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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第455話 その頃のっぺりは (2)
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聖なる大樹、それは学園奥の森にそっと佇んでいる巨大な樹木。
その樹の下に立った時、女子生徒は相手の男子生徒の魅力に改めて気が付くだろう。
男子生徒は呼び出した女子生徒に見とれ、その魅力に心奪われるだろう。
その樹の下で告白をし結ばれたカップルは、生涯仲睦まじく幸せになると言われている。
(”私立桜泉学園高等部に伝わる伝説”より)
目の前に佇む巨木、全体に薄っすら光を帯びた様に見えるそれは、見る者に何か神聖なものを感じさせるそんな神秘的な雰囲気を纏っている。
俺はそんな大樹を指差し、隣の人物に問い掛けた。
「で、これっていったい何なのよ?」
「あぁ、これか。これは相想樹、縁結び神社などでよくみられる”縁結びの樹”と呼ばれる縁起物だの。互いの思いを引き付け合う力があるとされていて木の葉をお守りとするところもあると聞くぞ。だがここまでの巨木になるとは聞いた事も無いんだが。」
それでその縁結びの樹がなんだって学園の森の中に生えてる訳さ。
「いつだったか供物の中にあった品であったな。その当時恋愛小説に嵌っていた姉が嬉々として植えていたのを覚えておる。なんでも伝説の出会いの樹は学園小説の基本とか言っておったぞ。私もかなり成長に力を貸したもんだ。」
それでここまで巨大で光り輝く樹に?
「いやいやいや、いくら何でもそれは無いじゃろ、これは樹齢数百年って大きさじゃぞ?いくら何でも有り得んじゃろう。この辺は姉者の管轄故関知しておらなんだが、これでは聖気に当てられる生徒が出てもおかしくないじゃろうて。」
そう言い、大樹の周りをぐるぐる回る朱音さん。やがて戻ってくると深いため息を吐いて語り出した。
「すまぬのっぺり、この場所はある種の採取場になっておった様じゃ。」
どう言う事?さっぱり意味が分からないんだけど。
朱音さんは”ほれ見て見よ。”と言い樹木の周りを指差した。
「そこに等間隔で石が埋められておるじゃろう?それが術式の跡じゃ。この相想樹は若いカップルを作り上げるだけでなく多くの女子生徒を呼び寄せる誘蛾灯のような役割もしておった様じゃ。そこで生徒たちをある種のトランス状態にし、思想エネルギーを増幅回収する。その力はこの術式、魔法陣と呼んだ方がいいかの?により遠方へと送られるという仕組みじゃ。エネルギーが堪ってもすぐに送られるため澱みが生まれない、我らが気付かぬ訳じゃ。
恐らく一華も気付いておらんかったんじゃろうて、相想樹自体は珍しいとは言へ割とよくある樹木であるからの。姉者の性格に上手い事付け込まれたと言った所かの。」
あ~、俺がこの地を掌握した時に感じた外に伸びる力の流れの一つがこれだったって事ね。って事は後何カ所かあるってこと?面倒くさい。
「まぁ、この樹の様に生木を利用した術式ならまだ影響が残る事もあるじゃろうが、ただの術式であるならば完全に消え失せておるからな。逆に痕跡を見つける方が難しいやもしれんぞ。」
あ~、まぁそっちはぼちぼち探ってみるとして朱音さんも良く見回ってくれない?特にお姉さんの管轄だった場所とかお姉さんに見回らなくてもよいと言われた場所とか!
これ二カ所目だからね、基本お姉さんの管理ユルユルだから。
「わ、分った分かった、そんなに怒るな。こ奴に関してはしめ縄で力が漏れんように封じておく。人の縁を結ぶのは術式ではなくこの樹木が発する聖気の影響であるからな。」
聖気、聖気、あぁ、精霊の発するあれね。じゃあこの樹は言うなれば恋愛成就の精霊って所なんかね。駄々洩れは止めて欲しいんだけどね。
「うむ、縁結びの神社でも相想樹はご神木としてしめ縄を結わいて祀っておる。この大樹もそうして崇め奉ればそのうちご神木になるやもしれんな。」
それじゃ、ここに祠でも立ててその辺きちんと管理出来るようにしておいてよ。朱音さんこないだ鬼龍院理事長と顔合わせしてるんだから話し通るでしょう?
「いや、あの時はバタバタしておったからこちらを認識してるとは限るまい。ここはのっぺりの方が話が通るのではないか?」
え~、俺~。じゃあ改めて顔合わせって事で一緒に理事長室に行こうか。理事長このところのゴタゴタで残業続きらしいし、この時間ならまだいるでしょう。
俺は全てを丸投げする為、学園教務棟の理事長室へと向かうのでした。
いま、彼女の元へまた一つ厄介事がやって来る。
頑張れ鬼龍院広美、負けるな鬼龍院広美、この学園の復興は全て貴女の双肩に掛かっているのだから。
その樹の下に立った時、女子生徒は相手の男子生徒の魅力に改めて気が付くだろう。
男子生徒は呼び出した女子生徒に見とれ、その魅力に心奪われるだろう。
その樹の下で告白をし結ばれたカップルは、生涯仲睦まじく幸せになると言われている。
(”私立桜泉学園高等部に伝わる伝説”より)
目の前に佇む巨木、全体に薄っすら光を帯びた様に見えるそれは、見る者に何か神聖なものを感じさせるそんな神秘的な雰囲気を纏っている。
俺はそんな大樹を指差し、隣の人物に問い掛けた。
「で、これっていったい何なのよ?」
「あぁ、これか。これは相想樹、縁結び神社などでよくみられる”縁結びの樹”と呼ばれる縁起物だの。互いの思いを引き付け合う力があるとされていて木の葉をお守りとするところもあると聞くぞ。だがここまでの巨木になるとは聞いた事も無いんだが。」
それでその縁結びの樹がなんだって学園の森の中に生えてる訳さ。
「いつだったか供物の中にあった品であったな。その当時恋愛小説に嵌っていた姉が嬉々として植えていたのを覚えておる。なんでも伝説の出会いの樹は学園小説の基本とか言っておったぞ。私もかなり成長に力を貸したもんだ。」
それでここまで巨大で光り輝く樹に?
「いやいやいや、いくら何でもそれは無いじゃろ、これは樹齢数百年って大きさじゃぞ?いくら何でも有り得んじゃろう。この辺は姉者の管轄故関知しておらなんだが、これでは聖気に当てられる生徒が出てもおかしくないじゃろうて。」
そう言い、大樹の周りをぐるぐる回る朱音さん。やがて戻ってくると深いため息を吐いて語り出した。
「すまぬのっぺり、この場所はある種の採取場になっておった様じゃ。」
どう言う事?さっぱり意味が分からないんだけど。
朱音さんは”ほれ見て見よ。”と言い樹木の周りを指差した。
「そこに等間隔で石が埋められておるじゃろう?それが術式の跡じゃ。この相想樹は若いカップルを作り上げるだけでなく多くの女子生徒を呼び寄せる誘蛾灯のような役割もしておった様じゃ。そこで生徒たちをある種のトランス状態にし、思想エネルギーを増幅回収する。その力はこの術式、魔法陣と呼んだ方がいいかの?により遠方へと送られるという仕組みじゃ。エネルギーが堪ってもすぐに送られるため澱みが生まれない、我らが気付かぬ訳じゃ。
恐らく一華も気付いておらんかったんじゃろうて、相想樹自体は珍しいとは言へ割とよくある樹木であるからの。姉者の性格に上手い事付け込まれたと言った所かの。」
あ~、俺がこの地を掌握した時に感じた外に伸びる力の流れの一つがこれだったって事ね。って事は後何カ所かあるってこと?面倒くさい。
「まぁ、この樹の様に生木を利用した術式ならまだ影響が残る事もあるじゃろうが、ただの術式であるならば完全に消え失せておるからな。逆に痕跡を見つける方が難しいやもしれんぞ。」
あ~、まぁそっちはぼちぼち探ってみるとして朱音さんも良く見回ってくれない?特にお姉さんの管轄だった場所とかお姉さんに見回らなくてもよいと言われた場所とか!
これ二カ所目だからね、基本お姉さんの管理ユルユルだから。
「わ、分った分かった、そんなに怒るな。こ奴に関してはしめ縄で力が漏れんように封じておく。人の縁を結ぶのは術式ではなくこの樹木が発する聖気の影響であるからな。」
聖気、聖気、あぁ、精霊の発するあれね。じゃあこの樹は言うなれば恋愛成就の精霊って所なんかね。駄々洩れは止めて欲しいんだけどね。
「うむ、縁結びの神社でも相想樹はご神木としてしめ縄を結わいて祀っておる。この大樹もそうして崇め奉ればそのうちご神木になるやもしれんな。」
それじゃ、ここに祠でも立ててその辺きちんと管理出来るようにしておいてよ。朱音さんこないだ鬼龍院理事長と顔合わせしてるんだから話し通るでしょう?
「いや、あの時はバタバタしておったからこちらを認識してるとは限るまい。ここはのっぺりの方が話が通るのではないか?」
え~、俺~。じゃあ改めて顔合わせって事で一緒に理事長室に行こうか。理事長このところのゴタゴタで残業続きらしいし、この時間ならまだいるでしょう。
俺は全てを丸投げする為、学園教務棟の理事長室へと向かうのでした。
いま、彼女の元へまた一つ厄介事がやって来る。
頑張れ鬼龍院広美、負けるな鬼龍院広美、この学園の復興は全て貴女の双肩に掛かっているのだから。
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