364 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第360話 キャンプに行こう (4)
しおりを挟む
澄み渡る青空、吹き抜ける山の風、聴こえるのは川のせせらぎ。
木々の合間に響く鳥たちの歌声が、春から夏へと移り行く季節の変化を教えてくれる。
山キャンプ、それは都会の喧騒を離れ大自然に包まれる心の旅路。
"ガッチャガッチャガッチャ"
"ちょっとこっちの荷物運んでくれる~。"
"食材の準備は足りてるかしら?"
"薪持ってきてよ、火の着け方ってどうやるの~?"
ごめんなさい、嘘言いました、めっちゃうるさい。
大体一学年二百八十二人でキャンプってもう軍隊の演習じゃん、大規模一個中隊じゃん。大自然の中で男女の交流?無理無理無理、あっちこっちで大騒ぎだし、この企画出した奴キャンプに夢見過ぎ。
それに普通薪に火なんて着けられないから。
着火剤があったって失敗する奴は失敗するから。
男の子の格好いい所が見てみたい?小山君頑張ってるけど、さっきから煙しか上がってないからね?
うちのクラスの他の連中は・・・はぁ~。それはそうだよね、ここのスポーツ特待生になるほど部活に打ち込めばキャンプなんかしてる暇はないよね。
へいへい、そう言った雑事はおっちゃんがパパッとやりますんで、お料理の方をお願い出来ますか?
あ、私サバイバルは慣れてますので。
持参のコンバットナイフでサクサク薪を加工しササッと釜に火を焚くのっぺり。
あまりのあっさり振りに誰もが"なんだ、実は簡単だったんじゃん"と勘違いしてしまう程。
一応作業中に火付けのレクチャーもしたのだが、聞いていたのかどうか。
ま、今後火付けの機会なんて滅多にないだろうから良いんですけどね。
「お~い、のっぺり。肉は何処よ肉は?」
ん?肉ならそこに出てるじゃないですか、どれがウチのクラスの分ですが?
「はぁ~?何言ってるのよ、私たち食べ盛り女子がこれっぽっちの肉で足りるはずが無いじゃないの、もっと肉を寄越しなさいよ肉を!!」
えぇ~、そんな事を私に言われましてもですね~。え、他の皆さんも何故に私の顔を見る。
お前学園にコネがあるんだろうから何とかして来い?
イヤイヤイヤ、無いからね?本当にコネなんか有ったらもっと待遇良くなってると思わない?この学園にいる事自体がおかしい?今更それ言う?
分かりましたから、何とかしますから。
それじゃ、那須さんと沢田、そこのバケツ持ってついて来て。
俺は仕方が無く川を目指し歩いて行った。
「ねぇ、佐々木。バケツ持ってこんな所に来たけどどうするのよ?まさか水汲んで行くなんて言わないでしょうね。」
後ろからついて来る沢田が疑問を口にする。俺はここに来る途中で拾った手ごろな木の棒をコンバットナイフで加工しながら答えた。
山のキャンプで川があったらやる事は一つでしょ?
”ブンッ“
「「えっ?」」
”ピチャピチャピチャ“
俺が川に投げた木の枝の先には二十センチクラスの川魚が身体を跳ねさせていた。
那須さんって魚とか捌けたりする?
「は、はい。内臓を抜くくらいでしたら。」
それじゃ、そこに平たい岩をまな板代わりにして捌いちゃってくれる?沢田は俺が投げた魚を回収して那須さんに渡す係ね、数が多いからどんどん行くよ。
俺は事も無げに答えると次々と魚を仕留めて行った。
ほい、これで八十匹目と。
那須さんに加工された魚はある程度のが頭数が揃った段階で次々と沢田に運ばせた。その帰りに沢田が援軍を連れてきたため、魚の加工、キャンプ地への搬送、生ごみの処理は滞りなく済ます事が出来た。
どうだお前らこれで文句はあるまい、後は粗塩でも振って焼いて食え!
キャンプ地に戻ればすでにそこは楽しい昼食タイムに入っていた。
「佐々木~、飯盒のご飯が芯があって固いんだけど、どうすればいい?」
「のっぺり~、こっちはびちゃびちゃなんだけど~。」
え~い、俺はお前らのお袋さんか!そんなもん他の鍋に移して水入れて煮返してコンソメか麵つゆぶち込めばそれなりに美味しくなるだろうが。少しは工夫しろ、工夫。
「「「は~い、わかりました。パパ~。」」」
だー!パパは止めろパパは!今の世の中それシャレにならないから、精子提供義務超恐い、マジ勘弁して。
知らない女子から行き成り”父親”と呼ばれる、俺はありうるかもしれない未来に戦慄するのでした。
木々の合間に響く鳥たちの歌声が、春から夏へと移り行く季節の変化を教えてくれる。
山キャンプ、それは都会の喧騒を離れ大自然に包まれる心の旅路。
"ガッチャガッチャガッチャ"
"ちょっとこっちの荷物運んでくれる~。"
"食材の準備は足りてるかしら?"
"薪持ってきてよ、火の着け方ってどうやるの~?"
ごめんなさい、嘘言いました、めっちゃうるさい。
大体一学年二百八十二人でキャンプってもう軍隊の演習じゃん、大規模一個中隊じゃん。大自然の中で男女の交流?無理無理無理、あっちこっちで大騒ぎだし、この企画出した奴キャンプに夢見過ぎ。
それに普通薪に火なんて着けられないから。
着火剤があったって失敗する奴は失敗するから。
男の子の格好いい所が見てみたい?小山君頑張ってるけど、さっきから煙しか上がってないからね?
うちのクラスの他の連中は・・・はぁ~。それはそうだよね、ここのスポーツ特待生になるほど部活に打ち込めばキャンプなんかしてる暇はないよね。
へいへい、そう言った雑事はおっちゃんがパパッとやりますんで、お料理の方をお願い出来ますか?
あ、私サバイバルは慣れてますので。
持参のコンバットナイフでサクサク薪を加工しササッと釜に火を焚くのっぺり。
あまりのあっさり振りに誰もが"なんだ、実は簡単だったんじゃん"と勘違いしてしまう程。
一応作業中に火付けのレクチャーもしたのだが、聞いていたのかどうか。
ま、今後火付けの機会なんて滅多にないだろうから良いんですけどね。
「お~い、のっぺり。肉は何処よ肉は?」
ん?肉ならそこに出てるじゃないですか、どれがウチのクラスの分ですが?
「はぁ~?何言ってるのよ、私たち食べ盛り女子がこれっぽっちの肉で足りるはずが無いじゃないの、もっと肉を寄越しなさいよ肉を!!」
えぇ~、そんな事を私に言われましてもですね~。え、他の皆さんも何故に私の顔を見る。
お前学園にコネがあるんだろうから何とかして来い?
イヤイヤイヤ、無いからね?本当にコネなんか有ったらもっと待遇良くなってると思わない?この学園にいる事自体がおかしい?今更それ言う?
分かりましたから、何とかしますから。
それじゃ、那須さんと沢田、そこのバケツ持ってついて来て。
俺は仕方が無く川を目指し歩いて行った。
「ねぇ、佐々木。バケツ持ってこんな所に来たけどどうするのよ?まさか水汲んで行くなんて言わないでしょうね。」
後ろからついて来る沢田が疑問を口にする。俺はここに来る途中で拾った手ごろな木の棒をコンバットナイフで加工しながら答えた。
山のキャンプで川があったらやる事は一つでしょ?
”ブンッ“
「「えっ?」」
”ピチャピチャピチャ“
俺が川に投げた木の枝の先には二十センチクラスの川魚が身体を跳ねさせていた。
那須さんって魚とか捌けたりする?
「は、はい。内臓を抜くくらいでしたら。」
それじゃ、そこに平たい岩をまな板代わりにして捌いちゃってくれる?沢田は俺が投げた魚を回収して那須さんに渡す係ね、数が多いからどんどん行くよ。
俺は事も無げに答えると次々と魚を仕留めて行った。
ほい、これで八十匹目と。
那須さんに加工された魚はある程度のが頭数が揃った段階で次々と沢田に運ばせた。その帰りに沢田が援軍を連れてきたため、魚の加工、キャンプ地への搬送、生ごみの処理は滞りなく済ます事が出来た。
どうだお前らこれで文句はあるまい、後は粗塩でも振って焼いて食え!
キャンプ地に戻ればすでにそこは楽しい昼食タイムに入っていた。
「佐々木~、飯盒のご飯が芯があって固いんだけど、どうすればいい?」
「のっぺり~、こっちはびちゃびちゃなんだけど~。」
え~い、俺はお前らのお袋さんか!そんなもん他の鍋に移して水入れて煮返してコンソメか麵つゆぶち込めばそれなりに美味しくなるだろうが。少しは工夫しろ、工夫。
「「「は~い、わかりました。パパ~。」」」
だー!パパは止めろパパは!今の世の中それシャレにならないから、精子提供義務超恐い、マジ勘弁して。
知らない女子から行き成り”父親”と呼ばれる、俺はありうるかもしれない未来に戦慄するのでした。
1
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる