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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第431話 説明を求めます

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シトシトと小雨の降る森。木々から滴り落ちる水滴が下草に当たり、その葉を大きく揺らす。呑気に葉をんでいたカタツムリはその揺れに驚き、急いで角を引っ込めた。

窓の外に広がるのはそんな季節の風景。
テーブルに出された紅茶を口に運び、雨の日もまたいいものだと感慨にふける私。

「そろそろお話しよろしいでしょうか?」

あ、順子ちゃんお待たせしてましたか、それは申し訳ない。
え~っとそれで御用と言うのは昨夜の件と言う事でしょうか?そうですか、それで何をお話しすれば?最初から話せ?お二方とも現場に居られたじゃないですか。いいからやれ?まぁ良いですけどね。

昨日はここで午後のティータイムを楽しんでいた時に順子ちゃんが"当主交代の儀式を忘れてた~"とか言って部屋を飛び出したのがそもそもの始まりでしたよね。
俺としては古い家系には色んな儀式や風習があるんだな~くらいの認識でした。

"ズルズルズル"

で、俺の中ではその話しは終わっていたんですけど、夕食後にまったりしていたらマイマザーにいつもの如く拉致られましてね、連れて来られたのが学園の校庭だった訳です。
なんか増山さんを中心として儀式の準備をなさってたんで大人しくしておりましたです、はい。
しばらくして儀式が始まって、順子ちゃんは巫女装束で頑張ってましたね、格好良かったですよ。
そしたら朱音さんと朱音さんのお姉さんがネオンライトみたいな演出で登場したわけです。
参加者はみんな感嘆なさってたんでかなりウケたと思いますよ、イリュージョンって奴ですね。
それで粛々と儀式が進めば良かったんですけどね?お姉さんが暴走始めちゃったじゃないですか。
当主交代の儀式って言ってますけど要は契約更新ですよね?"ひろし君を我が伴侶とせよ"ってお姉さん馬鹿なんですか?
順子ちゃんも何もあんな話しまともに付き合うことないのに、みんな人がいいんですね。
で、埒が明かなくなったお姉さん、威圧始めちゃったじゃないですか。あの辺は流石は朱音さんのお姉さんだなって思いましたけど、思い通りに行かないからってあんなに気配ぶっ放しちゃアカンでしょう。
だもんで背後に回ってスパーンってやったわけです。この張り扇、力の通りが目茶苦茶良いんですよね~。
お姉さんタジタジだったでしょ?それで落ち着いたところで契約更新どうするのよって聞いたら"土地から離れられないのに男求めて何が悪い"でしょう?そんな人間この国には山程いるっての。
なんか土地との繋がりがどうとか言ってたんでNoirモードで土地の力を掌握して繋がりをぶった切って見ました。

ここまで質問ある?

Q 朱音姉妹を何だと思ってますか?
A 学園の特別用務員。土地の力を使い、土地の澱みを修正する特殊技能職。俺の気配支配みたいな技術を使う。

Q この度の当主交代の儀式とは何だと思っていますか?
A 古い名家に伝わる習慣。お姉さんが暴走するまでは数々の演出が入った見応えのある儀式であったと思います。特に登場の時のイリュージョンは素晴らしい。あれはお金が取れるレベルですね。

Q 姉者が本気で力の行使を行おうとした時、力が霧散したのは何故?
A お姉さんの力って実は土地の力なんだよね。気功で言うところの外気功?外の力を取り込み己の力とするみたいな感じ?だもんで、周辺の力を支配してみました。外気功的なのは俺も得意よ、"Noir"や"支配者"やるときはいつも使っているしね。気配操作の応用?かなりの腕前と自負しております。

ん?二人して頭抱えてどうしたの?
続きを話せと、分かりました。

土地を掌握してみて分かったんだけど、ここってかなり他所からちょっかい掛けられてたのね。他方に伸びる流れが何本もね。だもんでその辺はまるっと修正してあります。あと学園内に張り巡らされていた術式?とやらは多分全部消えてますんで悪しからず。俺ってそう言うの全く分からないんだよね。簡単に言えば全部取り替えたって感じ?朱音さんも土地との繋がりが強くなってるでしょ?

"ズルズルズル"

そうそう、モードチェンジの話しがあったよね。これってハニワの機能。
日曜日の朝にやってる魔法少年シリーズのアニメがあるじゃない?魔法とは名ばかりの肉弾戦やっちゃう奴。あれってユーロッパでも大人気なんだって。
ハニワの奴は精霊計画でも初期の作品だから技術者のロマンがふんだんに盛り込まれてるんだと。衣装チェンジとメイクアップは魔法少年の基本なんだって。それで強くなる訳じゃないんだけどね、気分よ気分。
あらかじめ取り込んである衣装を瞬時に変換、超便利。メイクも一度登録しておけば次からは一瞬です。朝のお姉さま方が泣いて喜ぶ機能ですよね。
別にハニワを布状にして身体を覆う必要はないんだけどね、演出ですよ演出。
それと小太刀だっけ?あれは子忘れ島のお猿さんにもらった奴。家においてあっても物騒なんでハニワに取り込んで貰いました。
ハニワがやたらテンション上がってたから相当物は良かったらしいよ。観たいの?別にいいけど。

ハニワ、モードチェンジ"小太刀"。
光輝く左手のブレスレット。その光が収まった時、テーブルの上には一振の小太刀が鎮座していた。
漂う清廉な気配、抜かれた刀身の美しさは魂を吸い込むがごとし。神刀と言っても過言ではないそれに、二人はただただ息を飲むのであった。
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