男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

文字の大きさ
上 下
517 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第504話 文化祭、二日目(一般公開)

しおりを挟む
本日は文化祭二日目、普段入る事の出来ない私立桜泉学園高等部の門を一般の人間がくぐる事の出来る数少ない機会である。だがそれは学園から配られる特別観覧チケットを持った者のみの特権であり、その辺の人間が気軽に入る事は出来ないのだ。チケット自体にも厳しい偽造対策が施されているため、毎年偽チケットで侵入を試みる者が警備員に捕縛されている始末。
その為このチケットは別名”プラチナチケット”と呼ばれ、それを所有する事がセレブの証であるとも言われている。

”ジュ~ッ、ササッパサッ、トットットットッ、パタン、パタン、パタン”×3

「はい、ご注文の品出来上がりました。配膳をお願いします。」

「「はい、シェフ。」」

今日も只管クレープを焼く、どうも、クレープ職人佐々木大地です。
昨日は不名誉な称号を頂きましたが人の噂も四十九日?八十八夜?十月十日《とつきとうか》?まぁ、そのうち忘れるでしょう。忘れるものと信じたい。
何と言っても今日は一般公開日、生徒一人に配布されるチケットは三枚まで。
足りないじゃん、超困りました。
どうしようか迷っていた時に増山のおっちゃんが順子ちゃんから貰っていたチケットを融通してくれなかったらどうなっていたか、おっちゃんには感謝です。
お礼にワンワンの天然水を渡そうとしたら全力で固辞されたのは残念でしたが、おっちゃんには何かよさげなモノが手に入り次第差し上げる事に致しましょう。

「のっぺり、遊びに来た。」
「佐々木君、いつも英雄ちゃんの事ありがとうね。」
「のっぺり君最近遊びに来てくれないじゃない、たまにはいらっしゃいよ。」
「佐々木様、御無沙汰しております。」

月子さんに英雄ちゃんママに陽子さん、それに西城さんもみんないらっしゃい。木村君の方は良いの?

「英雄君は厳重に警護されている。今は第二回公演が始まっている。この後第三回公演を見に行くつもり。チケットは手に入れてある。」

「そうなのよ、英雄ちゃんったら大人気でしょう?お手洗いに行くにも護衛が付く状態なの。だから軽く挨拶だけして来たって訳。それと佐々木君には月子にチケットを譲ってくれたお礼もあったの、この子ったら私たちに遠慮して英雄ちゃんのチケットを貰おうとしなかったから。皆で来れたのは佐々木君のお陰よ、どうもありがとう。」

「のっぺり君、君にはいつもお世話になっている、本当にありがとう。これからも英雄ちゃんと月子の事をよろしく頼む。」

「佐々木様、本来ならば私はここには来れないと思っていました。本当にありがとうございました。」

止めてくださいよ、皆して。今日は楽しい文化祭なんですから、腕によりをかけて美味しいクレープを焼きますから席に座って待っていてください。
俺は着座を促しクレープ作りに戻るのでした。

「流石のっぺり、私は満足。」
「あら本当、美味しいわ。生地が上手に焼けてるわね~。」
「うん、のっぺり君、君お店出せるよ。これは素人の技じゃないから、旨い旨い。」
「佐々木様、感服いたしました。流石でございます。」

喜んでもらえて何よりです。それで木村君の劇はどうでした?今回は裏切りの騎士団長の役って聞いてるんですが。

「英雄君、かっこよかった。」
「そうそう、悪役なんだけど何か筋の通った男と言うか、何か理由があるのではって感じが良かったわ~。」
「悪い男の魅力がいっぱい、色気のある演技が最高、流石は私の英雄ちゃん。」
「皆さんとても素晴らしかったのですが、やはり英雄様の事を見てしまいますね。」(赤ら顔)

さ、さいですか。それはよろしゅうございました。まぁ他にも色んな出し物がありますんで、ゆっくり見て行ってくださいね。

「「「どうもありがとう、ごちそうさまでした。」」」

手を振って見送ると、四人は笑顔で戻って行った。

「ねぇねぇ佐々木君、先ほどの美女集団は一体?」

あぁ、Aクラスの木村君のご家族。木村君とは小学校の頃からの付き合いだからね、彼の家には何度も遊びに行ってるし家族ぐるみの付き合いをさせて貰っているよ。

”流石イケメンのご家族、イケメンの家には美女がゴロゴロ。”
なんか妙な事を言ってますがスルー一択です。

「こんにちは、Saki様。今日はお招きありがとうございます。」

まなみちゃん、いらっしゃい。座って座って。
まなみちゃん甘い物って大丈夫?身体の管理的に駄目な物って有る? 

「いえ、私の場合大量摂取でなければ特には。それより済みませんでした。本当ならもっと早くご自宅にお伺いしてご報告がしたかったんですが、なかなかスケジュールが取れなくって。」

それは仕方がないって、三連覇でしょ、マスコミが放っておかないよ~。今や国民的スターだもん、おいそれと遊びになんて来れないって。

「いえ、そんな、私なんか。」

いいからいいから、分かってるから。無理しなくていいから、時間が出来たらおいで。いつでも待ってるから。

「はい、ありがとうございます。」

あんもう、泣かないでよ。今美味しいクレープ焼くから食べて行って。マスターコーヒーよろしくね。

「あぁ、気持ちを込めて入れさせてもらうよ。」(ニッコリ)

"ジュ~ッ、スーッ、ササッパサッ、タッタッタッ、パタン、パタン、パタン"

「お嬢様、苺クレープとコーヒーのセットになります。」

「Saki様・・・。」

座る彼女をそっと抱きしめて背中をポンポンと叩きながら小さく囁く。
”大丈夫、何も心配はいらないよ。疲れたらいつでも俺の所においで。”

「はい、Saki様。」

涙をぬぐった彼女は美味しい美味しいとクレープを食べ、コーヒーをゆっくり飲み干すと笑顔で手を振り戻って行った。

「ねぇねぇ佐々木君、さっきの人って体育祭の時に来ていた本条まなみ選手だよね?世界陸上で三連覇を果たした。」

うん、そうだね。まなみちゃん相当ストレス溜まってたみたいだね。前に友人が同じ様になってたことがあったけど、世界中の注目を浴びるって事は掛かるストレスも半端じゃないのかもしれないね。

「それで込み入った事を聞いて悪いと思うんだけど、何で佐々木君があんなに親しいの?」

あ~、普通はそう思うよね。まなみちゃんとは中学の時からの付き合いなんだよね、よく家にも遊びに来るよ。相談したりされたり、仲は良いんだよね。

「そ、そうなんだ。なんか佐々木君って凄いね。」

そう?自分じゃよく分からないんだけどね。

”ねぇ、なんか佐々木君のお客様って美女ばかりじゃない?”
”昨日と言い今日と言い、やっぱり佐々木君って美女誑しなのよ。”
”いや~ん、私佐々木君に誑し込まれちゃう。”
”アンタは無いから。”
”え~、それって酷くない?ほら、こんな美女、美女誑しが放って置かないって~。”
”いやいやいや。”

なんかえらい言われてますが聞こえない事にしておきましょう。

「大地、遊びに来たよ♪」
「大地君、美味しいクレープ期待してるからね♪」

絵実、香織、いらっしゃい。今席に案内するね。

「「大地、ありがとう♪」」(花の様な微笑み)

「「「・・・・・・」」」

”やっぱりじゃん。”

”佐々木大地が複数の美女を侍らせている。”
この情報はレインにより学園中に拡散、再び風見屋風紀委員長の突撃を受ける事になるのだが・・・、この時ののっぺりは知る由もなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです

.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話

処理中です...