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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー
第321話 雪山で遊ぼう (5)
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着いた~、黒丸お疲れ~。
”ウワゥ“
あれから更に二時間。ようやく目的地であるキャンプ地に到着しました。
ここは開けた場所の割にはそんなに雪も積もっていません。周囲の樹々と目の前の岩場がいい具合の雪避けになっているのでしょう。
じゃあ早速テントの設営ね、黒丸荷物降ろすから小さくなってくれる?
”バウ“
伏せの体勢になってから徐々に小さくなる黒丸。いつもの大きさになったところでこちらの方に飛び掛かって来た。
よしよしよくやってくれたね黒丸~。今テント作っちゃうからそれまで待っててね~、そしたら一杯遊ぼうね~。
しっぽをぶんぶん振りながらお座りの体勢で待機する黒丸、本当におりこうさんだ。俺より賢いな、絶対。
増山のおっちゃん、ペグ打ちってこんな感じでいいの?
五~六人は寝れそうな大型テントを広げ、端のロープをピンと引っ張る。これが緩むとテントが歪んだりするらしい、そんな事でも強風で吹雪いたりしたら命取りになりかねない。
「ここはあまり吹雪に晒されない立地だから、そこまで神経質にならなくても大丈夫だぞ。後は大神様がお越しになるのを待つだけだ、お前は黒丸と遊んでていいぞ。
ただあまり遠くへ行くなよ。」
了解であります隊長、黒丸・つくね・行くよ、山の中の競争だ~!
”ウワゥウワゥ””キュッキュキュイー”
”ブワ~~~~~”
雪埃を巻き上げ疾走する三匹、それを見送る遠い目をした増山の肩に、ポンと優しく手を載せる葛の葉なのであった。
やっぱこいつらはえ~、つくね腕上げたな~。黒丸超余裕でやんの、流石リニアにも勝つわんこ、俺なんか追い付くのでやっとだよ。
あれから一時間、周辺の山で競争を繰り広げた三匹は、皆満足げな顔をして帰って来た。
あきれ顔の増山と一人スナック菓子を食べながら漫画を読みふける葛の葉。
”おい葛の葉、その漫画どこから出した。”とか”雪でリクライニングチェア作るとか天才か?しかもその上に絨毯引くって、なんて快適空間。でもそれ何処から出したの?”とかツッコミどころは満載だが、そこは安定のスルー。この手の事態にはもう慣れっこになったのっぺり佐々木君なのであります。
おっちゃんただいま~、すっかり満喫しているみたいだね~。こっちも思いっきり走ってスッキリしてきたところ。
で、この後どうするの。
「おう、お帰り。坊主は若いからか元気いっぱいだな。後は大神様が来て下さるのを待つだけだ。暇なら瞑想でもして待つか?」
ワンワンならさっきからずっと岩の上にいるよ。でも前と感じが少し違うから、子供か何かなのかな?
俺が岩山の上を指さす。そこには寝そべってこちらを眺める一匹のワンワン。
増山のおっちゃんは慌てて其方を振り向くと、深々と頭を下げ挨拶の口上を述べ始めた。
「これはこれは御身を前に大変失礼をいたしました。私名を増山五郎と申します。この度御前に参じましたるはこれなる少年を大神の御大に御引き合わせする為にございます。何卒何卒、この言葉お聞き届けいただきます様、伏してお願い申し上げまする。」
うゎ、なんかお犬様にへりくだりまくってるんですけど。その後ろで寝そべって漫画読んでる奴がいるんですけど。う~ん、とってもカオス。
すくっと立ち上がり、こちらを一瞥した後岩山を降りるワンワン。
”ウワン”
ほうほう、ついて来いと。おっちゃんそう言ってるけどどうする?
「まぁ、行くしかないわな。葛の葉、移動するぞ。」
「了解だ、先輩。」
いつの間にか背後に立つ葛の葉。漫画とリクライニングシートはってキレイに消えてるし。流石は葛の葉さん、意味解らない。
こうして俺たちはワンワンに引き連れられて山の奥へと入って行くのでした。
”ウワゥ“
あれから更に二時間。ようやく目的地であるキャンプ地に到着しました。
ここは開けた場所の割にはそんなに雪も積もっていません。周囲の樹々と目の前の岩場がいい具合の雪避けになっているのでしょう。
じゃあ早速テントの設営ね、黒丸荷物降ろすから小さくなってくれる?
”バウ“
伏せの体勢になってから徐々に小さくなる黒丸。いつもの大きさになったところでこちらの方に飛び掛かって来た。
よしよしよくやってくれたね黒丸~。今テント作っちゃうからそれまで待っててね~、そしたら一杯遊ぼうね~。
しっぽをぶんぶん振りながらお座りの体勢で待機する黒丸、本当におりこうさんだ。俺より賢いな、絶対。
増山のおっちゃん、ペグ打ちってこんな感じでいいの?
五~六人は寝れそうな大型テントを広げ、端のロープをピンと引っ張る。これが緩むとテントが歪んだりするらしい、そんな事でも強風で吹雪いたりしたら命取りになりかねない。
「ここはあまり吹雪に晒されない立地だから、そこまで神経質にならなくても大丈夫だぞ。後は大神様がお越しになるのを待つだけだ、お前は黒丸と遊んでていいぞ。
ただあまり遠くへ行くなよ。」
了解であります隊長、黒丸・つくね・行くよ、山の中の競争だ~!
”ウワゥウワゥ””キュッキュキュイー”
”ブワ~~~~~”
雪埃を巻き上げ疾走する三匹、それを見送る遠い目をした増山の肩に、ポンと優しく手を載せる葛の葉なのであった。
やっぱこいつらはえ~、つくね腕上げたな~。黒丸超余裕でやんの、流石リニアにも勝つわんこ、俺なんか追い付くのでやっとだよ。
あれから一時間、周辺の山で競争を繰り広げた三匹は、皆満足げな顔をして帰って来た。
あきれ顔の増山と一人スナック菓子を食べながら漫画を読みふける葛の葉。
”おい葛の葉、その漫画どこから出した。”とか”雪でリクライニングチェア作るとか天才か?しかもその上に絨毯引くって、なんて快適空間。でもそれ何処から出したの?”とかツッコミどころは満載だが、そこは安定のスルー。この手の事態にはもう慣れっこになったのっぺり佐々木君なのであります。
おっちゃんただいま~、すっかり満喫しているみたいだね~。こっちも思いっきり走ってスッキリしてきたところ。
で、この後どうするの。
「おう、お帰り。坊主は若いからか元気いっぱいだな。後は大神様が来て下さるのを待つだけだ。暇なら瞑想でもして待つか?」
ワンワンならさっきからずっと岩の上にいるよ。でも前と感じが少し違うから、子供か何かなのかな?
俺が岩山の上を指さす。そこには寝そべってこちらを眺める一匹のワンワン。
増山のおっちゃんは慌てて其方を振り向くと、深々と頭を下げ挨拶の口上を述べ始めた。
「これはこれは御身を前に大変失礼をいたしました。私名を増山五郎と申します。この度御前に参じましたるはこれなる少年を大神の御大に御引き合わせする為にございます。何卒何卒、この言葉お聞き届けいただきます様、伏してお願い申し上げまする。」
うゎ、なんかお犬様にへりくだりまくってるんですけど。その後ろで寝そべって漫画読んでる奴がいるんですけど。う~ん、とってもカオス。
すくっと立ち上がり、こちらを一瞥した後岩山を降りるワンワン。
”ウワン”
ほうほう、ついて来いと。おっちゃんそう言ってるけどどうする?
「まぁ、行くしかないわな。葛の葉、移動するぞ。」
「了解だ、先輩。」
いつの間にか背後に立つ葛の葉。漫画とリクライニングシートはってキレイに消えてるし。流石は葛の葉さん、意味解らない。
こうして俺たちはワンワンに引き連れられて山の奥へと入って行くのでした。
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