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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第440話 木村君のお仕事 (3) (side:木村英雄)
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「トナルド~、離してよ木村君、トナルドはね、トナルドなんだよ。」
瞳を潤ませ上目使いで俺に訴えかける高宮。
”ドサドサドサ”
周囲から聞こえるスタッフや見物人の倒れる音。
「あ~ん、私の”hiroshi”君、今すぐこの胸で慰めてあげる。」
「トナルドよ、トナルドのぬいぐるみを買ってくるのよ!」
「ブフォ、美少年同士の絡み合い、尊い。」
周りから聞こえる会話が大変危険だ、色んな意味で。
「ねぇ木村君、ニッキーさんもトナルドさんもみんないい子なんだよ?」
執拗に上目使いで瞳を潤ませる高宮、鬱陶しいわ!
普段の理想の王子様然としたお前は何処へ行った、シャキッとせんかシャキッと!
「え~ん、木村君が怒った~。」(涙目)
え~い、分かったから。キャラメル味のポップコーンを買ってやるから、大人しく仕事しろ!
「えっ、本当!?僕ね、デスティニーランドでポップコーンを食べるのが夢だったの。あのねあのね、ちゃんとキャラクターの容器に入れてね。この容器は次にポップコーンを買う時も使えるんだからね。今は四十周年の特別仕様なんだよ♪」
花の様な笑顔でスキップをしだす高宮、こいつがこんなお花畑になるなんて誰が予想した。
「吉野さん、今高宮が言った事は本当なんですか?ポップコーンの容器が特別仕様って奴ですが?」
俺は急いで話題を吉野さんへ振る。ちゃんと仕事をしなければ、このグダグダを続ける訳には行かない。
「はい、ひろし君はよくご存じでしたね。今パーク内の各店舗で四十周年特別ポップコーンを販売しています。それぞれの店舗で違ったキャラクターの容器をご用意していますからぜひ集めてみてください。」
水を得た魚の様な流れる解説、広報部吉野さん、流石だ。
「松村先輩も御一ついかがですか?ここのポップコーンは定番の塩味だけでなくキャラメル味や抹茶味チョコレート味やイチゴチョコ味など様々な味が楽しめると評判なんですよ?」
(小声で)
”それに松村先輩がポップコーンを食べる姿を全国の視聴者が見たら、それこそメロメロです。ファンだけでなく放送局のお偉方や事務所のお偉方もご満悦、CMの仕事にも弾みになるのではないかと愚考いたします。”(ニヤリ)
「そうか?仕方がねえな、後輩にそこまで頼まれたんじゃ断れねえじゃねえか。どれ一つ、うん、このキャラメル味、甘さの中に仄かなほろ苦さがあって旨いんじゃないか?飽きの来ない癖になる味だぞ。木村、お前も食べてみろ、なかなかイケるぞこれ。」
「ありがとうございます。本当だ、松村先輩の言う通りだ。これならいくらでも食べられますね。松村紫音お墨付きの味って奴です、本当に美味しい。」
「そうだろうそうだろう、俺が言ってるんだ間違いないっての。」
パークキャスト広報部吉野さんも安堵のコメント。こういう仕事をしてください、松村先輩《馬鹿二号》。
「え~、みんなこれ貰っちゃっていいの?本当に?ありがとう~♪」(花の笑顔満開)
「「「きゃ~、hiroshi君~❤」」」
「見て見て木村君、みんなからこんなに貰っちゃった~。」
嬉しそうに高宮が掲げるモノ。それはパーク内で販売されている各種容器に入ったポップコーンであった。
なに、あの短時間で各販売店舗から買って来ただと?吉野さん、これ全部そろってるって本当に?凄いな”hiroshi”君ファン。陸上選手もびっくりだ。と言うか後ろの方で満面の笑みでぶっ倒れてるのって、購入して来てくれたファンの子たちですか?
スタッフさん、急いで彼女たちを医務室へお願いします。
先程からニヘラニヘラ笑う高宮。そのお花畑の雰囲気に誘われるようにどんどんと増える見物人。これ既にパニック寸前だぞ。遠野ディレクター、如何しますか?これ一度避難した方がいいんじゃないでしょうか?
俺は急ぎパーク広報部吉野さんへと目配せをする。
「それでは皆さんを本日特別にプリンセス城の貴賓室へとご案内いたします。」
吉野さんはそう言うとパークキャストたちに指示を出し、俺たちをプリンセス城へと案内するのであった。
「うわ~、凄いよ木村君、ここからだとディスティニーランドを一望出来るよ。」
窓に張り付き感嘆の声を上げる高宮。
俺たちは今このアミューズメントパークの中央に聳え立つプリンセス城の貴賓室に来ていた。
この場所はそれこそ世界トップクラスのVIP専用の場所であり、テレビカメラが入るのは今回が初との事。吉野さん、実はかなり上層部の人間のようだ。
「おぉ、いいねいいね、やっぱり俺様クラスになればこれくらいの待遇は当然だよな、今度プライベートで利用してやるからありがたく思えよ。」
松村紫音、絶好調の様である。でも松村先輩、それって絶対無理だから。せめて石油王とお友達になってから来てくれ。
端の方では遠野ディレクターと吉野さんが何やら話し合っている。パーク内の食べ物の紹介?食事のシーンが欲しい?いや、無謀だろう。なんだったら俺や石川先輩たちで買い物シーンを別取りした方が安全ではないのか。それこそ食事自体はここで行って編集とナレーションで上手い事紹介した方がいいのではないか?
俺は窓から見えるプリンセス城の周りの様子を指さす。
そこにはどこから情報を聞きつけたのか、黒山の人だかりの光景が広がっているのであった。
瞳を潤ませ上目使いで俺に訴えかける高宮。
”ドサドサドサ”
周囲から聞こえるスタッフや見物人の倒れる音。
「あ~ん、私の”hiroshi”君、今すぐこの胸で慰めてあげる。」
「トナルドよ、トナルドのぬいぐるみを買ってくるのよ!」
「ブフォ、美少年同士の絡み合い、尊い。」
周りから聞こえる会話が大変危険だ、色んな意味で。
「ねぇ木村君、ニッキーさんもトナルドさんもみんないい子なんだよ?」
執拗に上目使いで瞳を潤ませる高宮、鬱陶しいわ!
普段の理想の王子様然としたお前は何処へ行った、シャキッとせんかシャキッと!
「え~ん、木村君が怒った~。」(涙目)
え~い、分かったから。キャラメル味のポップコーンを買ってやるから、大人しく仕事しろ!
「えっ、本当!?僕ね、デスティニーランドでポップコーンを食べるのが夢だったの。あのねあのね、ちゃんとキャラクターの容器に入れてね。この容器は次にポップコーンを買う時も使えるんだからね。今は四十周年の特別仕様なんだよ♪」
花の様な笑顔でスキップをしだす高宮、こいつがこんなお花畑になるなんて誰が予想した。
「吉野さん、今高宮が言った事は本当なんですか?ポップコーンの容器が特別仕様って奴ですが?」
俺は急いで話題を吉野さんへ振る。ちゃんと仕事をしなければ、このグダグダを続ける訳には行かない。
「はい、ひろし君はよくご存じでしたね。今パーク内の各店舗で四十周年特別ポップコーンを販売しています。それぞれの店舗で違ったキャラクターの容器をご用意していますからぜひ集めてみてください。」
水を得た魚の様な流れる解説、広報部吉野さん、流石だ。
「松村先輩も御一ついかがですか?ここのポップコーンは定番の塩味だけでなくキャラメル味や抹茶味チョコレート味やイチゴチョコ味など様々な味が楽しめると評判なんですよ?」
(小声で)
”それに松村先輩がポップコーンを食べる姿を全国の視聴者が見たら、それこそメロメロです。ファンだけでなく放送局のお偉方や事務所のお偉方もご満悦、CMの仕事にも弾みになるのではないかと愚考いたします。”(ニヤリ)
「そうか?仕方がねえな、後輩にそこまで頼まれたんじゃ断れねえじゃねえか。どれ一つ、うん、このキャラメル味、甘さの中に仄かなほろ苦さがあって旨いんじゃないか?飽きの来ない癖になる味だぞ。木村、お前も食べてみろ、なかなかイケるぞこれ。」
「ありがとうございます。本当だ、松村先輩の言う通りだ。これならいくらでも食べられますね。松村紫音お墨付きの味って奴です、本当に美味しい。」
「そうだろうそうだろう、俺が言ってるんだ間違いないっての。」
パークキャスト広報部吉野さんも安堵のコメント。こういう仕事をしてください、松村先輩《馬鹿二号》。
「え~、みんなこれ貰っちゃっていいの?本当に?ありがとう~♪」(花の笑顔満開)
「「「きゃ~、hiroshi君~❤」」」
「見て見て木村君、みんなからこんなに貰っちゃった~。」
嬉しそうに高宮が掲げるモノ。それはパーク内で販売されている各種容器に入ったポップコーンであった。
なに、あの短時間で各販売店舗から買って来ただと?吉野さん、これ全部そろってるって本当に?凄いな”hiroshi”君ファン。陸上選手もびっくりだ。と言うか後ろの方で満面の笑みでぶっ倒れてるのって、購入して来てくれたファンの子たちですか?
スタッフさん、急いで彼女たちを医務室へお願いします。
先程からニヘラニヘラ笑う高宮。そのお花畑の雰囲気に誘われるようにどんどんと増える見物人。これ既にパニック寸前だぞ。遠野ディレクター、如何しますか?これ一度避難した方がいいんじゃないでしょうか?
俺は急ぎパーク広報部吉野さんへと目配せをする。
「それでは皆さんを本日特別にプリンセス城の貴賓室へとご案内いたします。」
吉野さんはそう言うとパークキャストたちに指示を出し、俺たちをプリンセス城へと案内するのであった。
「うわ~、凄いよ木村君、ここからだとディスティニーランドを一望出来るよ。」
窓に張り付き感嘆の声を上げる高宮。
俺たちは今このアミューズメントパークの中央に聳え立つプリンセス城の貴賓室に来ていた。
この場所はそれこそ世界トップクラスのVIP専用の場所であり、テレビカメラが入るのは今回が初との事。吉野さん、実はかなり上層部の人間のようだ。
「おぉ、いいねいいね、やっぱり俺様クラスになればこれくらいの待遇は当然だよな、今度プライベートで利用してやるからありがたく思えよ。」
松村紫音、絶好調の様である。でも松村先輩、それって絶対無理だから。せめて石油王とお友達になってから来てくれ。
端の方では遠野ディレクターと吉野さんが何やら話し合っている。パーク内の食べ物の紹介?食事のシーンが欲しい?いや、無謀だろう。なんだったら俺や石川先輩たちで買い物シーンを別取りした方が安全ではないのか。それこそ食事自体はここで行って編集とナレーションで上手い事紹介した方がいいのではないか?
俺は窓から見えるプリンセス城の周りの様子を指さす。
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