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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第377話 何をしに来たの? (5) (side : クリスティーヌ・カサンドラ)
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「傾注、山姫様より皆にお言葉がある、心して聞くように。」
「「「レンジャー!」」」
「諸君、これまで本当に良く訓練に励んでくれた。確かに諸君には体力はあった、だが基本的な森の知識、そして森に対する愛が足りなかった。だが今はどうだ、一人一人の胸の内に灯る炎、それこそがレンジャー魂。
諸君は生まれ変わった、君たちは立派なレンジャーなのだ。
この山での訓練は今日で終わる、だが忘れないで欲しい、どんなに離れていても我々森を愛する者の魂は繋がっていると言う事を。」
「「「レンジャー、アリガトウゴザイマシタ、レンジャー」」」
「では最後に森の守護者たる私からのプレゼントがある、受け取って欲しい。」
空気が変わった。
上空から差し込む祝福の光、草が、花が、森の木々たちが。
その全てが彼らを祝福するかのようにキラキラと輝いている。
そして山姫はその背中に光を背負い、レンジャー隊員たちに祝福を授ける。
それはまるで一枚の宗教画の様であった。
「では皆達者で暮らせよ、すべての森を愛する者たちに。」
掲げられた右腕、それに応呼する様に皆が右腕を天高く掲げる。
「「「レンジャー、スベテノモリヲアイスルモノタチニ、レンジャー。」」」
皆が涙していた、それは感動の涙なのか、安堵の涙なのか。だが皆が笑顔であった事だけは変わらない。
「では隊長、皆の事を頼む。装備品は武器弾薬はヘリで、その他に関しては各自持ち帰りで下山し、輸送車にて撤収するように。その後の事は任せても?」
「はい、山姫様もお元気で。いずれ私の娘を連れて尋ねてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、いつでも歓迎するよ。我々は共にレンジャー、世界は違えど魂は繋がっているのだから。」
共に握手する両者、種族を超え人種を超え、そこには固く交わされた友情があった。
「では諸君さらばだ、いずれどこかの山で。」
”バラバラバラバラ”
飛び立つ二台のヘリ。
「「「ヤマヒメサマオゲンキデ~」」」
山を下りて行く、気持ちのいい若者たち。
一つの出来事が終わった。
山にはまたいつもの静寂が訪れるのであった。
「「えっと、我々はどうしたらいいのでしょうか?」」
不意に声を掛けたのは、ユーロッパ王国友好使節団一行のジェームス卿と私クリスティーヌであった。
行き成り目の前で繰り広げられた感動の別れ、私たちは完全に置いてきぼりにされてしまっていたのだ。
「あ、すまんすまん。先ほどは毎度ありがとうございました。銀行口座の方はスマホで無事入金を確認いたしましたんで、問題ございませんよ?
で、あなた方は他に何か御用でも?」
「あ、いえ、では我々の間には無事友好関係が築けたという認識でよろしいのでしょうか?大使館ではかなり荒ぶっていたと聞いていたので少し拍子抜けしてしまって。」
本当になんと言う事はなく話が終わってしまった。国家存亡の危機とはいったい何の事だったのだろう?
「大使館?あぁ、あれですか。それでしたら私じゃありませんよ?大使館で激怒されたのはこちらの土地の持ち主です。」
「「えっ?」」
何を言ってるのだこの神性は、神たる自身以上の者など居られるはずがないであろうが。
「えっと、私ここの管理を任されている者でして、持ち主は別にいるんです。聞いていませんか?大和政府は知っているはずなんですが。
一度確認されて其方を尋ねられるといいですよ。それでは私はこれで、無事に下山出来る様皆様の疲労は抜いておきますね。」
”パンッ“
一拍の拍手、すると今までの疲れが嘘のように無くなり身体が羽のように軽くなるのを感じるのでした。
「それでその持ち主と言うのは・・・。」
そこにはもう誰もおらず、ただ我々の一団が取り残されているだけでした。
『これからどうするのだクリスティーヌ卿、まさかこのままおめおめと帰国する訳にも行くまい?』
こちらに疑問をぶつけるジェームス卿、彼の苛立ちは周囲の者を酷く怯えさせるものでした。
『無論向かいますよ、その土地の持ち主とやらの元へ。』
私たちは急ぎ下山し(ものすごく身体が軽く行きの半分以下の時間で下山出来た。)、大和政府から知らされていたこの山の持ち主である霊能者の元へと向かうのでした。
「「「レンジャー!」」」
「諸君、これまで本当に良く訓練に励んでくれた。確かに諸君には体力はあった、だが基本的な森の知識、そして森に対する愛が足りなかった。だが今はどうだ、一人一人の胸の内に灯る炎、それこそがレンジャー魂。
諸君は生まれ変わった、君たちは立派なレンジャーなのだ。
この山での訓練は今日で終わる、だが忘れないで欲しい、どんなに離れていても我々森を愛する者の魂は繋がっていると言う事を。」
「「「レンジャー、アリガトウゴザイマシタ、レンジャー」」」
「では最後に森の守護者たる私からのプレゼントがある、受け取って欲しい。」
空気が変わった。
上空から差し込む祝福の光、草が、花が、森の木々たちが。
その全てが彼らを祝福するかのようにキラキラと輝いている。
そして山姫はその背中に光を背負い、レンジャー隊員たちに祝福を授ける。
それはまるで一枚の宗教画の様であった。
「では皆達者で暮らせよ、すべての森を愛する者たちに。」
掲げられた右腕、それに応呼する様に皆が右腕を天高く掲げる。
「「「レンジャー、スベテノモリヲアイスルモノタチニ、レンジャー。」」」
皆が涙していた、それは感動の涙なのか、安堵の涙なのか。だが皆が笑顔であった事だけは変わらない。
「では隊長、皆の事を頼む。装備品は武器弾薬はヘリで、その他に関しては各自持ち帰りで下山し、輸送車にて撤収するように。その後の事は任せても?」
「はい、山姫様もお元気で。いずれ私の娘を連れて尋ねてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、いつでも歓迎するよ。我々は共にレンジャー、世界は違えど魂は繋がっているのだから。」
共に握手する両者、種族を超え人種を超え、そこには固く交わされた友情があった。
「では諸君さらばだ、いずれどこかの山で。」
”バラバラバラバラ”
飛び立つ二台のヘリ。
「「「ヤマヒメサマオゲンキデ~」」」
山を下りて行く、気持ちのいい若者たち。
一つの出来事が終わった。
山にはまたいつもの静寂が訪れるのであった。
「「えっと、我々はどうしたらいいのでしょうか?」」
不意に声を掛けたのは、ユーロッパ王国友好使節団一行のジェームス卿と私クリスティーヌであった。
行き成り目の前で繰り広げられた感動の別れ、私たちは完全に置いてきぼりにされてしまっていたのだ。
「あ、すまんすまん。先ほどは毎度ありがとうございました。銀行口座の方はスマホで無事入金を確認いたしましたんで、問題ございませんよ?
で、あなた方は他に何か御用でも?」
「あ、いえ、では我々の間には無事友好関係が築けたという認識でよろしいのでしょうか?大使館ではかなり荒ぶっていたと聞いていたので少し拍子抜けしてしまって。」
本当になんと言う事はなく話が終わってしまった。国家存亡の危機とはいったい何の事だったのだろう?
「大使館?あぁ、あれですか。それでしたら私じゃありませんよ?大使館で激怒されたのはこちらの土地の持ち主です。」
「「えっ?」」
何を言ってるのだこの神性は、神たる自身以上の者など居られるはずがないであろうが。
「えっと、私ここの管理を任されている者でして、持ち主は別にいるんです。聞いていませんか?大和政府は知っているはずなんですが。
一度確認されて其方を尋ねられるといいですよ。それでは私はこれで、無事に下山出来る様皆様の疲労は抜いておきますね。」
”パンッ“
一拍の拍手、すると今までの疲れが嘘のように無くなり身体が羽のように軽くなるのを感じるのでした。
「それでその持ち主と言うのは・・・。」
そこにはもう誰もおらず、ただ我々の一団が取り残されているだけでした。
『これからどうするのだクリスティーヌ卿、まさかこのままおめおめと帰国する訳にも行くまい?』
こちらに疑問をぶつけるジェームス卿、彼の苛立ちは周囲の者を酷く怯えさせるものでした。
『無論向かいますよ、その土地の持ち主とやらの元へ。』
私たちは急ぎ下山し(ものすごく身体が軽く行きの半分以下の時間で下山出来た。)、大和政府から知らされていたこの山の持ち主である霊能者の元へと向かうのでした。
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