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天のエネルギー
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『なに……なんかあったんか?』
5歳年上となると、お兄ちゃんみたいに感じるあまっち。
「うん、あのねおにぃ」
だから、いつも相談しちゃう。
『おん』
「ボクとけんいぬの関係ってなんなんだろうなぁって、このまま続けていいのかなぁって……不安になっちゃったんだ」
仕事上は最高。
でも、プライベートまでとなるとなんか申し訳ない。
名前がない関係なんて危う過ぎる。
失うのが怖い。
だからといって負担にはなりたくないから。
「おれは良い関係だと思うけど……う~ん」
あまっちでさえ、黙ってしまった。
いつも重い相談ばかりだから、ごめんなぁと思うボク。
『じゃあ、エンジェルに聞いてみるか?』
しばらく考えてから出たあまっちの提案にボクはハッとした。
もう1人の仲間、蟹江福の専門分野のことを。
「エンジェルオラクルカード……そっか!」
『天のエネルギーを借りるのも悪くないとも思うで』
「でも、おにぃはいいの?」
カニはあまっちの恋人……αだからってわけじゃなくて、邪魔しちゃいけない気がしたんだ。
『なに言うてんねん……あいつも心配してるんやで?』
優しい口調にボクは自然と受け入れられた。
「それならお願いします」
『わかった……すぐ出来るように頼むわ』
じゃあなと言うあまっちにありがとうと返して電話を切った。
「天のエネルギーか……」
ボクは色んなものに頼って生きているなって痛感する。
むしろ、生かされているなぁって。
発情するのでさえ、発情促進剤の香水とけんいぬの身体がなければ出来ないんだから。
ふぅとため息を吐いてからスマホをポケットにしまう。
「ボクは出来損ないだ……」
本音を空虚に落とした。
すると、後ろから抱きしめられ、首の後ろから耳元まで滑るように舐められる。
「電話の相手、だれ?」
眠たそうだけど鋭い声でさっきまで寝ていたけんいぬだとわかった。
「あまっち」
「なんの用?」
「大した話じゃないから、大丈夫」
なぜか離してくれないけんいぬ。
「わざわざ別のΩの香りを纏わせてやることが大したことないの?」
顔を無理やり左に向けられて、唇を奪われた。
噛み潰すかのようにクリームを舐めとった後、やっと離してくれた。
「青くんΩだから浮気の心配はしてないけど、仕事の話なら俺も通してよ」
けんいぬは白くて長い指を持つ手で何度も拭う。
「Ωもαもβも関係ないだろ? 恋愛じゃあるまいし」
こういう言い方をたまにするのは嫌いだ。
「いや、あるよ」
妖しく笑ったけんいぬはボクの顎を掬う。
ヤバい、あの専用のアロマの香りがつたってきた。
たぶん念入りに全身へ纏わせてきたんだ。
全てはけんいぬの手の内。
悔しい。
「俺がαだから、さるるに施術できるんだよ」
その後、けんいぬが強く抱きしめる。
一瞬で甘美な香りに包まれ、染まる。
ボクは胸を締め付けられた。
好きじゃないけど、嫌いでもないから。
離してあげたいのに、離してあげられないんだよ。
5歳年上となると、お兄ちゃんみたいに感じるあまっち。
「うん、あのねおにぃ」
だから、いつも相談しちゃう。
『おん』
「ボクとけんいぬの関係ってなんなんだろうなぁって、このまま続けていいのかなぁって……不安になっちゃったんだ」
仕事上は最高。
でも、プライベートまでとなるとなんか申し訳ない。
名前がない関係なんて危う過ぎる。
失うのが怖い。
だからといって負担にはなりたくないから。
「おれは良い関係だと思うけど……う~ん」
あまっちでさえ、黙ってしまった。
いつも重い相談ばかりだから、ごめんなぁと思うボク。
『じゃあ、エンジェルに聞いてみるか?』
しばらく考えてから出たあまっちの提案にボクはハッとした。
もう1人の仲間、蟹江福の専門分野のことを。
「エンジェルオラクルカード……そっか!」
『天のエネルギーを借りるのも悪くないとも思うで』
「でも、おにぃはいいの?」
カニはあまっちの恋人……αだからってわけじゃなくて、邪魔しちゃいけない気がしたんだ。
『なに言うてんねん……あいつも心配してるんやで?』
優しい口調にボクは自然と受け入れられた。
「それならお願いします」
『わかった……すぐ出来るように頼むわ』
じゃあなと言うあまっちにありがとうと返して電話を切った。
「天のエネルギーか……」
ボクは色んなものに頼って生きているなって痛感する。
むしろ、生かされているなぁって。
発情するのでさえ、発情促進剤の香水とけんいぬの身体がなければ出来ないんだから。
ふぅとため息を吐いてからスマホをポケットにしまう。
「ボクは出来損ないだ……」
本音を空虚に落とした。
すると、後ろから抱きしめられ、首の後ろから耳元まで滑るように舐められる。
「電話の相手、だれ?」
眠たそうだけど鋭い声でさっきまで寝ていたけんいぬだとわかった。
「あまっち」
「なんの用?」
「大した話じゃないから、大丈夫」
なぜか離してくれないけんいぬ。
「わざわざ別のΩの香りを纏わせてやることが大したことないの?」
顔を無理やり左に向けられて、唇を奪われた。
噛み潰すかのようにクリームを舐めとった後、やっと離してくれた。
「青くんΩだから浮気の心配はしてないけど、仕事の話なら俺も通してよ」
けんいぬは白くて長い指を持つ手で何度も拭う。
「Ωもαもβも関係ないだろ? 恋愛じゃあるまいし」
こういう言い方をたまにするのは嫌いだ。
「いや、あるよ」
妖しく笑ったけんいぬはボクの顎を掬う。
ヤバい、あの専用のアロマの香りがつたってきた。
たぶん念入りに全身へ纏わせてきたんだ。
全てはけんいぬの手の内。
悔しい。
「俺がαだから、さるるに施術できるんだよ」
その後、けんいぬが強く抱きしめる。
一瞬で甘美な香りに包まれ、染まる。
ボクは胸を締め付けられた。
好きじゃないけど、嫌いでもないから。
離してあげたいのに、離してあげられないんだよ。
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