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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第500話 前期期末考査終了

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”バタン”

九月の半ば、季節としては秋に分類されるこの時期。しかしまだまだ残る熱い日差しと熱気は、残暑の厳しさを色濃く残している。

”ガラガラガラ、カラン”
”トクトクトクトク”

冷蔵庫から出された氷をグラスに入れる。そこに注がれる黒色の液体、暑いこの季節にはどうしても欲しくなる一杯。

”コトッ”

テーブルに置かれたそれにガムシロップとクリームを掛け入れる。ティースプーンでよくかき回し、全体が茶色くなったら口に運ぶ。
しっかりした苦みはシロップの甘さとクリームの滑らかさで中和されマイルドな味わいに変わっている。
キンと冷やされたその飲み物が身体の火照りを冷まし、安らぎの一時を与えてくれる。

マスター、やっぱ夏はアイスコーヒーでしょ、冷蔵庫導入は正解だったんだって。

頑なにホットコーヒーに拘る天海君を口説き落とした自分、good job!
だって暑いんだもん。
夏休みが明ける前に部室に観音開き式の冷蔵庫を運び入れいつでも使えるようにしておきました。中には麦茶はもちろんアイスコーヒーのペットボトルやちょっとしたデザートも用意しております。無論製氷機能付きですのでいつでも氷をご利用いただける優れもの。天海君マスターの強い味方になってくれること請け合いです。

でもマスター、中間考査終わっちゃったら次は文化祭でしょ?そうしたら今度はマスターともお別れって感じ?

「いやいやいや、それはないんじゃないかな?俺って女子ウケ悪いし。どちらかと言えば佐々木君の方が受けは良いよね。」

先程までいた梶原さんたちの使い終わったグラスを洗いながらそう答えるマスター、気を使ってくれるのはありがたいんだけど俺って審査対象外なんっすよ。だって男子の投票ってイケメン判定なんすから。
あなたの求めるイケメンは誰?それはのっぺりです。
ないわ~、それってないわ~、あっても風子さんくらいだわ~。
こないだの体育祭の投票も外部協力生の投票ゼロですからね。
唯一の希望が知り合いだけと言うね、ありがたい事でございます。
でも文化祭の投票って何をどうやるんだろうね。ミスターコンテストでもするんだろうか?

「あぁ、何でも男子は各クラスの催しに必ず参加しないといけないらしい。その様子を放送委員が取材に来るらしいよ。何をどうするのかは各クラス次第になるらしいんだけどね。」

うん、要するに女子のおもちゃになりなさいって事かな?この学園らしいと言えばこの学園らしいよね。まぁ俺たちは新しいクラスメートにお任せって事でいいかな?

「そうだね、ウチのクラスの女子、めちゃくちゃ頑張ってたし、下手したら総入れ替えってのもあるかも知れないしね。」

あぁ、目指せ小山君だっけ?煽っといてなんだけど、そんなに簡単に行くのかね?他のクラスの子も頑張っているんでしょ?一度クラスが決まると大幅な変更は難しいって聞いてるけど?

「俺もそう聞いている。特に上のクラスはまず無理、中間考査の時は入学時に外部進学生徒内部進学生を分けてしまっていたからかなり荒れた様だけど、今回はそこまで大きく変わらないだろうってのが大半の予想、なんだけどね。あの頑張りを見ちゃうとね、もしかしたらって考えちゃうんだよね。少なくともさっき来てた梶原さんたちの顔は、敗者のソレではなかったしね。」

流石マスター、よく見ていらっしゃる。それじゃ、彼女たちの頑張りが報われる事を祈って。

俺がグラスを掲げると天海君もグラスに麦茶を入れて持って来てくれた。

”チンッ”

軽くグラスを合わせる。
お互いの目が合い思わず笑いだす二人であった。


ねぇ、天海君。女子の執念って凄くない?

週が明けて月曜日、いつものGクラスの教室で俺は天海君に話し掛けた。

「あぁ、俺もまさかこれほどのモノとは思っていなかったよ。」

教室のクラスメートの姿を見ながらそう返してくれる天海君。俺も同じようにクラスメートを眺める。知ってる顔がいないです。あ、一人だけいた、確かFクラスで俺に色々話しを聞かせてくれた子。確か北見さんだったかな?
お~い、北見さんお久し振り~。

「ん?あぁ、佐々木君、久しぶり。結局遊びに来るんじゃなくって自分が来ちゃったよ、アハハハハ。梶原さんたちは上のクラスに行ったんだね、彼女たち頑張ったじゃない。」

まぁ、それなんだけどさ。
俺はスマホを取り出し学園連絡用アプリを立ち上げる。そこに記載されているクラス別の移動先リストをタップ。

梶原香住 Cクラス

「・・・え?凄くない?大躍進じゃない。それにあの時一緒にいた田島さんと市川さんもDクラス?めちゃくちゃ成績上がってない?」

うん、俺もびっくり。それと他のクラスメートも軒並みDクラスやEクラスになってやんの。その結果クラスメート女子総取り換えでございます。

「なにそれ?そんな事今まで聞いた事ないんですけど。一体何があったのGクラス。」

いや本当、何があったんでしょうかね~。
”ハハハハ”と乾いた笑いを浮かべる俺。そんな俺をジト目で見詰める天海君。
いや、俺何も悪い事はしてないからね。
この後教室に入って来た橋本先生にも同じくジト目で見られる佐々木大地君なのでありました。
解せん。
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