枯れたユリは天使の羽だ

ゆるふわ詩音

文字の大きさ
上 下
5 / 6

あと5分

しおりを挟む
パーカーを玄関に置きっぱなしにして中に入る。

不透明のビニール袋を持ってきて、青色のパーカーや黒いズボン、とにかく血が付いてそうな衣服を全部剥ぎ取って詰め込む。
    
   
 脱がせてみて男性だということがわかった僕。

女性にも男性にも見えるような幼い顔をしていたからわからなかったが、胸が平らだったから。

次に白いシャツの下を見たら多数の痣と切り傷があって、見るに耐えなかったからシャツとパンツは着せたままにした。
  

  とりあえず居間に移し、真ん中の柱に寄りかからせて置く。

僕はその間に血がついたナイフをキッチンで洗って、キッチンペーパーで拭き、ジーンズのポケットに忍び込ませる。
   
「なかなかおきひんね……死なせてもうたかな」

心配になった僕は軽くペチペチと頬を叩くと、青色のパーカーの男性……彼は身じろぎをした。

「あと5分……」

なにを勘違いしたのか、男性にしては高い声で甘えるように言うから、ちょっと拍子抜けした。

「じゃあ、あと5分寝ててええからね」

優しく返して頭を撫でる自分自身の行動に、なにしてんねんと突っ込む。

でも、その言葉をきっかけに頭がおかしくなったのか、僕はお姫様抱っこをして彼をまた移動させた。
   
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣人

日越拳智
ミステリー
僕は気になっていた。隣人のことが。いつからか。 気にしなければ良かったと、後悔するにはもう遅いだろう。

強制憑依アプリを使ってみた。

本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。 校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈ これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。 不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。 その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。 話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。 頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。 まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。

失った記憶が戻り、失ってからの記憶を失った私の話

本見りん
ミステリー
交通事故に遭った沙良が目を覚ますと、そこには婚約者の拓人が居た。 一年前の交通事故で沙良は記憶を失い、今は彼と結婚しているという。 しかし今の沙良にはこの一年の記憶がない。 そして、彼女が記憶を失う交通事故の前に見たものは……。 『○曜○イド劇場』風、ミステリーとサスペンスです。 最後のやり取りはお約束の断崖絶壁の海に行きたかったのですが、海の公園辺りになっています。

このブラジャーは誰のもの?

本田 壱好
ミステリー
ある日、体育の授業で頭に怪我をし早退した本前 建音に不幸な事が起こる。 保健室にいて帰った通学鞄を、隣に住む幼馴染の日脚 色が持ってくる。その中から、見知らぬブラジャーとパンティが入っていて‥。 誰が、一体、なんの為に。 この物語は、モテナイ・冴えない・ごく平凡な男が、突然手に入った女性用下着の持ち主を探す、ミステリー作品である。

亡くなった妻からのラブレター

毛蟹葵葉
ミステリー
亡くなった妻からの手紙が届いた 私は、最後に遺された彼女からのメッセージを読むことにした

言霊の手記

かざみはら まなか
ミステリー
探偵は、中学一年生女子。 依頼人は、こっそりひっそりとSOSを出した女子中学生。 『ある公立中学校の校門前から中学一年生女子が消息をたった。 その中学校では、校門前に監視カメラをつける要望が生徒と保護者から相次いでいたが、周辺住民の反対で頓挫した。』 という旨が書いてある手記は。 私立中学校に通う中学一年生女子の大蔵奈美の手に渡った。 中学一年生の奈美は、同じく中学一年生の少女萃(すい)と透雲(とおも)と一緒に手記の謎を解き明かす。 人目を忍んで発信された、知らない中学校に通う女子中学生からのSOSだ。 奈美、萃、透雲は、助けを求めるSOSを出した女子中学生を助けると決めた。 奈美:私立中学校 萃:私立中学校 透雲:公立中学校 依頼人の女子中学生:公立中学校 中学一年生女子は、依頼人も探偵も、全員、別々の中学校に通っている。 それぞれ、家族関係で問題を抱えている。 手記にまつわる問題と中学一年生女子の家族の問題を軸に展開。

愛しているのは誰?

明太子
ミステリー
記憶喪失となった青葉新を助けてくれたのは美貌の同級生 須王司だった。 昔の冷酷な行動が嘘であるかのように、面倒を見てくれる司に恩義を感じつつも、新は疑念が振り払えないでいた。 そんな新に過去の記憶の断片が甦る。 だが、それは恐ろしい事件の一部で…?

それ、あるいはあれの物語

鬼霧宗作
ミステリー
 これは、それ――あるいはアレにまつわる物語。それをどう読み解こうが、どう解釈しようが、それはあなたの自由です。  並べ立てられた、短くとも意味深な物語。  それらの解釈は、人それぞれで良い。 ※現在、第二話まで掲載中。  こちらは不定期更新となります。

処理中です...