男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第407話 芸能界、闇が深いわ~。

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こんちは、町田さんいる?

「あ、若。こっちに顔を出されるなんて珍しいですね。町田さんは第二会議室で北川統括と打ち合わせだと思います。そちらに顔を出されてはいかがですか?」

ありがとう、でも皆俺の事を若って呼ぶのね、のっぺりで良いって言ってるのに。

「いえいえ、若は若ですから。ではごゆっくり~。」
「「「若、いらっしゃいませ。」」」

・・・もういいです。
ここスタジオS&Bでの俺の呼び名はいつの間にか"若"で固定化してしまった。以前はまだのっぺり君とか大地君とか言ってくれる人もいたのに、俺が何をしたって言うんだ~。(グスン)

"コンコンコン"
"どうぞ。"

打ち合わせ中ごめんね。
例のヘッドハンティング計画どうなってるかと思って。

「あぁ、若。丁度良かったです、いまその事について報告を貰っている所だったものですから。
じゃあ町田、続けてくれるかしら。」

「はい、若のお話しの通り、ひろし君にアプローチを掛けるアイドル・女優の中で明らかに不自然なモノについて本人に接触を試みた所、いずれもハニートラップである事が判明致しました。
現在彼女らの意思確認のもと、事務所移籍等の提案を行っているところです。」

何か余計な仕事を増やしちゃってごめんね。それで何人かはうちに来てくれるって?

「そちらは私から、夏川きららをはじめ三名の移籍が決定しております。他に二名ほど別の事務所を紹介致しました。」

えっ、そんなにいたの?結構大々的にやってたんだね。

「いえ、対象は更に五名ほど。彼女らに関しては本人たちに問題があったり移籍の意思が見られないため、若のお言葉通り放置と致しました。」

おいおい、彼方さん馬鹿なの?次々突貫かませばいいってもんじゃないのよ?そんなんで上手く行くくらいなら、ひろし君今頃嫁さんだらけよ?

「向こうとしては成功の是非よりも女性関係が盛んであると言う情報の方が大事なのではないでしょうか?今回ハニートラップ要員として選らばれた女性たちも、有名無名に関わらず各事務所でのリストラ対象であった様ですし。」

ハハハ、それじゃあ彼女らに提示された成功報酬も形だけ?やっぱり俺芸能界嫌い、そんなんばっかりじゃん。
うちに来た人間に関しては良く彼女らの希望を聞いた上で方針を決めてあげて。うちはやりたい事をやるってのがモットーだからね。
ひろし君に関してはスタジオCherryと情報共有の上信者の暴走を抑える方向で。信者にはこちらの取り組みと今回の顛末を情報として流して、一つのエンタメとしてひろし君の手腕を楽しんでもらう様に誘導すればいいんじゃない?
君たちのひろし君は凄いんだって感じで。

「・・・流石は若、その発想はありませんでした。ではひろし君ファンクラブ会員限定コンテンツとして情報を流させて頂きます。」

ちゃんと面白コンテンツにしてね、茶化す感じでいいから。要は呆れさせて信者の敵がい心を無くさせるのが目的だからね。最後にひろし君を悲しませないでねってつければ暴れる事もないでしょう。

俺の言葉にポカンとした顔の二人。やっぱり若は若ですねってどういう意味でしょうか?それって褒めてます?貶してます?
いつもの事ですが!(解せん)


(side : 黒幕たち)

「東山プロデューサー、例のひろし君包囲網、その後の経過はどうなっています?」

とある芸能事務所の一室、二人の人物が紅茶を飲みながら談笑していた。

「あぁ、あれですか。頑張っているもいる様ですよ、精々夢に向かって突き進んで行って欲しいものです。」

「あら、東山プロデューサーは彼女らの頑張りに余り興味が無いようだけど?ひろし君の件はどうでもいいのかしら?」

紅茶を口に含み不敵な笑みを浮かべる男は、女性に向かい語りかけた。

「社長、今回の件はその計画が実行された時点で我々の目的は達成されているのですよ。
では我々の目的とは何か?それは大まかに分けて三つになります。
一つ、ひろし君の評判を落とす事。実はこれに関しては余り重要ではありません。大手事務所のオーダーはあくまでも多くの女性とのスキャンダルです。あとはマスコミが勝手に煽ってくれる。彼らは世間が騒ぐような内容であれば相手が誰であれどうでもいいんですから。
二つ、大手芸能事務所とのコネを構築する。今回ひろし君を敵視する多くの事務所とのコネを作る事が出来ました。これは我が事務所が推し進めているグループアイドル計画の大きな後押しとなります。やはりこの業界は横の繋がりが重要ですからね。
三つ、各事務所でのリストラ。我が事務所の夏川きららをはじめある程度名も顔も売れている人間はこちらの一方的な思惑で解雇する訳にも行きませんから。かと言って他所に移籍と言っても引受先がね。今が一番でこれから落ち目の高給取りを引き受けようと言うもの好きはいませんよ。他の事務所でも同じようなお荷物を抱えている所は多かったようで、彼らにはかなり喜ばれましたよ。
彼女達も頑張ってひろし君を落としてくれればいいんですよ、ちゃんと大手事務所の椅子は用意されているんですから。それが自分たちの望み通りかどうかは私の知るところではありませんがね。
これからはより大衆に密着したグループアイドルの時代です。次々と新たな原石を発掘して消費していく、一人に拘って事務所の命運をかける様なハイリスクな時代は終わったのですよ。

確かに彼の言う様に輝く絶対的カリスマの出にくい今の時代、アイドルとは消耗品なのかもしれない。自らの判断の正しさに笑みを深める二人。だが彼らは知らない、彼らが不要と切り捨てたアイドルたちが再び脚光を浴びると言う事を、そして絶対的カリスマとして不動の地位を確立していくと言う事を。
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