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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第485話 強制帰宅

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山の目覚めは穏やかだ。
耳に届く山鳥の歌声、風に揺れる木々のざわめき。
ゆっくりと覚醒して行く意識、隣で寝る黒丸を起こさない様に身体動かしテントの外に顔を出す。

「おはよう息子。キャンプは楽しかったかい?」

あら?何でマミーがここに?って言うかここって我が家のお庭ですか?
えっ、森のざわめきは?一体どうなってるの?

「いえね、こっちは色々と大和政府からの呼び出しやらタスマニア公国との話し合いやら"何で私が"って案件に振り回されているのってのに、その元凶様が呑気にキャンプに行っておられるじゃないか。それも何日も帰らない。
警備の仕事から帰って来た葛の葉がいたんでお願いして迎えに行って貰ったんだよ。
黒丸もしっかり遊んでもらって満足したんだろうね、素直に帰って来てくれて助かったよ。」

「ご主人、酷いじゃないか。警備の仕事が終わったらブラッシングしてくれる約束だっただろう?それなのに黒丸とばかり遊んで、私も一緒に遊びたいぞ。」

ヤバい、マミーがお怒りだ。それに葛の葉が仕事の疲れで"構ってモード"に入ってる。いつもの大物ぶりはどこへいった。
え~っとお母様?そのお仕事の件は不可抗力と言いますか?状況的に致し方がなかったと言いますか?
お母様も御納得頂いていたと思うのですが。

「そうさね、あれはこっちが無理に仕事を頼んだ結果だし息子に文句を言うのは筋違い、それは分かっているんだけどね。でもこれはないだろう、何で私が世界の指導者に頭下げられないといけないんだい。しかも今回で二度目だよ!?
迎賓館の後どこに連れて行かれたと思う?首相官邸だよ!?あたしはどこのVIPなんだい、胃に穴が空くよ。
愚痴の一つも言いたくなるだろうが!」

そ、そうですよね~。本当にいつもありがとうございます。
お庭で立ち話しも何ですんで、リビングでお茶でも飲みながらお話ししませんか?
ノエル、お茶の用意をお願い~。

「畏まりました、Saki様。」

優雅に一礼をして下がるノエル、それに従うようにぞろぞろ家に戻る面々。俺はようやくテントから顔だけ出すと言う間抜けな格好から解放されるのでした。


「それに大体なんだい、あたしはただの適当に生きてきただけの女だよ?そんなあたしが国の方針に言及だなんて出来る訳がないだろうが!」

"シャーッ、シャーッ、シャーッ"

「それを今後のタスマニア公国の発展と他国との友好についてを聞かれても答えようがないだろうが。それを期待してますって目で見て来るんだよ、どうしろってんだい。」

"シャーッ、シャーッ、シャーッ"
"ご主人、耳の後ろも掻いてくれて~。"
"コリコリコリ"
"~~~♪"

「仕方がないから話しはしたさ。前にあんたが言っていた男性区画の有効活用、世界は貴方を求めているって話し。それとイケメントラップだったっけ?イケメンを骨抜きにするサッキュバス旅行計画、夢の中一週間を貴方に。
あんたは笑いながらキャッチアンドリリースすれば問題なくないって言ってだけど、政府関係者ドン引きしてたからね。
でもブサメン活用の方はかなり興味を引いていたよ、他国がそこまで男を求めてるとは思ってなかったらしいからね。
でもこれもあたしが考える話しじゃないでしょうが。それもこれも・・・」

え~、わたくしのっぺりが何をしているかと言いますと、ひたすらマイマザーの愚痴を聞いております。
時折話しが小学校時代やスタジオS&B設立当時に戻ったりと大忙し。既に二時間は経っていますが終わる気配すらありません。
そんな中、葛の葉と言えば狐の姿になってブラシを咥えて人の膝に頭を乗せて来ましてですね~。あの、私見ての通り正座でして、太ももに乗られると大変辛いと言いますか、いいからブラシを掛けろと、そうですか、分かりました。ですので前足でテシテシするのは止めて頂けると助かります。
楽しかったブラシ掛けがなぜか拷問に早変わり。ズリズリ動かないで~。

「おい息子、話し聞いてるのかい?大体あんたは・・・」

はい、ちゃんと聞いております。
この後ノエルがお昼の用意が出来たと呼びに来るまで、マザーの愚痴は続くのでした。
あ、森のざわめきはどうなったのか?あれ、マミーがストレス軽減に聞いてるヨウツーベのストレス改善動画をスマホで流してたらしいです。
そこは術式じゃないんかい。便利なものは何でも使う偉大なる大霊能者マザー佐々木、流石です。
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