枯れたユリは天使の羽だ

ゆるふわ詩音

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青色のパーカー

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  「あんちゃん、いつからみてた~?」

子どものような間延びした高い声が聞こえて、すぐさま前を見る。

青色のパーカーが振り向き、立ち上がろうとしていた。

「みられてもうたら、しゃーないな~。きみもころしちゃお♪」

青色のパーカーの下の黒髪と大きめの白い歯を持つ人は思ったより小柄だった。

そして、全体より細めの身体に大丈夫だと確信した。

勢いよく走って来る人に逃げることなく立つ僕。

ただ左手は軽く上げ、右手は強く握って。


   もし、この子が僕の両親を殺した犯人なら……話を聞いてみたいんだ。

僕は近づいてくる狂気に不思議と怖くなかった。

憎しみも湧き上がってこなかった。


  「しね! うっ……」

赤く血塗られた刃物を持つ右手の手首を左手で抑え、右手の拳で鳩尾を打つ僕に青色のパーカーは力なく倒れ込んだ。

カランと落ちたナイフを人を抱き抱えながら丁寧に折りたたみ、ポケットに入れる。

「ねんねんころりよ、おころりよ~よいしょと」

人の上半身が背中に乗るようにすると、傘を差し直してまた歩き始めた。
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