枯れたユリは天使の羽だ

ゆるふわ詩音

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あと5分

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パーカーを玄関に置きっぱなしにして中に入る。

不透明のビニール袋を持ってきて、青色のパーカーや黒いズボン、とにかく血が付いてそうな衣服を全部剥ぎ取って詰め込む。
    
   
 脱がせてみて男性だということがわかった僕。

女性にも男性にも見えるような幼い顔をしていたからわからなかったが、胸が平らだったから。

次に白いシャツの下を見たら多数の痣と切り傷があって、見るに耐えなかったからシャツとパンツは着せたままにした。
  

  とりあえず居間に移し、真ん中の柱に寄りかからせて置く。

僕はその間に血がついたナイフをキッチンで洗って、キッチンペーパーで拭き、ジーンズのポケットに忍び込ませる。
   
「なかなかおきひんね……死なせてもうたかな」

心配になった僕は軽くペチペチと頬を叩くと、青色のパーカーの男性……彼は身じろぎをした。

「あと5分……」

なにを勘違いしたのか、男性にしては高い声で甘えるように言うから、ちょっと拍子抜けした。

「じゃあ、あと5分寝ててええからね」

優しく返して頭を撫でる自分自身の行動に、なにしてんねんと突っ込む。

でも、その言葉をきっかけに頭がおかしくなったのか、僕はお姫様抱っこをして彼をまた移動させた。
   
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