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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第479話 次はドラマのお仕事です。 (2)
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学園探偵ゼット、それは二年前から放送されている人気学園ドラマである。主人公の一文字勇気と二階堂進が数々の事件を通して多くの仲間を集め、様々な困難に立ち向かう青春活劇。若手俳優の石川洋一・皇一の両イケメンによる熱い男の演技は多くの反響を呼び、シリーズ化され今に至る。
今回の”ファイナルミッション”はシリーズ最終章、学園生徒を狙う巨大裏組織のボスを突き止め乗り込もうというところ。
いよいよ明かされる最終ボス、それは大企業の裏の顔だった。交錯する正義と悪、その戦いの裏で暗躍する第三勢力。
今物語はクライマックスを迎える。
と言った感じで登場するのが私のっぺり佐々木演じる”支配者素顔バージョン”だったんですけどね。スペシャルに相応しいスポットゲスト扱い?
ドラマ全体でもほとんど絡まないと言うか二回しか登場していない支配者なんですが、結構人気が高くてですね~。仮面の支配者のコスプレ動画がSNSで配信されるなど中々愛されております。
で、その後の支配者はどうなったのかという問い合わせが多く、脚本家さんが考え出したのが企業に潜り込み悪事を突き止め利益を搔っ攫う裏組織的な人間像。乗っ取りなんかもしちゃってる辣腕社長なんですね~。
で、彼の今回のターゲットがこの問題の大企業でしたよ~って流れだったんですが、肝心の敵のラスボス役のイケメン俳優がですね~。
暴行事件起こして飲酒運転して事故を起こしてってもうなんて言うかダメダメ三連星をですね~。前々からお酒におぼれるタイプだからって飲酒を止められてたらしいんですけどね、周りも悪いですよね、そんな人間に酒を飲ませちゃうんですから。
病院でもパニック起こして大暴れしたようですし、うん、降板は仕方が無いですね。
本当しっかりして欲しいですよ、西京芸能事務所さん。
で、急遽今まで撮影したシーンを含めとり直しが決定しちゃった訳なんですけど、放映日はすでに決定しちゃってるんですねこれが。他の俳優女優陣のスケジュールも無理やり抑える形で撮影続行、その関係で削れるシーンはフルカット、台本ごっそり書き直しって言うね。
「お疲れ佐々木、話しは聞いたか。」
うん、木村君もお疲れ。そっちの撮影は大分進んでるって感じ?
「あぁ、こっちはすでに撮り終わった。例の件でこっちも大分急ぎ撮影になったからな。後は佐々木とのシーンを撮って終了だ。スポット役だしクランクアップもなにも無いんだがな。大変なのは石川先輩と皇先輩だよ、絡みのあるシーンもかなりあったそうだからそれが全部取り直しになったらしい。ひろし全国ツアーの横浜公演にサプライズゲストで出演の予定があったらしいんだけど、それもキャンセルする羽目になったってボヤいていたよ。」
それはご愁傷様と言ったらいいのかラッキーでしたねと言ったらいいのか迷う所だね。
「アハハハ、確かにな。それでセリフの方は入ってるのか?」
応よ、完璧だぜ。
「それは心強い、しっかり頼んだぞ。」
って言うか俺のセリフ一行だから、とちり様が無いから。
やいのやいの言いながら撮影準備に入るスタジオS&Bの面々なのでした。
やや薄暗い室内。ブラインドカーテンから漏れ入る光を頼りに報告書に目を通す人物。
彼の座るデスクの前には二人の人間が直立不動で控えている。
”バサッ”
無造作に机に投げられた書類。
頬杖を突きしばしの瞑目。
その瞳がゆっくりと開かれる。
”ゴソッ”
巨大な気配が立ち上がる。
「よし、行くぞ。」
その声音は低く、まるで遥かなる深淵から聞こえて来る様に。
”コツンッ、コツンッ”
ゆっくりと立ち上がり、部屋の扉へと歩み出る男。
”ザッ“
その後ろに付き従う二人の男性。
”ガチャリ”
逆光を浴び光へ進む三つの人影。
その背中は語っている。
”さぁ、狩りの時間だ。”
「カット!!」
「監督、如何ですか。」
助監督が興奮気味に監督に問い掛ける。監督は真剣な表情で映像の見直しを行っている。
「OK、完璧です。スタジオS&Bの皆さんお疲れ様でした。この作品は絶対いいものに仕上げて見せます。期待していてください。」
「「「お疲れ様でした!」」」
俺たちの仕事は終わった、後は監督を含めた番組スタッフのお仕事。
「「「お疲れ様でした、ありがとうございました。」」」
俺たちは現場に残る撮影スタッフに感謝を伝え、撮影スタジオを後にするのだった。
今回の”ファイナルミッション”はシリーズ最終章、学園生徒を狙う巨大裏組織のボスを突き止め乗り込もうというところ。
いよいよ明かされる最終ボス、それは大企業の裏の顔だった。交錯する正義と悪、その戦いの裏で暗躍する第三勢力。
今物語はクライマックスを迎える。
と言った感じで登場するのが私のっぺり佐々木演じる”支配者素顔バージョン”だったんですけどね。スペシャルに相応しいスポットゲスト扱い?
ドラマ全体でもほとんど絡まないと言うか二回しか登場していない支配者なんですが、結構人気が高くてですね~。仮面の支配者のコスプレ動画がSNSで配信されるなど中々愛されております。
で、その後の支配者はどうなったのかという問い合わせが多く、脚本家さんが考え出したのが企業に潜り込み悪事を突き止め利益を搔っ攫う裏組織的な人間像。乗っ取りなんかもしちゃってる辣腕社長なんですね~。
で、彼の今回のターゲットがこの問題の大企業でしたよ~って流れだったんですが、肝心の敵のラスボス役のイケメン俳優がですね~。
暴行事件起こして飲酒運転して事故を起こしてってもうなんて言うかダメダメ三連星をですね~。前々からお酒におぼれるタイプだからって飲酒を止められてたらしいんですけどね、周りも悪いですよね、そんな人間に酒を飲ませちゃうんですから。
病院でもパニック起こして大暴れしたようですし、うん、降板は仕方が無いですね。
本当しっかりして欲しいですよ、西京芸能事務所さん。
で、急遽今まで撮影したシーンを含めとり直しが決定しちゃった訳なんですけど、放映日はすでに決定しちゃってるんですねこれが。他の俳優女優陣のスケジュールも無理やり抑える形で撮影続行、その関係で削れるシーンはフルカット、台本ごっそり書き直しって言うね。
「お疲れ佐々木、話しは聞いたか。」
うん、木村君もお疲れ。そっちの撮影は大分進んでるって感じ?
「あぁ、こっちはすでに撮り終わった。例の件でこっちも大分急ぎ撮影になったからな。後は佐々木とのシーンを撮って終了だ。スポット役だしクランクアップもなにも無いんだがな。大変なのは石川先輩と皇先輩だよ、絡みのあるシーンもかなりあったそうだからそれが全部取り直しになったらしい。ひろし全国ツアーの横浜公演にサプライズゲストで出演の予定があったらしいんだけど、それもキャンセルする羽目になったってボヤいていたよ。」
それはご愁傷様と言ったらいいのかラッキーでしたねと言ったらいいのか迷う所だね。
「アハハハ、確かにな。それでセリフの方は入ってるのか?」
応よ、完璧だぜ。
「それは心強い、しっかり頼んだぞ。」
って言うか俺のセリフ一行だから、とちり様が無いから。
やいのやいの言いながら撮影準備に入るスタジオS&Bの面々なのでした。
やや薄暗い室内。ブラインドカーテンから漏れ入る光を頼りに報告書に目を通す人物。
彼の座るデスクの前には二人の人間が直立不動で控えている。
”バサッ”
無造作に机に投げられた書類。
頬杖を突きしばしの瞑目。
その瞳がゆっくりと開かれる。
”ゴソッ”
巨大な気配が立ち上がる。
「よし、行くぞ。」
その声音は低く、まるで遥かなる深淵から聞こえて来る様に。
”コツンッ、コツンッ”
ゆっくりと立ち上がり、部屋の扉へと歩み出る男。
”ザッ“
その後ろに付き従う二人の男性。
”ガチャリ”
逆光を浴び光へ進む三つの人影。
その背中は語っている。
”さぁ、狩りの時間だ。”
「カット!!」
「監督、如何ですか。」
助監督が興奮気味に監督に問い掛ける。監督は真剣な表情で映像の見直しを行っている。
「OK、完璧です。スタジオS&Bの皆さんお疲れ様でした。この作品は絶対いいものに仕上げて見せます。期待していてください。」
「「「お疲れ様でした!」」」
俺たちの仕事は終わった、後は監督を含めた番組スタッフのお仕事。
「「「お疲れ様でした、ありがとうございました。」」」
俺たちは現場に残る撮影スタッフに感謝を伝え、撮影スタジオを後にするのだった。
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