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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第465話 ペンションに行こう (2)

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長志野県軽印沢、夏の避暑地として有名な高原地帯。そんな有名観光スポットである軽印沢の駅前でタクシーを捕まえて走る事三十分。

「うわ~、素敵なペンション。ここが今回の宿泊先なの?」

森の木立に囲まれた洋風な建物。まるで物語の一幕の様な落ち着いた雰囲気。
野口親子、目がキラキラしてます。やはり女性はこう言ったロマンチックなシチュエーションに憧れを持つようです。

「いらっしゃいませ、”ペンション木漏れ日”へようこそ。三名様でご予約の佐々木様でいらっしゃいますね、お待ちしておりました。」

優しい笑顔と丁寧な対応で出迎えてくれたペンションスタッフの天海君。うん、中々堂に入っている。って言うか普段からそう言った対応をしてればすぐに上位クラスに移動できると思うんだけど?

「お客様、ご冗談がお上手ですね。その様な事をしていたら自分精神疲労で倒れてしまいます。ではお部屋の方へご案内いたします。」(ニッコリ)

良い返しだよ天海君。これで持続性があれば完璧なのに、返す返すも残念である。

「佐々木様、こちらのお部屋となります。三名様ご一緒でのご宿泊とお伺いしておりますがよろしかったでしょうか?」

「素敵なお部屋ですね、はい、三名一緒で間違いありません。大地君のクラスメートの天海さんですね?いつも大地君がお世話になっています。」

「あ、いえ、こちらこそいつも佐々木君にはお世話になっています。失礼ですが佐々木君のお姉さんでいらっしゃいますでしょうか?」

「ウフフ、そう言ってもらえると嬉しいです。私は野口香織と言います、大地君の婚約者です。」

「はじめまして天海さん。私は娘の野口絵実と申します、同じく大地君の婚約者です。これからも大地君をよろしくお願いしますね。」

ニッコリほほ笑む野口親子、対してその場で硬直する天海君。
分かる、分るよ天海君。婚約者って事にも驚くだろうけど、親子って事にも驚くよね~。俺も初めて会った時滅茶苦茶驚いたもん。香織さん、あれから三年以上経つと言うのに益々若々しく綺麗になるってどう言う事なんでしょうか?
美魔女って凄いです。
さ、天海君、再起動してお仕事お仕事。

「はっ、失礼いたしました。自分、まだまだ佐々木君の事を侮っていた様です。のっぺり佐々木、半端ないです。設備のご案内をいたします。お風呂の方は備え付けのユニットバスをご利用いただけます。各ルームサービスはこちらの電話からフロントにお申し付けください。お食事や軽食等は、一階レストルームでとなります。お夕食の時刻は夕方六時半となっていますのでそれまでごゆっくりお過ごしください。
また何かございましたらフロントまでお問い合わせください。」

一通りの説明を終えると、天海君は一礼をし部屋を後にした。
こうしてみると彼って結構万能だよね、基本持続力が無いから本人嫌がるけど優良物件だと思います。

「大地君、こんなに素敵な所に連れて来てくれてありがとう。私ペンションって初めて来るの、友達とかが凄くよかったって言ってたけど、本当にロマンチック。今回は私たちが大地君を甘えさせてあげようと思ってたけど、これじゃ逆になっちゃうわね。」

そう言い俺の手を引きソファーに座らせる香織さん。逆側にはスッと絵実が腰掛ける。

「大地君、今はこの幸せな気分に浸りたいの。甘えさせてもらっていいかな?」

香織さんはそう言うと俺の腕をギュッと掴みコテンと頭を寄り掛ける。

「私も結構頑張ってるんだよ?だからご褒美頂戴ね♪」

逆側の腕は絵実ががっちりホールド。同じくコテンと肩に頭を寄り掛ける。
両の腕が二人の柔らかい谷間に沈み込む。
グホッ、何この”幸せホールド”、絶対逃げられないじゃん。というか動きたくないし!

この後夕食までの一時をだらしない顔で過ごした事は、言うまでもない。
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