男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第506話 康太君、お久しぶり~。

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「皆さんこんにちは。今日から同じクラスになる高木康太です。僕はこれと言って特技はないけど仲良くしてくれると嬉しいです。どうかよろしくお願いします。」

先週行われた文化祭、大波乱がございました。
Aクラス男子生徒、総都落ち。原因は明白、創作劇「その後の幸福の王子様」の影響ですね。
ひろし君演じる幸福の王子様が国と妃達を奪われ荒野に捨てられるところから始まる大逆転劇。劇自体は大盛況だったんですけどね、光が強い分影もまた濃くなってしまってですね~。悪役の彼らに対するヘイトが凄いのなんの、金がなく宿に訪れた王子を叩き出した宿屋の主人ってだけで超ブーイング。お金ないんだもの、泊まれないのは当たり前じゃん。
宰相側に資金提供していた豪商も断罪されてたな~。
公演の様子を配信で見たけど、断罪シーン大喝采でございました。
あとからブリジットに聞いたけど、観客の殺意凄まじかったらしいからな~。(遠い目)
中でも木村君の演じる裏切りの騎士団長と康太君の演じる悪の宰相はもうね、親のかたきかってくらいの恨まれっぷりだったそうです。
結果、彼らの投票は熱演すればするほど悪い方向に。
ひろし君相手に敵役を演じると人気が下がるって証明ですな、これ、舞台やドラマの配役決まらないんじゃない?脚本家泣かせな俳優です事。

橋本先生、めっちゃ同情の視線。先生が日頃仰ってる上を目指して頑張ってくださいを実行したら陥落したんだから掛ける言葉もないのでしょう。
本人全く気にしてないどころかしてやったりって顔をしてるから、何か考えがあっての事だとは思うんだけどね。

大変なのは我がクラスの女子達です。ついこないだ最下層クラスって事で嘆いていたらクラスメートが寡黙イケメンの天海君。何て幸運なのって思っていたところにクラス替えの悲劇、再び落ち込んでいたところに雲上人の元Aクラス男子の降臨。もう感情ジェットコースター、急降下からの急上昇、再びの急降下からの特大上昇ですから、ぐるんぐるん回っちゃってますから。
さっきから誰も一言も話さないし。
天海君は予想通り見事上位クラスに躍進されました。
ただ予想外だったのが今回の上位クラスの大陥落劇、ごっそり上が消えた事で想定以上に順位が上がり、彼Cクラス入りしちゃいました。
今頃電源オフ状態の彼による、気の抜けた挨拶が行われている事でしょう。
因みに前のクラスメート小山慎太郎くんは、更なる躍進を遂げBクラス入りを果たしておりました。彼を追い掛け上位クラスを目指した女子生徒の皆さん、強く生きろ。
なんにせよ悲喜こもごもな文化祭でございました。

「毎度お馴染み万年Gクラス佐々木大地でございます。特技はクレープを焼くこと、生地の仕上がりにはかなりの高評価を頂いております。よろしくお願いします。」

でもこれで変に勉強のモチベーションが下がらないといいんですけど。だって高得点を取ったら極上イケメンとのお別れ、テストで手を抜くこと請け合いでは?その辺学園側はどう考えているんだろうか?
ま、俺がどうこうする問題でもないんですけどね。

ところで康太君、如月さんと別のクラスになっちゃったけど大丈夫なの?

「ん?志乃の事なら心配ないけど?中等部の頃も彼女とはクラスは別だったからね。彼女は三年間Aクラスだったけど僕はほぼCクラスだったから。
それでも昼休みにはいつの間にか隣にいたけどね。今日も昼休みには来ているんじゃないかな。」

そ、そうなんだ。それを受け入れる康太君、懐が広いな~。
何ですか橋本先生、挨拶が終わったら席に着けと、了解であります。
"それじゃ後で"、俺たちはそれぞれの席へと着くのでした。


「よ、佐々木。隣いいか?」

お昼の休み時間、康太君とお弁当を広げていると、横から木村君が声を掛けてきた。
確か木村君はお隣のFクラスだっけ?いいのこんなところに来ていて、Fクラスじゃ大人気なんじゃないの?

「あぁ、それなんだが、どうも周りもどう接していいのか戸惑いの方が強い様でな。何か一歩引かれている。」

そうなんだ、それはうちのクラスも同じかな?康太君、おもいっきり観賞対象にされてる。さっき北見さんに聞いたら話し掛けるのも恐れ大いんだって。北見さんなら中等部の頃何度か康太君と同じクラスになってたはずなのにね。元Aクラス男子はオーラが違うらしいよ。

「そう言う事なのか?俺はてっきり気を使われて腫れ物扱いなんだと思っていたぞ。」
"そんなに違うものなのか?"と言いながら辺りを見回す木村君、とたん動揺して机や椅子をガタガタ鳴らすクラスメート女子たち。相当違う様です。

「なんにせよ慣れてくれとしか言い様がない。これから昼休みはこっちに弁当を食べに来る、よろしく頼む。」

戸惑うGクラス女子に頭を下げる木村君なのでありました。
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