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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第359話 キャンプへ行こう (3)
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「・・・・」
”なぁ篠原、何がどうなってこうなってるんだ?”
”私が知る訳無いでしょうが、大体この子チェイサーの時も参加してなかったのよ?分からないわよ。あんたが何かしたんじゃないの?”
”えぇ~、俺何もしてないって。部活見学で弓道部行った時も一回体験させてもらっただけですぐ退散しちゃったんだぞ。”
突然の那須さんの申し出、いや嬉しいんだけどそれよりも戸惑いの方が大きくてですね。
本当はハブになった俺がどこかの班に適当に混ぜて貰って裏方をやりつつ好感度を上げるって言うゲスな計画を立てていたのですが、こうなっては計画の変更をするしかありません。
悪い篠原、沢田と兵頭呼んできて。あと誰か組めそうな子いる?
「それなら陸上部の上田ちゃんがいいんじゃない?彼女中距離のレギュラー狙ってたからSaki様イベントでも活躍してたでしょ?」
はいはい、覚えてる。結構いい線行ってた子でしょ?前回は残念だったけど後二~三回も経験すれば完走できるんじゃない。
「わかったよ、那須さんどうもありがとう。俺の方はこちらの篠原さんと沢田さんに兵頭さん、あと上田さんがメンバーになりそうだけど他に二人ほど心当たりあるかな?」
「そうですか、ありがとうございます。残りのメンバーは私に心当たりがあるのでお任せください。決まり次第篠原さんに連絡すればいいでしょうか。」
「あぁ、そうしてくれると助かるよ。それじゃ、同じ班員同士よろしくね。」
俺たちは軽く握手を交わし、キャンプの班決めは無事終了するのでした。
(side:那須葵)
「葵ちゃんお疲れ~、もうお風呂入った?」
ここは桜泉学園運動部女子寮の談話室。この私立桜泉学園は全国から女子生徒が集まる名門私立校であり、地方出身者の為の施設も充実している。女子寮は他にも一般生徒用の物も用意されているが、スポーツ特待生はその性質上食事や生活スケジュールが他の生徒と異なるため、それ専用の寮が完備されているのだ。
「いえ、まだですが内海さんは今出られたところですか?」
彼女は同じクラスの内海美月さん。柔道部の期待の星だ。
「いや~、練習後は汗だくだからシャワーを浴びて来るんだけどさ、やっぱりお風呂に浸からないと疲れが翌日に残るんだよね~。その辺若さでどうにかならないもんかね全く。」
ケラケラ声を上げて笑う彼女。彼女にはいつも元気を貰っている。
「所で葵ちゃん、今日の一件如何しちゃったのさ?何で行き成りあののっぺりと組もうだなんて言い出したの?私は別にキャンプなんて誰と組んでも良かったから気にしないけど。」
そう、彼女には佐々木君との班決めの時に同じ班になって欲しいとお願いしていたのだ。
「お、二人してなんの話しだ?私も混ぜてくれよ。」
今談話室に入って来たのはやはり同じクラスの一ツ橋彩夏さん、彼女にも同様に協力を仰いだ経緯がある。
「今ちょうど葵に今日の班決めについて聞いていた所なんだよ。彩夏も気になるだろ?何でのっぺりと班を組もうと思ったのか。」
「そうだな。葵は入学当初から”私には心に決めた人がいますので”って公言していたくらいだから今更のっぺりにって訳でもないだろうし、気になると言えば気になるな。」
二人とも私が佐々木君と同じ班を組もうとした事がよほど意外だったのだろう。
私は二人の目を見て胸の内を語る事にした。
「お二人の所には佐々木君とAクラスの木村君が部活見学に来られませんでしたか?」
「お、来たぞ。そう言えばのっぺりの奴が水泳は筋肉のトレーニングに最適だからたまにプールを利用したい様なことを言ってコーチに断られてたな。あのコーチイケメン大好きだからずっと木村君とばかり話ししているのな、部員全員から顰蹙を買ってたからよく覚えてるわ。」
「私の所にも来たよ~。のっぺりが先輩と乱捕りやらされてた。あいつ面白いよ?投げたと思っても投げた先に立ってるの。周りから見てると軽業師みたいだった。それにあれ絶対タイミング合わせてるよね、先輩雲を掴んでるみたいだったって言ってたもん。」
「そうですか、他でもやらかしていましたか。ウチの弓道部にも来たのですが、彼初めて弓を握ったのにも拘らず、完璧なフォームで矢を的のど真ん中に当ててました。
しかも彼のあの間の取り方や姿勢は完全に私の、那須流弓術の動きそのモノでした。」
そう、彼は目の前で打った私の動きを一度見ただけで完全に再現して見せたのだ。
「更に言うなら我が部の顧問が生意気な新入生相手に行う悪戯を完全に見抜いたうえで正面から突破して見せたのです。射る直前に窓を開けられ風が吹き込んだ状態でなんでど真ん中に命中出来るんですか。意味が分かりません。」
そんな真似はうちの師範たちだって出来ないだろう。
「なるほどね~。葵ちゃんはこのキャンプで佐々木が何者か探ろうと言う訳かな~。」
「はい、有体に言えばそうなります。何処まで見極められるかは分かりませんが。」
「ニッシッシッ、面白い!私そう言うの大好き。協力してしんぜよう。」
「うん、面白そうだ。私も協力しよう。」
乙女たちの夜はこうして更けて行くのであった。
”なぁ篠原、何がどうなってこうなってるんだ?”
”私が知る訳無いでしょうが、大体この子チェイサーの時も参加してなかったのよ?分からないわよ。あんたが何かしたんじゃないの?”
”えぇ~、俺何もしてないって。部活見学で弓道部行った時も一回体験させてもらっただけですぐ退散しちゃったんだぞ。”
突然の那須さんの申し出、いや嬉しいんだけどそれよりも戸惑いの方が大きくてですね。
本当はハブになった俺がどこかの班に適当に混ぜて貰って裏方をやりつつ好感度を上げるって言うゲスな計画を立てていたのですが、こうなっては計画の変更をするしかありません。
悪い篠原、沢田と兵頭呼んできて。あと誰か組めそうな子いる?
「それなら陸上部の上田ちゃんがいいんじゃない?彼女中距離のレギュラー狙ってたからSaki様イベントでも活躍してたでしょ?」
はいはい、覚えてる。結構いい線行ってた子でしょ?前回は残念だったけど後二~三回も経験すれば完走できるんじゃない。
「わかったよ、那須さんどうもありがとう。俺の方はこちらの篠原さんと沢田さんに兵頭さん、あと上田さんがメンバーになりそうだけど他に二人ほど心当たりあるかな?」
「そうですか、ありがとうございます。残りのメンバーは私に心当たりがあるのでお任せください。決まり次第篠原さんに連絡すればいいでしょうか。」
「あぁ、そうしてくれると助かるよ。それじゃ、同じ班員同士よろしくね。」
俺たちは軽く握手を交わし、キャンプの班決めは無事終了するのでした。
(side:那須葵)
「葵ちゃんお疲れ~、もうお風呂入った?」
ここは桜泉学園運動部女子寮の談話室。この私立桜泉学園は全国から女子生徒が集まる名門私立校であり、地方出身者の為の施設も充実している。女子寮は他にも一般生徒用の物も用意されているが、スポーツ特待生はその性質上食事や生活スケジュールが他の生徒と異なるため、それ専用の寮が完備されているのだ。
「いえ、まだですが内海さんは今出られたところですか?」
彼女は同じクラスの内海美月さん。柔道部の期待の星だ。
「いや~、練習後は汗だくだからシャワーを浴びて来るんだけどさ、やっぱりお風呂に浸からないと疲れが翌日に残るんだよね~。その辺若さでどうにかならないもんかね全く。」
ケラケラ声を上げて笑う彼女。彼女にはいつも元気を貰っている。
「所で葵ちゃん、今日の一件如何しちゃったのさ?何で行き成りあののっぺりと組もうだなんて言い出したの?私は別にキャンプなんて誰と組んでも良かったから気にしないけど。」
そう、彼女には佐々木君との班決めの時に同じ班になって欲しいとお願いしていたのだ。
「お、二人してなんの話しだ?私も混ぜてくれよ。」
今談話室に入って来たのはやはり同じクラスの一ツ橋彩夏さん、彼女にも同様に協力を仰いだ経緯がある。
「今ちょうど葵に今日の班決めについて聞いていた所なんだよ。彩夏も気になるだろ?何でのっぺりと班を組もうと思ったのか。」
「そうだな。葵は入学当初から”私には心に決めた人がいますので”って公言していたくらいだから今更のっぺりにって訳でもないだろうし、気になると言えば気になるな。」
二人とも私が佐々木君と同じ班を組もうとした事がよほど意外だったのだろう。
私は二人の目を見て胸の内を語る事にした。
「お二人の所には佐々木君とAクラスの木村君が部活見学に来られませんでしたか?」
「お、来たぞ。そう言えばのっぺりの奴が水泳は筋肉のトレーニングに最適だからたまにプールを利用したい様なことを言ってコーチに断られてたな。あのコーチイケメン大好きだからずっと木村君とばかり話ししているのな、部員全員から顰蹙を買ってたからよく覚えてるわ。」
「私の所にも来たよ~。のっぺりが先輩と乱捕りやらされてた。あいつ面白いよ?投げたと思っても投げた先に立ってるの。周りから見てると軽業師みたいだった。それにあれ絶対タイミング合わせてるよね、先輩雲を掴んでるみたいだったって言ってたもん。」
「そうですか、他でもやらかしていましたか。ウチの弓道部にも来たのですが、彼初めて弓を握ったのにも拘らず、完璧なフォームで矢を的のど真ん中に当ててました。
しかも彼のあの間の取り方や姿勢は完全に私の、那須流弓術の動きそのモノでした。」
そう、彼は目の前で打った私の動きを一度見ただけで完全に再現して見せたのだ。
「更に言うなら我が部の顧問が生意気な新入生相手に行う悪戯を完全に見抜いたうえで正面から突破して見せたのです。射る直前に窓を開けられ風が吹き込んだ状態でなんでど真ん中に命中出来るんですか。意味が分かりません。」
そんな真似はうちの師範たちだって出来ないだろう。
「なるほどね~。葵ちゃんはこのキャンプで佐々木が何者か探ろうと言う訳かな~。」
「はい、有体に言えばそうなります。何処まで見極められるかは分かりませんが。」
「ニッシッシッ、面白い!私そう言うの大好き。協力してしんぜよう。」
「うん、面白そうだ。私も協力しよう。」
乙女たちの夜はこうして更けて行くのであった。
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