男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)

@aozora

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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第403話 何かいる

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「行って来ま~す。」
市の回収用ゴミ袋を引っ提げて玄関を出る。朝食の準備、片付け、洗濯、掃除、朝は何かと忙しい。毎朝これらの仕事を淡々とこなし、それぞれのスケジュール迄しっかり管理ってノエルさんどれだけ優秀なのよ。
今更ながら凄い人が来てくれていたんだなと、出会いの妙に感謝申し上げたい。

「あれ、おはよう。佐々木君もこの電車なの?」

背後から不意に声を掛けられ振り向くと、そこにはクラスメートの梶原さんがスクールバックを持ち立っていた。

おう、梶原さんおはよう。冷静に考えたら同じ町内から同じ学園に通うんだから今まで会わなかった方が不思議だよな。いや、会ってたのかもしれないけどお互い認識していなかったって所か?俺って格好が変わると別人になるらしいし。

「そうね、多分分かっていなかったのかも。佐々木君はいつもこの時間帯なの?」

あぁ、大体そうかな?特にはっきり決めてはいないけど。俺電車通学って初めてでさ、始めの頃はなんか子供みたいにワクワクしちゃって、やたら早く家を出てたんだよね。最近じゃそれも落ち着いて余裕をもってこの時間って感じかな。
基本学園での俺って顔絡みのトラブルがあるから少し早めに行動する感じにしてるんだよね。街中なんかでは逆に何にもないんだけどね。

電車が到着し、二人して同じ車両に乗り込む。俺にとっては何気ない朝の行動。でも梶原さんは驚いた顔をして俺の事を見詰めて来る。

「ねぇ佐々木君、佐々木君は男性専用車両って利用しないの?今どきの男子はみんな専用車両で通学するって聞いてたんだけど。」

あぁ、あれね。混雑がひどい時間帯は便利だよね、空いてるし。そうは言ってもガラガラって訳でもないんだけどね。俺の場合乗客側を向いてれば基本問題ないかな。なぜかみんな優しい目で見てくれるんだよね。一度窓の外を眺めていて痴女に会いそうになったこともあったけど、振り向いて相手の顔を見たら物凄い罪悪感を感じた顔をして全力で謝られた。
”こんなに頑張って生きてる男性に私はなんてことをしようと、・・・生きていてごめんなさい。”って言われた時にはさすがにドン引きしたけど。
通勤途中だろう知らないお姉さんに”頑張って、私も頑張るから”って声掛けられた時ってなんて返すのが正解だと思う?相手に悪気が無いだけに無下にも出来ないし。

「何か私今までの自分が恥ずかしくなって来た。自分で望んで桜泉学園に入ったのに上手く行かないからって不満ばかり言っていてごめんなさい。佐々木君に比べたら私なんて・・・。佐々木君、辛い事があったら何でも私に言ってね?解決出来るなんておこがましい事は言えないけど、話しくらいなら聞けるから。」

梶原さん、その慈愛の籠った眼差し止めて。大丈夫だから、別に悩んだりしてないから、この顔でもちゃんとタレントのっぺり佐々木として活躍出来てるから。
なぜか俺の日常の話しをすると皆して可哀そうな子を見る様な目に代わってしまう。解せん。

学園の最寄り駅に到着、その後も梶原さんと色んなおしゃべりをしながら正門へと歩いて行く。クラスメートの女子生徒とおしゃべりしながらの通学、俺って今青春している?ついに始まる夢のスクールライフ?
この感動は誰に伝えたらいいんだろう。まずは絵実にでも、・・・いい笑顔で張り倒されるな、よし。己の胸の内にしまっておこう。

ん?

「どうしたの佐々木君?」
心配そうにこちらを見る梶原さん。

いやね、あれって何かなと思って?
指差す方には数台の車と大きな望遠レンズカメラを構えた怪しい人集ひとだかり。

「あぁ、あれって芸能記者とか雑誌カメラマンじゃない?流石に中等部はダンカンの規制が厳しいけど高等部以降になるとその辺緩くなるみたいで、たまにこうやって強引な取材を行う人たちも出るって聞いた事があるわよ。多分ひろし君絡みの取材じゃないかな?一応三好さんにレインしておくね。」

ふ~ん、よくある事なのか?でもな~んかあいつらの動きっておかしい気がするんだよな~。
隣でレインをする梶原さんをよそに、俺は連中が時々視線をやる方向へと目をやる。
あ、何かいた。

俺は気配を消しソレの背後に回り、声を掛けた。

「ウチの学園に何か御用ですか?さん。」
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