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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第502話 文化祭、前日準備

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「生徒会に申請出しておいた視聴覚室の遮光カーテン借りて来たよ。」

「それじゃ、教室のカーテンと交換して。用意した布ロープで括れば重厚感が出るから。」

「テーブルクロス縫い終わったよ~。」

「了解、じゃあ机並べてセッティングしちゃおうか。」

「マスターのカウンターを用意しちゃった方がよくない?」

「飾りつけの絵画どうするのよ~。」

どうも、Gクラスの座敷童、のっぺり佐々木です。ただいま文化祭に向けクラス一丸となって準備中、女子の皆さん大変張り切っております。それもこれも天海君のお陰なんですけどね。
彼、夏休み中のペンションのお手伝いでかなり鍛えられたらしく、積極的に女子に話し掛ける様になっておりました。
でもわたくし知っておりますよ、天海君マスター喫茶店を成功させたいだけでしょう。めっちゃ営業スマイルじゃないですか。
本質的には何も変わらずとも自らの欲求の為にはその笑顔もフルに活用する術を身に付けられたんですね。わたくし感服いたしました。
そんな天海君に唆されるように働くクラスメートの皆さん、”え?ここってGクラスよね?私が前にいたクラスの男子より全然いいんですけど。””言葉少なめでも優しい笑みで語り掛けて来るイケメン、悪くない。”などとおっしゃってますが、彼の電源が入ってるのは多分文化祭が終わる迄です。それが終わり次第元の天海君に戻ると思いますよ。基本残念イケメンですから。
前の彼を知ってる女子生徒の方なんて目が点になってましたからね。

そんなこんなで我がクラスでは順調に準備が進んでおります。
それでお前は何をやっているのか?調理実習室で只管クッキーを焼いておりますが何か?何でも男子生徒の手作りと言うのが良いとの事で、自宅のメイドノエルに指導を仰ぎ、現在クッキーマシーンと化しているのっぺりなのであります。
でもお前イケメンじゃないじゃんって、そんなの言わなきゃ分かんないんだよ。桜泉学園の男子イコールイケメンの構図が出来上がってるんだからそれを利用しない手はないでしょう。男子生徒お手製クッキーって事で嘘は言っておりませんし。
後は味が美味しければみんなハッピー、ノエルの指導は伊達ではありません。
最初は怪訝そうな顔をなさっていた調理部のお姉さま方も、クッキーの試食を差し上げたらニッコリでした。ぜひ入部をと迫られたのは楽しい思い出です。
明日の本番では他にクレープを焼いたりしますが、準備できるものは事前に準備しておかないと後が大変ですからね。

”チィン”

はいクッキー焼きあがったよ、熱冷ましと袋詰めよろしく~。
今日の帰りは遅くなりそうです。


(side:高木康太)

「舞台袖はこんな風でどう?背景はプロジェクターで映すんでしょ?」

「斜め上からだから多少歪むけど問題はないんじゃない?それよりも小道具とか大丈夫なの?」

「リサイクルショップで揃ったらしいよ。衣装は貸衣装屋さんで上手く借りれたって。」

「何とかなってよかったわ。それじゃ、通し稽古に入りましょうか。」

一年Aクラスの出し物、創作劇「その後の幸福の王子様」。
五人の花嫁を迎え幸せに暮らす王子に降りかかる新たな試練、国を奪われ妻を奪われた王子が新たな仲間と共にすべてを取り戻す一大スペクタクル。
これって文化祭で一クラスがやる出し物じゃないよな~。
僕の役って王子を騙し国を奪う宰相の役なんだけど、これって後から恨まれない?クラス落ちするくらいなら構わないんだけど、襲撃とかは勘弁してほしいな~。でも王子様ひろし君だしな~、ひろしファンは何するか分からない怖さがあるんだよな~。

「どうした高木、背中から哀愁が漂ってるぞ。」

あぁ、裏切りの騎士木村君じゃない。いやね、後からひろしファンに襲われないかとちょっと心配になって。

「あ~、その心配は分かる。それもあって最終的に高宮に打ち取られる事にしたんだしな。最初の案にあったような高宮が泣き崩れて終わるような展開だったらヤバかったかもしれないがな。」

あの僕たちが花嫁監禁して花嫁が自害しちゃう奴?確かにあれは危険だよね、ヘイト集めまくりだもん。

「これからひろしが演劇を始めたとしても鬱展開は禁止だな、相手役の命が危ない。」

脚本家と監督も危険だよね、そう考えると役柄の幅が狭いよね。

「ハッピーエンドの主役しかできない俳優、それもある意味可哀そうではあるよな。今後高宮がどう成長するかにもよるがな。」

う~ん、僕にはよく分からない世界かな。何にしても文化祭頑張ろう。そろそろ稽古が始まるよ。


「王子、はっきり言わねば分かりませんか?あなたは捨てられたのですよ。今や亡国の姫ではない、立派な国の王妃となった彼女にはそれにふさわしい夫が必要だと思いませんか?おい、騎士団長、この間抜けを荒野にでも捨ててこい。」

「は、宰相閣下。来い、間抜け。国の重責を理解していないお前に政治は任せられん。お前の妻たちはこちらで面倒を見てやる、安心するがいい。」

「そんな、お前だけは裏切らないと信じていたのに。なぜだ騎士団長、何故なんだ~!」

「ふん、そんな事も分からないから裏切られるのだ。荒野の果てに行くがいい!」

”ピカッ、ゴロゴロゴロ、ザーーーーーーーッ”(暗転からのスポットライト)

「私は全てを失ってしまった。だが諦める事は出来ない、いや、諦めてはいけない。私は必ず失った全てを取り戻して見せる。」

「はい、カット。ひろし君良いですよ。本番もその調子でお願いします。次は仲間たちとの出会いと旅立ちのシーンに入りますが一旦休憩にします。」

木村君お疲れ、どうだった?

「あぁ、周りの目がヤバかったな。本番が凄く心配になって来たんだが。」

これ、親友に頼んで警備入れてもらった方が良くないかな?

「そうだな、スタジオS&Bに連絡して人員に空きが無いか聞いてみる。ちょっと電話してくるから担任に許可貰って来てくれないか?」

了解、先生には僕から話しを通しておくよ。

こうして僕らは文化祭に向け問題点の洗い出し(安全面について)と、必要な準備(身を危険から守るため)を行うのでした。
助けて親友~。
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