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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第404話 何かいる (2)

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簡素な部屋にある長机。そこに置かれた二つの湯呑からは温かな湯気が立ち上っている。”こんな物しかないけど”と言って警備員さんが持って来てくれたお茶菓子。
緑茶にはやっぱりせんべいや餡子菓子など大和を感じさせるものがよく似合う。

”バリッ”
折角なのでおせんべいを一枚。醤油の風味が口に広がりとっても美味しい。固さを気にせずバリバリ食べれる十代の歯ってとっても大事。プラークコントロールですよお姉さま方、歯と歯茎の健康が入れ歯のない豊かな人生の礎になるのです。
ちゃんとお口のケアしてます?食生活が乱れ過ぎてもお口はボロボロになるんですよ、夏川さん?

俺は目の前で何がどうなっているのか分からないと言った顔の女性に、そう語り掛けた。

正門前の出来事、あれってどう見てもマッチポンプのソレであった。
熱愛報道の渦中にある大人気アイドルがお相手のアーティスト”hiroshi"の通学時間帯にこっそり会いに来る。しかも多くの報道陣がそれを見守る中ってこれを考えた奴ベタ過ぎだろう、もうちょっと捻ろうよ。
せめて街中密会デートを装うとかさ~、なぜに朝の通学時間帯を狙う。ウチの学園ユーロッパ王国王宮御用達よ?報道陣全員SPにしょっ引かれちゃうから。
そうなると第四王女殿下お忍び留学、ひろし君に新たな恋の予感って大騒ぎになっちゃうんでサクッと国家権力にてご退場願いましたが。
男性捜査課の皆さんご苦労様です、こないだはお世話になりました。その後吉川からの差し入れいただかれましたか?ケーキがホール何個も届いたと、課の人間全員大満足であったと、それはよろしゅうございました。
マスコミ連中の相手は慣れている?それは頼もしいお言葉、後はよろしくお願いいたします、今度またご挨拶に向かわせますんで~。
勝手にそんな事言って大丈夫なのかって?こないだの一件で私の発言力も馬鹿上がりしてますから、これくらいなら無問題です。

いや~、あの人たち本当ノリが良いわ、こっちとしては助かる助かる。
で、一人残された子の不審者に事情をお聞きしようと言う訳ですね。
梶原さんは良いのか?ちゃんとレインで連絡済み、橋本先生には警備主任経由で話しが通ってます。

「あ、あの、ここってどこなんですか?私その、ま、マネージャーさんを呼んでください!」

あ、そう言うこてこての展開は良いんで、そう言うのは主人公様方イケメン連中相手にやっていただけます?私見ての通り学園の裏方何で、騒ぎさえなければお涙頂戴の展開なんてどうでもいいですから。
俺の余りのいい様に、お口あんぐりの大人気アイドル。うん、この顔ネットに上げたら炎上間違いなしだな。

でも仕事とはいえ大変ですよね、事務所の方針?裏で暗躍するプロデューサーか大手芸能事務所がいるとか?
其方の業界、足の引っ張り合いが激しいらしいじゃないですか。”hiroshi”君の人気を妬んでスキャンダルを起こしたとかそんなところとか?
あわよくば自分の男にしようって下心も見え隠れって感じですかね~。

顔面蒼白でお口パクパクの夏川さん、おいおい芸能人、もう少し頑張れや。

”ズルズルズル”
出されたお茶を啜りお茶菓子を頂く。
お、第四王女殿下の御出勤だ、本当に間に合ってよかった。あれに巻き込まれたらこんなどころの騒ぎじゃすまなかったからな。
今度は大和政府が出張って来る?冗談じゃないわ。

「あの、・・・」
俺が窓の外を眺め最悪の展開回避にほっと胸を撫で下ろしていると、ようやく夏川きららがその重い口を開き始めた。
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