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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第461話 夏休みどこに行く?

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スポーツ研究会の部室、そこは部室棟の三階にあるどこにでもある様な部屋、であった、元々は。
部屋の扉を開き中へと入る。室内に漂うのはコーヒーの香ばしい匂い。
流れるのは落ち着いたピアノのメロディー。シックなテーブルに椅子、品の良いアンティークな調度品。
どう見ても隠れ家的喫茶店、別名"喫茶止まり木"。学園のはみ出し者の憩いの場、それがここスポーツ研究会の実態であった。

マスター、いつもの。
俺は慣れた感じてテーブルにつく。
マスターも変わらぬ手付きでコーヒーを入れる。
"コトッ"

カップから漂うコーヒーの香り、今日はミルクと砂糖を入れて頂きます。

はぁ~、落ち着くわ~。
俺はカップをテーブルに置きマスターの方を見やる。
天海君、いつの間にかマスターになってるし。いや、良いんだけどね、本人楽しそうだし。最近じゃ梶原さんたちも天海君のことをマスターって呼ぶ様になっちゃったし。
それに天海君似合うんだよね、その寡黙なところが凄く良い。あれで家に帰ればVツーバーだと言うのだから世の中分からない。
あ、コーヒー豆に拘りたくなったら言ってね予算はありますから。わたくしこのてのおふざけに妥協しない主義ですので。マスターの様な人材は大歓迎であります。
はいそこのGクラス仲良し三人組、こそこそブルジョアめとか言わない。頑張って稼いだお金なんだから楽しみたいの、異論は認める。

「なぁ佐々木、夏休みの予定とか決まってるか?」

それはやいのやいのと騒いでいた俺に突然投げ掛けられた問いであった。

ん?どうだろう。俺の予定はあって無いようなもんだから。それがどうしたの?

「いや、この夏親戚のおばさんの所のペンションを手伝う事になってな。Vの仕事はそちらでも出来るから良いんだが、ペンションの営業をしてこいって言われたんだ。この俺に営業、無理だと言ったんだがノルマ一組と約束させられてしまってな。」

うわっ、どこにでもいるのね強引なおばちゃん。おそらく天海君の人付き合いの悪さを心配しての事だと思うけど、ありがた迷惑の典型だよね、それって。
でもペンションか、行ったこと無いから興味あるかも。パンフレットがあったら貰える?確約は出来ないけど聞いて見るよ。

「あぁ、それだけでも助かるよ。本当にどうして良いのか分からなかったんだ。」

天海君はそう言うとカバンからパンフレットを取り出し手渡してきた。

何枚かある様なら棚の上にでも置いておけば?誰か見るかもしれないし。

「良いのか?すまないがそうさせて貰うよ。」

いそいそとパンフレットを置きに行く天海君。でもペンションか、前世でも泊まった事無いんだよね。普通の旅館と何が違うんだろう?
まぁ帰ったら絵実に相談かな。絵実には婚約者らしい事を何もしてあげれて無いしね。
森に佇むペンションの写真を眺めていると、自然と笑みがこぼれるのを感じるのでした。

(side : 乙女同盟)

婚約者二号>
佐々木君からレインがありました。夏休みにペンションに行かないかと言うお誘いです。夏休み入ってすぐの予定が取れそうとの事でした。

のっぺりの嫁>
何?私の方には連絡がないぞ、のっぺり、差別は良くないと思う。

婚約者一号>
多分婚約者って事で気を使ったんじゃないかしら?頻繁に会いに来てくれるし、そんな事気にしなくても良いのに。でも嬉しい♥️

Saki様ラブ>
うぐっ、夏のペンション、うらやましい。世界陸上があるから行けない、流石にマネージャーがキレる。(ガクブル)

のっぺりの嫁>
そう言えば私もコンサート公演の予定があるんだった。これはサボれない、のっぺりめ~。

婚約者二号>
お二人ともすみません。詳しくはご報告しますのでお許しください。

Saki様ラブ>
気にしないで、これはこっちの事情だから。二人とも楽しんできてね。

のっぺりの嫁>
のっぺりは学園に行ってからずっと忙しかった。二人して癒してあげて。
彼は秘密が一杯、日常に戻れる場所が必要だから。

婚約者一号>
分かりました。お二人の分もしっかり愛情を注がせて頂きます。

Saki様ラブ>
でもうらやましい~!!

のっぺりの嫁>
のっぺりには補填を要求、これは決定事項!!


こうして乙女たちの夜はけて行くのでありました。
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