明李菜と一文字違い。バスケ部で高校二年という設定も一緒だ。
だから、自らそのネタばらしをするようなことはしたくなかったが、こんな機会でもなければ一生言わずに終わる気がし、白昼堂々と恥をさらした。

「実は、明李菜のモチーフは、、
明李音なんだよね。」
「そうだったんだ。どうりで似てると思ったw」

彼女はまるで他人事のように言った。

明李菜=明李音で、僕は明李菜が好き。つまり明李音が好き。
というところまで推測されると思っていたがその予想は外れた。個人的には気づかれて、好きだよ。とか言ってみるつもりだったのだが。

「私、もしかしたら。」

彼女はそう言うと少し顔を赤らめ、一拍置いてから言葉を繋げた。

「君のこと、暖のこと、大好きだったかもしれない。」
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